【ケイゾク】キャラクター「字」鑑【柴田純】

『ケイゾクなるままに』と自称している割に、ケイゾクのことを語れていないことを常々もどかしく思っている。その他諸々、前に書いたとおりなので省略して、今回は主人公、柴田純を取り上げる。
多分、他のキャラクターの数倍の容量の書き込みをしているので、これ以降期待しないでほしい。


◯由来
△「柴田純」は、『太陽にほえろ!』で松田優作さんが演じた刑事と同じ名前だっていろんなところに載ってますよ。
◯生年
■1974年度生まれ
第7話で、年齢を聞かれて「24歳です」と答えるシーンがあるが、この日は 1999年2月18日。また、特別篇で痴漢を捕まえたとき、被害届にやはり24歳と記入しているが、この日は12月21日。これらのことから推測すると、1974年12月23日から1975年2月19日生まれということになる(「年齢計算ニ関スル法律」準拠。あっているかちょっと不安)
△『公式事件ファイル』では、24歳
『SPEC全記録集』では、1975年生まれ。
ということになると、柴田の初登場は1999年1月8日であるから、1975年1月1日から1975年1月9日生まれということになるのだろうか。
ともあれ、1974年度生まれであるのだが、このことから、以前に書いたとおり、柴田の経歴に空白期間が生じている。ちなみに、そこに1975年1月12日生まれと書いてあるが、自分でも何をソースに記載したのか、全く記憶にない。
では『台本』ではどうなっているかというと、驚くほどのことでもないかもしれないが、他のレギュラー登場人物の年齢の記載はあるにもかかわらず、柴田の初登場時の年齢に関する記載がないのである。
◯役職・階級
■警視庁刑事部捜査一課弐係・警部補(TVシリーズ)
■警視庁八王子西署所長(特別篇)
■警視庁刑事部捜査一課弐係係長(映画)
△TVシリーズでの柴田の役職は、主任ということになっているのだが、ドラマ内での言及はなかった。その後八王子西署長に転任するわけだが、警察署長の階級は原則警視、という原則は無視しているようである。弐係係長の際の階級は、警部(警視の下、警部補の上)ということになるだろうから。
◯捜査態度
■弐係の資料を暗記するほど読み、資料の矛盾点も察知するにもかかわらず、実際の現場に赴くと、巻き尺を使ったりしないと現場の位置関係が把握できないといった一面もある(真山の項目でも書くが、真山とは対照的)。死体発見現場で死体の格好をして横たわる癖がある。このように現場ではなんでも自分で犯行状況を再現したくなるらしく、第1話や第9話では自分のトートバッグを死体に見せかけて投げ落とすシミュレーションをしていた。高所恐怖症でもあるので、マフラーを真山に持ってもらったり(第5話)、柱に巻き付けたり(第9話)して「命綱」にしていた。第1話では、麻酔手術した後に飲み物を飲む姿を、水筒の飲み物をだらしなくこぼして再現して真山に「やるなって」と突っ込まれるほど、状況を再現せずにはいられないらしい。
△死体発見現場で死体の格好をして横たわるのは、のちにドラマ『アンフェア』にパクられオマージュされたのだろうか。
◯家族
■父は難事件を次々と解決したこと伝説の刑事として知られる(第2話)柴田純一郎元参事官。とはいえ、純一郎が家に持ち帰った資料の山を読んで謎解きしていたのは、柴田純自身というのはご存知だろう。純一郎は実の父ではなく、柴田本人の言葉(映画)によると、「4歳の時に柴田の家にもらわれた」とのこと。
△柴田純一郎が実の父でないと言うのは、後付け設定感半端ない、と思う人は多いだろうが、さらに不自然なのは、「柴田の家にもらわれた」という言葉。というのも、映画に登場する柴田の実の父は、「柴田純成」という名前で、純一郎の兄弟ではないかと思われるからである。この辺りは、DVDやBlu-Rayを見ると詳しく解説されている。
さらに柴田の実の母は柴田を捨てて男と逃げたという設定であり、また柴田純一郎も亡くなっている、このような複雑な家族環境で育った柴田が、よくあんなに真っ直ぐに育ったものだと思う。柴田の人格形成には、柴田純一郎の妻、つまり、柴田の義理の母が強く影響を与えているのではないかと思われる。
◯ファッション
■劇中では褒められたためしがないうえに、当麻紗綾と間違えられたのか、いつも同じ服を着ていると思われがちでもある、柴田のファッションであるが、何種類ものブラウス、セーターやシャツを着こなしている。しかしながら、お世辞にも褒められたファッションセンスとは言い難い。黒いストッキングの上に白い靴下というのも見逃せない。
