【ケイゾク】『ケイゾク』から『SPEC〜結〜爻ノ篇』を見つめ直す【SPEC】

このSPEC公式ツイートは無視するとして、これも水面下で受け入れて、、先日このようなツイートをしたところ、プレッシャーを受けてしまった。


このことについては、自分でもすっかり忘れていたのだが、【ケイゾク】『SPEC〜結〜爻ノ篇』から『ケイゾク』を見つめ直す(その2)という記事でも書いているし、ずっと前に整理しようとしたことがあったのだが、やはりうまく行かなかったのである。
その無謀な試みに、挑戦しようと言うのが今回の記事である。
長文になるので、注意されたい。


まず、言葉の使い方だが、「朝倉」や「早乙女」という書き方をするときは、朝倉や早乙女の顔をした人物を、「アサクラ」と書くときは、「悪意の象徴」みたいな概念的な存在としての「アサクラ」と指す。また、時系列は『ケイゾク』最終回を現在として記載する。
【映像で説明されたこと】
その上で、『ケイゾク』シーズン壱における、朝倉と早乙女の入れ替えに関する、最終回で野々村が立証したことなど、映像で説明されたことをまとめる。
・7年前、アサクラは朝倉として、中学生グループとして、真山沙織の輪姦事件を起こす。
・3年前、ある青年が、アサクラによって顔を朝倉の顔に変えられる。
・時期は不明だが、アサクラは自分の顔を早乙女の顔に変え、本物の早乙女を殺して、警視庁に潜り込む。
・野々村によって、7年前の朝倉の指紋と、現在の早乙女の指紋が入れ替わっていることが判明する。
・真山によって早乙女は倒されるが、殺された早乙女の指紋は別のものに入れ替わっており、真山に殺される前には早乙女が入れ替わっていたことが判明する。
ということになる。これだけでも支離滅裂だし謎もある。
【映像で説明されたことへの謎】
謎の一つは、肉体の入れ替わりがあったならば配偶者や恋人は気づくのではないかと言うことである。
これについては、ドラマではなにも書かれていないが、ノベライズ『ケイゾク/小説 完全版』には、早乙女の妻のエピソードが記されているが、謎が多い。分かるのは、最初の早乙女が殺されたのは真山が殺した5〜6年前だという記載がある。しかし、ここからこれがドラマ的に取り入れることができるのかを読み取ることさえできない。三人の早乙女がいたということ、二人目の早乙女がアサクラだったということ、早乙女の妻が後にそれを知ることになった、それだけであり、それすらも真実かどうか定かでない。
そして、大沢麻衣子はどうだったのか、というと、朝倉(22歳)と麻衣子(25歳)の年齢的に言うと、付き合うようになったのが3年より前だとすると、朝倉は高卒で世田谷区役所に入り、東大卒の柴田純の学生時代の友人の大沢麻衣子と付き合っているということになる。すこし無理があるがする。朝倉が入れ替わった後、大学卒で世田谷区役所に入り、麻衣子とつきあうようになったと考える方が妥当ではなかろうか。
次に、早乙女がアサクラに入れ替わったのはいつか?ということである。
朝倉が入れ替わった3年前、と考えることもできるが、確証がない。3年前に入れ替わったとすると、第1話で柴田純の名前を聞いて故・柴田純一郎参事官の名前を思い出せるのが不自然だ。明らかに早乙女とアサクラが入れ替わったと思われる第9話以降では、早乙女は自分の過去のことを思い出せないシーンがしばしば見受けられるからである。また、第7話の段階で、7年前のアサクラ=朝倉の事件を調べていることから、この時点で早乙女とアサクラは入れ替わっていると考えるのが妥当であろう。
さらに言うと、ルポライターのKEEを殺したのも早乙女という説もある。これだと第5話の時点で入れ替わっていた可能性もある。
先のノベライズのエピソードを取り入れて、早乙女とアサクラが5〜6年前に入れ替わったとすると、第1話の件については解決するのだが、この場合、アサクラが早乙女と入れ替わってから、「あの青年」が3年前に朝倉の顔を押し付けられるまでの間、朝倉の顔をした青年の存在が消えてしまう。真山は7年間、朝倉を監視していたはずで、ありえない。
こうやって考えていくと、早乙女がアサクラに入れ替わったのは、第5話から第7話までの間の期間である可能性が高い、としかいいようがない。
さらに疑問なのが、早乙女が殺される直前に、アサクラから別の人間に変わる、ということがありうるのか?ということである。
殺された早乙女は、斑目との「お前の顔は真っ赤だぞ」のいきさつで自傷行為を起こした時の傷跡が、残ったままになっている。つまりその間、早乙女は入れ替わっていないということになる。
カッターナイフで掌に傷をつけると言う行為は、私もやったことがあるのだが、血が出るほどの深い傷をつけるというのは、常人には難しい行為だ。つまり、アサクラという特殊な人格だからこそやったのではないかというのが私の考えである。
そうだとすると、殺される直前の入れ替わりはないと言うことになってしまい、指紋が変わったのはどういうことかという話になってしまう。これについては前にも書いたことがあるのだが、一言で言うと「ハッキング」で片付けてしまえる。
