連続ドラマ映画化までの「道のり」

フジテレビのテレビドラマ『信長協奏曲』が2015年12月に映画化されるそうだ。
見た人なら分かると思うが、ストーリーの途中をぶった切った(というと乱暴な言い方だが)形での映画化であって、驚いた人が多いだろう。
正直自分は、アンフェアだと思った。
最高視聴率(関東地区、以下同じ)15.8%、平均視聴率12.3%と、最近の連ドラとしては悪くない数字ではあるが、初回が最高視聴率で、最終回が最低視聴率に近いというのは気になるところではある。
それはともかく、フジテレビが連続ドラマの映画化にこだわるのは、『踊る大捜査線』の成功体験が忘れられないからのような気がする。現在の社長が『踊る』のプロデューサーであった亀山千広氏であることも影響しているのではないか。2015年7月18日には、『HERO』の映画化も決まっている。
さて、ドラマの映画化というのは、連続ドラマの放送中にファンをつかみ、その後放送から映画化までの間、いかにファンを繋ぎ止めておくかというのが重要な要素になっているのではないかと思う。
そういった観点から、いくつかの連続ドラマの映画化における、ドラマから映画化までの日程を追ってみようと思う。
なお、ここでは「映画化」に視点を置くことから、映画の2作目以降のことは考慮しない。
また、かなり偏ったセレクトになっているが、見ていない作品のことは書けないからである。


【踊る大捜査線】
連ドラ
1997年1月8日-1997年3月18日 平均視聴率18.2% 最高視聴率23.1%
スペシャル
1997年12月30日『踊る大捜査線 歳末特別警戒スペシャル』
1998年6月19日『踊る大捜査線 番外編 湾岸署婦警物語 初夏の交通安全スペシャル』
1998年10月6日『踊る大捜査線 秋の犯罪撲滅スペシャル』
映画
1998年10月31日『踊る大捜査線 THE MOVIE』
配給収入50億円
『あぶない刑事』など、以前にも連続ドラマの映画化の事例はあるのだが、現在に通じる流れを作ったのは『踊る〜』だろう。連続ドラマが、マニアックなファンをつかんだだけでなく、視聴率も上昇トレンドで人気をつかみ、映画公開に至るまで、断続的にスペシャルドラマを放送したことで人気を定着させ、記録的大ヒット(配給収入の2倍が興行収入と仮定すると100億円となる)となった。
…リアルタイムでは見ていないんだけど。
【ケイゾク】
連ドラ
1999年1月8日-1999年3月19日 平均視聴率13.9% 最高視聴率15.7%
スペシャル
1999年12月24日『ケイゾク/特別篇 死を契約する呪いの樹』
映画
2000年3月4日『ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer』
興行収入12.5億円
今の時代からすると、そこそこの視聴率に見えるが、当時は視聴率的にはぱっとしないが、マニアに受けたと言われた。最終回では、フェイク予告が流れ話題となったが、放送後間を置かず映画化が決定し、短期間で撮影、スペシャル放送、映画公開に至った。そんなこともあって、ファンの熱気が映画公開まで維持されつづけた。しかし、公開規模が小さかったこともあり、興行収入はおとなしい数字だった。一部の熱狂的なファン(おーちゃん!とか、おーちゃん!とか、おーちゃん!とか…)から、一般のファンへいまいち、人気が浸透しなかったのかもしれない。
【SPEC】
連ドラ
2010年10月8日-2010年12月17日 平均視聴率10.5% 最高視聴率12.9%
スペシャル
2012年4月1日『SPEC〜翔〜』
映画
2012年4月7日『SPEC〜天〜』
興行収入23.9億円
当初から「起承転結」の4部作も構想に入れていたというが、連ドラから映画化までは1年半近い年月を経た。しかしながら、公式ツイッター等で情報を小出しにしたことも功を奏したのか、ファンの繋ぎ止めに成功し、マニアックなファンだけでなくライトなファンにまで浸透したと思われ、文字通りの「大ヒット」となった。
【ストロベリーナイト】
スペシャル(パイロット版)
2010年11月13日『ストロベリーナイト』視聴率14.0%
連ドラ
2012年1月10日-2012年3月20日 平均視聴率15.4% 最高視聴率16.9%
スペシャル
2013年1月26日『ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン』
映画
2013年1月26日『ストロベリーナイト』
興行収入21.5億円
連ドラ放送前に、パイロット版としてスペシャルを放送し、その後連ドラを放送、映画化と、非常に慎重に準備して映画化し、成功させたという印象である。
【外事警察】
連ドラ
2009年11月14日-2009年12月19日 平均視聴率5.2% 最高視聴率6.6%
映画
2012年6月2日『外事警察 その男に騙されるな』
興行収入不明(3.3億円?)
「なぜ、これを映画化してしまったの?」という典型例。というかNHKのドラマの映画化はほとんどが失敗しているように思う。『ハゲタカ』くらいではないか。連ドラから映画までかなり間が空いたものの、再放送や再編集のみで間をつないでおり、新作が一切なかったのも敗因の一つか。
【スシ王子!】
連ドラ
2007年7月27日 – 2007年9月14日 平均視聴率7.5% 最高視聴率8.8%
映画
2008年4月19日『銀幕版 スシ王子! 〜ニューヨークへ行く〜』
興行収入3.65億円
堤幸彦監督作品。金曜ナイトドラマ枠だし、これも「なぜ、映画化してしまったの?」と思うが、最初から映画化が決まっていたらしい。
【悪夢ちゃん】
連ドラ
2012年10月13日-12月22日 平均視聴率11.5% 最高視聴率13.6%
スペシャル
2014年5月2日『悪夢ちゃんスペシャル』
映画
2014年5月3日『悪夢ちゃん The 夢ovie』
興行収入不明 公開初週週末1億4970万8350円
個人的には連ドラも映画も非常に面白かった。しかし、映画化の理由として、「小学生の視聴率の高さ」があげられていたことが勘違いの一つ。どちらかというと、小学校を舞台にしているが「大人のファンタジー」の要素が強いと思う。もう一つ、失敗だったのが、連ドラと映画の間が空きすぎたことである。そんなことを言っても、『SPEC』とさほど変わらないように見えるが、『悪夢ちゃん』はコアなファンが少ないと思われるので、ファン離れが深刻だったのではないだろうか。
【これから】
今後、『信長協奏曲』だけでなく、『ST 赤と白の捜査ファイル』(『ST 警視庁科学特捜班』)、『S -最後の警官-』といったドラマの映画化が予定されている。
『ST 赤と白の捜査ファイル』はスペシャル(パイロット版)が2013年4月10日に『ST 警視庁科学特捜班』として放送後、2014年7月16日-9月17日まで連続ドラマが放送され、2015年1月10日に映画が公開される。パイロット版から連続ドラマまでは少し間が空いているが、映画の公開は早く行われるので、タイミング的には良いだろう。
『S -最後の警官-』は2014年1月12日-3月16日まで連続ドラマが放送されたが、連続ドラマの放送前に既に映画化が発表されていた。しかし、映画公開は『ST』より遅れ、2015年8月29日となる。連載中のコミックの映像化作品とは言え、この連続ドラマから映画公開までの時間の経過がどう出るだろうか。
これから公開される3作品は、いずれも連ドラ放送開始前から映画化が決まっていたもの、決まっていたと思われるものであるが、それが吉と出るか凶と出るか。

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