そんななかで、柴田がいつも着ているアイテムと言えば、カメオのブローチとともに、襟元に花柄の刺繍の入った、茶色のコートであろう。これはのちに『SPEC 零』においても柴田の存在を示唆させるアイテムとなった。
中谷美紀さんが自分で考えたファッションで、「イメージとしては、子どもの頃お母さんが着せた服を、大きくなってもそのまま着ているような人」ということを言っている。違う文脈の中で出てくる言葉なのだが、お母さん(つまり柴田純一郎の妻)の影響が強いのかなと思われるところである。
◯癖・習性
■大のミステリーマニアだというのは周知のことだと思うが、第4話で「『赤後家の殺人』に似てますね」というシーンまである。実在の作品名を出して元ネタの「ネタバラシ」をするというのは、テレビドラマとしては異例のことではなかろうか。
■興奮すると、「エクセレント」「トレビアン」などの外来語を叫ぶことがある。本や捜査資料を読む時は基本的に音読で、妙に感情を込めて読むこともあれば、ブツブツとつぶやきながら読むこともある。ツッコミを入れながら読むことも、多々ある。
△『特別篇』では「トレビアン」(Très Bien)の「いわゆる巻き舌のr」の発音が出来ているし、『ケイゾク/映画』でもフランス語に堪能な一面を見せたが、その理由は明らかではない。
■ただし、バスの中で困っている人の謎解きをするときのように、極端に集中して読むときは、無言で読むようだ。
■非公式研究本『ケイゾク/攻略読本』でも言及されているが、右手を挙げたり、右手の掌を上にしたりという、右手を使ったアクションが多い。
■刑事らしく見えないということで、「アルバイトの人」(第3話)「保険屋のねえちゃん」(第6話)などと散々な呼ばれ方をするのだが、誰かと問われると「柴田です」と答え、刑事だと言うのは後回しになるというのが、柴田の柴田に対するこだわりを感じる。
◯何日も風呂に入らなくても平気
■第3話で発覚した柴田の頭臭い事実が第4話で風呂に何日も入らないという展開に発展するのであるが、これは渡部篤郎さんのアドリブから発展したものであり、
△詳しくは第3話の台本を読み、書いてあるはずのセリフが、書いていないことを確認すべし。
■と言うのも不親切なので、台本とドラマの比較を記載しておく。
・台本
ザザ、と聞き取りにくい雑音。
近藤「ん?(と、盗聴器を操作して)……」
柴田「(どうかしたんですか?)」
近藤「シッ」
・ドラマ
ノイズ
柴田「どうしたんですか?」
真山「お前の頭どうしたんですか?」
柴田「はい?」
真山「臭いよ、お前、頭洗ってないだろお前?」
頭を抑える柴田
近藤「シーッ」
◯柴田スペシャル
△柴田が水筒に入れている、奇妙なブレンドのハーブティー、というのはご承知のことだと思うが、『ケイゾク』を放送している頃から2016年現在に至るまで伊藤園の「おーいお茶」のイメージキャラクターをやっているというのが驚きである。
◯SPECにおける柴田
■映像上はっきりと分かるのは、『SPEC 零』で未詳のメンバーに当麻紗綾を推薦したのが柴田であること、公安部長室の床に寝ていたこと、である。また、しばしば野々村に情報を送っていたことがうかがえる。
△この時の柴田の役職については、解釈が分かれるところだが、映像上は判然としない。
一つは、公安部長(警視監)だったというもの。SPEC観察メモには、「柴田公安部長」という説明がある。「公安部長室に入ったら、柴田(と思われる人)が寝ていた」ということから納得しやすい、というものであろう。
もう一つは、公安部参事官、あるいは公安部参事官兼公安第五課長(警視正)
だったというもの。これは『SPEC公式解体新書』や『SPEC全記録集』にそういった記載が見受けられる。また、ゲーム『SPEC〜干〜』にもそういう記載があるらしい。この説は、柴田の『SPEC』における年齢を考えると、「可能性のある」階級と役職であるのである。
当然、それぞれの説の有力な説明と成る部分が、もう一方の説の否定説になる。どちらも映像ではないが、TBS公式の見解なので、どちらの解釈もあっていいだろう。
◯個人的なまとめ
「東京大学卒業のエリート刑事」「外観に無関心で清潔感がない」といったキャラクターの魅力を下げる要因にもなりかねない要素を、魅力的な要素に転換させる「味付け」によって、未だに柴田純をオンリーワンのドラマキャラクターとして印象付けられている。堤幸彦監督は、山田奈緒子、当麻紗綾といった魅力的な女性主人公を生み出すが、やはりそれは、柴田純というキャラクターが先駆的な役割をしたからだというのが私の個人的な主観である。

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