東洋経済オンラインに、「『池袋ウエストゲートパーク』23年後もヒットの訳
2000年代に刺さった仕掛けがNetflixでウケた」という記事が掲載された。
今年に入ってNetflixで配信開始したわけだが、再放送ドラマにもかかわらず、Netflixの人気作品ランキング日本トップ10(テレビ部門)で2週連続3位、3週目も4位という好調な滑り出しなのだそうだ。
このように放送開始から23年を経て、配信というメディアで人気になるのは当然である。
記事においても、その理由について考察がされているところだ。現在からの視点ということだと、このとおりだと言えるだろう。
一方で、そもそも時代を超えてヒットすることになったのは、制作当時の作り込みがあったからである。
そもそも、この作品は、石田衣良さんの小説『池袋ウエストゲートパーク』シリーズが原作だ。池袋在住の石田さんが、地元から見た池袋を、マコト目線で書いたのが小説で、実際の池袋の街並みだったり店名だったりを取り入れることで、リアルな池袋を描いていた。
ドラマ化するにあたっては、まだ小説のシリーズ自体が始まったばかりだったということもあって、ドラマオリジナルのエピソードや登場人物を入れるなど拡張しつつ、宮藤官九郎さんの脚本においても、実際に池袋に存在する場所をセリフに取り入れるなどしたところだ(東急ハンズが閉店したのは特に残念だ)。
また、堤幸彦監督も、ロケ地は原則池袋駅の周辺にするということにこだわり、ドラマの名前の元になった池袋西口公園をはじめとして、池袋駅の駅前も含めてロケを行うことで、リアルな池袋を映像化しているわけである。
最近のドラマが、予算や時間に制約があるということなのかもしれないが、ロケを使わずにセットとCGで描写したり、福岡を描くのに埼玉の所沢でロケを行ったりしているようだが、そのことによって生じる不自然さに違和感を感じる視聴者も発生することがあるようだ。また、アニメ版のようにニセの描写を入れることなく、撮影したリアルな池袋はリアルにドラマに入れ込んだ。そうした堤監督のこだわりが映像の完成度を高めた。
完成度の高い映像が、ドラマを何年経っても通用する作品とし、メディアを変えても通用することとなる。
Netflixという、つまらなければ別の番組を見るという、厳しい世界の中でヒットするのは、完成度が高いからなのではないだろうか。