【IWGP】池袋ウエストゲートパークを振り返る【予告】

さて、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』について記事を書く、という予告をしてから、1年以上の時間が経過してしまった。
やはり、連続ドラマの小ネタ拾いというのは、非常に時間とエネルギーを必要とする作業であるうえに、放送終了から15年ほど経過しているドラマであるから、注目度(要するにアクセス数)が低いことが想定されることも重なり、作業をするモチベーションが低かったこと。宮藤官九郎さんの脚本の会話の妙というのは非常に精緻なもので、それを編集する堤監督の技術もまた神がかり的なものであるから、輪をかけてエネルギーを要する作業になってしまったと、言い訳させていただく。
さて、各回の記事を書く前に、全体的な印象を書かせてもらう。
「池袋感」がする、ということを書いたが、ロケ地情報などを見ると、池袋からかなり離れた場所をロケ地にしているシーンもあり、そういうシーンではやはり「池袋感」が薄い。
そうは言っても、池袋駅に近い、よくもまあこんな人通りの多いところで…というような場所でのロケが多いのが事実だ。
もっとも多いと思われるのが、やはりタイトルにもなっている池袋西口公園
池袋駅の北側、JR埼京線・湘南新宿ライン(当時はこの名称はなかった)・山手線・東武東上線を越える、池袋大橋も頻繁に使われた。豊島清掃工場の高い煙突が、印象的。隣接する、池袋駅から東武東上線に並走して池袋大橋に向かう道もよく使われている。
東口では、池袋駅東口から、東池袋交差点に向かう、グリーン大通りでのロケも多い。池袋に行ったことのある方なら分かると思うが、すさまじい人通りの道なのである。そのなかでも特に人が集まる、東口五差路付近でのロケもある。
駅に近いところのロケでは、ビックリガードもしばしば使われた。ビックリガードというのは通称で、一般の地図には出てこない名前だが、池袋駅の南側で、JR山手線と西武池袋線をくぐるアンダークロスの道路である。
池袋の東と西を結ぶ道としては、もう一つ、歩行者専用トンネルのウイ・ロードが存在するのだが、これもドラマに使われている。
池袋の地図を開いて、西口公園、池袋大橋、ビックリガード、劇場通り(西口公園脇の東京芸術劇場の前の大通り)、グリーン大通りといったあたりの位置関係を把握してからドラマを見ると、出来れば歩いてみてから、それができなければGoogleストリートビューで見てからドラマを見ると、より「池袋感」が実感できるだろう。
15年も経って、なくなってしまったロケ地も多い。その中でも特筆すべきは、「真島フルーツ」に使われた建物の一帯が、再開発で跡形もなくなくなってしまったことである。『スープの回』では、そのことをドラマに取り込んでいた。
シリアスなシーンに笑いを挟み込んで来たり、しばらく前に言ったセリフを聞き直したりといったシーンが多いが、演劇的であり、宮藤官九郎作品に受け継がれているというのは感じる。後半、カラーギャング抗争に入ってくると、堤幸彦監督作品の印象が強くなって来ている感じではある。それでも小ネタはぶっこんで来ている。
それと印象に残ったのは、今に基準を当てると、「金曜日の9時」に放送したとは思えないほど、暴力とエロスがドラマ全体を支配していると言うことである。Gボーイズやブラックエンジェルスといったカラーギャング、そして言うまでもなく羽沢組や京極会といった暴力団。ファッションヘルス、アダルトビデオ、ポルノ小説……よくもまあこんな過激な表現のドラマを作ったことだ。
さて、2年越しになってしまったが、これから、『池袋ウエストゲートパーク』各話(『スープの回』を除く)について、小ネタ拾いなどをしていこうと思う。原稿は既に(一応)完成していたが結局大幅に手を加えることになってしまったし、一気に公開するのも宜しくないので、週1で1話のペースで公開して行きたい。なお、今回使用したソースは、DVDではなく、2005年にTBSで再放送されたバージョンを使用したいと思う。本来は本放送の録画を利用したいところだが、あいにく録画が手元に無いこと、DVDでは使用されている楽曲のせいでカットされている重要なシーンがあることから、再放送版を使用することにする。もしかして、再放送版でカットされているシーンがあるかもしれないが、その場合はご容赦願いたい。

