【すべてがFになる】瀬戸さんの暗躍?

ドラマ『すべてがFになる』。
原作の話である。
真賀田四季は、「すべてがFになる」事件の後、犀川創平の妹、儀同世津子の隣人で漫画家の妻、瀬戸千衣になりすまして生活していた。


ドラマでは、『封印再度』のエピソードには、瀬戸千衣は登場しないが、小説ではこのエピソードで二ヶ月前に世津子の隣に引っ越して来る。世津子の部屋でお茶をしながら、世津子とパソコンやパソコン通信に関する知識がない人に成り済ました会話をし、萌絵が世津子に送ったメールを見て「これ、手紙じゃないの?」と言ったりしている。
ドラマ化されなかった『夏のレプリカ』では、直接は登場しないが、世津子に、「犀川の写真が欲しい」と頼み事をしている。
そして、最終エピソード『有限と微小のパン』でいよいよ、本格的に活躍することになるわけだ。
ドラマでも一瞬だけ登場するが、小説ではさらに出演場面が多い。
原作では儀同世津子が双子を出産するという設定になっているので、瀬戸千衣が世津子の家の世話をする場面があるのだ。
また、原作では那古野(名古屋)在住の犀川は、東京出張があると世津子の家に泊まることにしていて、いよいよ犀川が世津子の部屋を訪れる場面でニアミスする。

世津子が犀川と一緒にリビングに戻ると、瀬戸千衣は口もとに手を当て、真っ赤な顔で突っ立っていた。
「あれ?お客さん?」犀川が彼女に気がついて言う。
「こ、こんにちは、わ、私、単なるお手伝いの者です」そう言いながら、千衣は犀川を中心とする円弧を描いて横に移動する。「あ、ごゆっくり……、あ、私、その、もう帰りますから。どうぞ、ごゆっくりなさって下さい

となっている。
犀川は瀬戸千衣が真賀田四季だということに全く気づかなかったのだろうか。
このあと、横浜から新幹線で長崎に向かった犀川は、新幹線の車内アナウンスで真賀田四季に呼び出される。若い人は知らないだろうが、その昔、携帯電話が普及していない頃、新幹線には車内に公衆電話があって、乗車している客を呼び出してもらうことが出来たのだ。
犀川は、萌絵にかけた電話が盗聴されていたと思って新幹線を降りるのだが、実はそうではなかった。
「瀬戸千衣」として犀川と出会ってから、ずっと真賀田四季は犀川をつけて長崎行きを知った、というわけである。
そして、横浜にいたまま、ヘッドマウントディスプレイを通じて長崎にいる犀川と会話をする。
長崎での事件が解決した後、犀川はすぐ横浜の世津子のところを訪れ、そこにいる瀬戸千衣こと真賀田四季に対面する。
最初、世津子目線で瀬戸千衣が登場するというのは、小説ならではのトリックだ。このこともあって、ドラマの『封印再度』では儀同世津子が登場しないことになってしまったのだろう。

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