つまり、早乙女が「殺された」あとに、アサクラによって警視庁の朝倉の指紋が書き換えられた可能性である。ではなぜ早乙女=アサクラは柿ピーの瓶に自分の指紋を残したのか?という疑問が残るが、あとで記載する。
このように無理やり謎を解決したところで、アサクラの起こしたと思われる超能力について考察する。
【アサクラの能力】
アサクラが関わっていると思われる不可思議な現象について中学時代、つまり入れ替わる前の朝倉、入れ替わった後の朝倉、早乙女が関連していると思われることに分けて整理する。
(1)中学時代の朝倉?
・中学時代、仲間たちがアサクラに逆らおうとすると、体が動かなくなった(第9話の目黒の証言)。
(2)朝倉?
・真山が朝倉を見ると、幻覚に襲われ、殺意を覚える(第3話)。
・朝倉が大沢麻衣子の額を小突くと、麻衣子は柴田への殺意を覚え、完全犯罪を計画する(第6〜8話)。
・朝倉の顔と思われる男が、電話で特別篇の犯人・中田英二に暗示をかける(第9話)
・真山が朝倉を殺そうとすると、幻覚に襲われ、阻まれる(第10話、第11話)。
(3)早乙女?
・目黒和樹が意識を取り戻したことを知り暴れる(第9話)。
・早乙女が朝倉の額をアイスピックで突く。そのとき、朝倉は、「すいません、アサクラさん」と言う(第10話)。
・谷口が柴田を殺そうとし、ダイイングメッセージに見せかけて「マヤマ」の血文字を残す(第10話)。
・谷口が真山を殺そうとし、真山の仕業に見せかけるようにして自殺する(第10話)
・河原で早乙女の眼を見た真山は、早乙女がアサクラだと確信する(第11話)
(4)犯人不明
・目黒和樹がコーヒーに毒を入れて自殺する。それを目撃した真山の前を、朝倉が歩いていた(第9話)。
まず、真山が朝倉を見ると幻覚に襲われる点を考証する。真山は、アサクラが入れ替わる前からずっと朝倉を監視していたことから、その時点で朝倉を見ると幻覚に襲われる暗示をかけられていたとも考えられる。しかし、暗示の効果が、入れ替わり後3年間も継続していたのかというと疑問を感じる。真山が朝倉を見ても常に幻覚に襲われるわけではなく、朝倉が真山に殺されそうになった時に真山が幻覚を見ると言う点が気になる。
次に、同じく朝倉の行為であるが、大沢麻衣子に暗示をかけた一連の行為である。この時、朝倉は「あの青年」に入れ替わっていたはずであり、アサクラは「あの青年」を使って大沢麻衣子に暗示をかけることができたということになる。
次に、早乙女の行為について検証する。アサクラであれば、目黒和樹が最終的にプログラムにしたがって自殺することを知っていたはずであり、早乙女はアサクラによって部分的な知識を与えられていたのではなかろうか。
次に、「すいません、アサクラさん」のシーンであるが、ドラマとしての伏線的な意味はあるが、ここでは早乙女がアサクラであり、朝倉の顔をした青年は「あの青年」にすぎなかったことがわかる。
谷口に暗示をかけたのが早乙女であるかが明確になっているシーンはない。しかし、第7話以降、早乙女に情報を流していたのが谷口であると言うだけでここでは十分な説明になるだろう。
さて、第10話の冒頭で真山が見た幻覚と、第11話の最後に早乙女が真山に見せた幻覚を見て、真山はアサクラが早乙女であることに気づくわけだが、ここに疑問が生じるわけである。朝倉という人間、早乙女という人間が幻覚を見せているのであれば、第10話と第11話の間で朝倉と早乙女が入れ替わったということになるが、それは、これまでの記述を全て否定することになってしまうのである。
【そこで仮説】
こう言った不自然な点を解決するには、こう解釈するしかない。
アサクラというのは特定の人間のことではなくて「悪意の象徴」みたいな概念的な存在で、それが朝倉や早乙女を操っている。
つまり、超能力を使っているのは朝倉という人間ではなく、アサクラという概念的な存在が時に朝倉を操り、時に早乙女を操っていると考えられる。
それでは、朝倉と早乙女の顔の入れ替えはなかったのではないか?野々村係長が採取した指紋も偽装されたものだったのではないか?とも考えられるが、これは実際にあったことだと解釈する。それは、アサクラ=早乙女が「ゲームだよ」といい、「ハッキングから殺人まで、色々なゲームをやってみたが…」と言っているように、ハッキングより面白いゲームが、顔を変えて警視庁に潜り込むことだったのだろう。
さて、私の解釈では、第11話で早乙女=アサクラは殺され、アサクラは概念上のみの存在になる。実は、特別篇のアサクラは、真山としか接触していない。中田英二に犯罪を実行させたのは、朝倉が生きている頃の話で、特別篇のアサクラは真山の妄想と捉えることもできる。また、映画に登場したアサクラは、厄神島という死者に会える特別な環境で死者たちとともに柴田や真山が出会ったものだ。映画のラストで、アサクラは真山に「倒され」、人間に介入する手段を完全に失ったのだろう。
『SPEC〜結〜漸ノ篇/爻ノ篇』に声だけ登場した「アサクラ」とは、人間を見守ることしかできない存在であるが、悪意の象徴として、ガイア(ある意味善)と対比される存在になっていた、と無理やり結論づける。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です