2015年

今年は、『SPEC』放送から5年。
『池袋ウエストゲートパーク』『TRICK』放送、『ケイゾク/映画』公開から15年。
(阪神・淡路大震災20年とか太平洋戦争終戦70年とかあるが、このブログはそういう「現実」は扱わない)
切りのいい年である。
また、フィクションの世界では、『新世紀エヴァンゲリオン』で使徒とエヴァンゲリオンの戦いが始まった年でもあったし、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でタイムマシンでマーティーが行く「未来」でもあったりする。つまり、『新世紀エヴァンゲリオン』から20年、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から30年でもあるわけだ。
実在の世界では、シン・エヴァンゲリオン劇場版:||が公開されるはずだった年である。「はず」になるかどうかはまだ、分からないが。
それはともかく、まず、2015年1月13日から、植田博樹プロデューサー、今井夏木さん演出の連続ドラマ『まっしろ』が開始される。2月14日には、『悼む人』、5月23日には、『イニシエーション・ラブ』、秋には『天空の蜂』と堤幸彦監督作品が3作公開される。さらに、堤監督は『マル秘企画!』もあるらしい。
さて、今年は、どのような年になるのだろうか。どのような作品に出会えるだろうか。『ケイゾク・サーガ第三章』は、なにか動きがあるのだろうか。
このブログでも、年明け早々、古くて新しい企画をやろうと思う。Twitterやコメントで、「楽しみです」とか書いて下さると、ちょっと嬉しい。

連続ドラマ映画化までの「道のり」

フジテレビのテレビドラマ『信長協奏曲』が2015年12月に映画化されるそうだ。
見た人なら分かると思うが、ストーリーの途中をぶった切った(というと乱暴な言い方だが)形での映画化であって、驚いた人が多いだろう。
正直自分は、アンフェアだと思った。
最高視聴率(関東地区、以下同じ)15.8%、平均視聴率12.3%と、最近の連ドラとしては悪くない数字ではあるが、初回が最高視聴率で、最終回が最低視聴率に近いというのは気になるところではある。
それはともかく、フジテレビが連続ドラマの映画化にこだわるのは、『踊る大捜査線』の成功体験が忘れられないからのような気がする。現在の社長が『踊る』のプロデューサーであった亀山千広氏であることも影響しているのではないか。2015年7月18日には、『HERO』の映画化も決まっている。
さて、ドラマの映画化というのは、連続ドラマの放送中にファンをつかみ、その後放送から映画化までの間、いかにファンを繋ぎ止めておくかというのが重要な要素になっているのではないかと思う。
そういった観点から、いくつかの連続ドラマの映画化における、ドラマから映画化までの日程を追ってみようと思う。
なお、ここでは「映画化」に視点を置くことから、映画の2作目以降のことは考慮しない。
また、かなり偏ったセレクトになっているが、見ていない作品のことは書けないからである。

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【すべてがFになる】瀬戸さんの暗躍?

ドラマ『すべてがFになる』。
原作の話である。
真賀田四季は、「すべてがFになる」事件の後、犀川創平の妹、儀同世津子の隣人で漫画家の妻、瀬戸千衣になりすまして生活していた。

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【すべてがFになる】『有限と微小のパン』とバーチャルリアリティ

『有限と微小のパン』で示された未来像が2014年の世界とずれているのではないかということを、考察してみる。
ほとんど、ドラマの内容とは関係ない
なお、「この作品」「この時代」と記載した際、原作が出版された1998年を意味する。

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