【ヤメゴク】第七話 小ネタ、突っ込み、深読み(ねたばれ)

第7話は、しつこいようだが「第七話」である。
本放送から、こんなに時間が経ってしまってから記事を掲載することに、意味があるのだろうか?
やはり、間をおかずに掲載しないと、意味のない記事なのであろうか?


(早送り音声でなにやら)
ナレーション「このドラマは、警視庁15階にある、通称『足抜けコール』で活躍する人間たちの、物語である」
花屋の格好をした麦秋の妹、永光さくら
花を届けに歩いている。たどり着いた先は、(株)門松興行

門松興行の入り口のドアに貼られているポスター 演歌のCD風のポスター
朱色の着物姿の女性
「山でおそって おそわれて」植松 育巳
C/W 旦那とチョコレート工場
プロデュース/作詞・作曲 藤原 孝三

廊下に貼られているポスター
ミュージカルのポスター(CHIAKI)多分モデルは楠プロデューサー
「知床の女」森 一弘
「かけもち稼業」山下 杉太郎
伊藤雄介「さそり座のオカマ」また夜に会いましょう
「人生夢墓場」C/W 骨壷のワルツ 植田博樹 モデルはあの人(笑)

(補足:「CHIAKI」は金すんらさんのブログ記事で判明。他にも、『眼鏡の墓』という舞台のポスターも貼ってあったらしい。『眼鏡の墓』の二人、AP二人で、トークショーもやるらしい)
さくら「失礼しまーす。フローラル花邦です。ご注文のお花、お届けに参りました」
強面の男達
男「さくらちゃんだったよね。ありがとう。こっちこっち。暑かったでしょう」とさくらを別室に誘導
男「それ、舞台のお祝いにもらったやつ」ケーキが置いてある。
さくら「おいしそう」
男「また食べて行きなよ。いま紅茶入れっから」
さくら「いただきます。…あっ、ダメだ。今日こそすぐ帰らないと店長に怒られちゃう」
男「そっか。ああ、じゃあ、これ。うちの舞台のご祝儀」と大入袋を渡す。
さくら「いいですよそんな」
男「いいって。いつもお花届けてもらってるし。お駄賃。ほら」半ば無理やりさくらの手に取らせる。
永光家
遥とさくら、洗濯物の整理をしながら会話してる
遥「えっ、1万ももらったの?」
さくら「だって、そんな入ってると思わなかったんだもん」
遥「えーっ、返しなよ」
さくら「店長が電話して返そうとしたけどもらってくれって」
遥「バイト代入る前にチップで稼ぐとは恐ろしい女だ」
由美子が入ってくる。
由美子「アルバイトの話?どう?」
さくら「すっごい楽しい。人生で初めて私のやりたいこと見つかったかも」
由美子「よかったね。じゃあ、お父さんに報告しましょう」
鐘を鳴らす由美子
由美子「お父さん、さくらが楽しい仕事見つけましたよ」
仏壇に手をあわせる由美子、遥、さくら。遥、さくら。忍者がドロンするときのポーズじゃあるまいし。
足抜けコール、朝
スエットの麦秋がロッカーの中の正の写真に手を合わせる
麦秋「お父さんのために、警察官でいます。お父さんのために、ヤクザを減らします。お父さんのために…あの男を…」
足抜けコールで流しそうめんをしている佐野、石山、登場
三ヶ島「おい、ちょっ、待てや、お前(鏡を見て)あかん、決まれへん(髪を直す)」
内線電話
麦秋が資料室から出てくる。
石山「あ、バクちゃん、電話出て」
麦秋「足抜けコールではありませんね」
石山「内線だから出なくていいじゃなくて早く出て」(字幕が「内線だから出なくていいじゃない」、となっていて、紛らわしい表現)
麦秋「これから出かけるから無理です」
麦秋、三ヶ島の頭のリーゼントを掴む。
三ヶ島「あっ、おーっ、お前な…」
麦秋「代わりに、三ヶ島刑事が出ます」
出て行く麦秋
三ヶ島「お前何してくれとんねん」
佐野「お次はトマトゥいきまーす。(トマトを流しそうめんの樋に流す)トゥーッ」
石山「あーもう、いいから、三ヶ島くん出て」
三ヶ島「なんやねん…あっ、切れたわ」
今度は外線からかかってくる。
三ヶ島「なんやねん」
石山「早く出て」
三ヶ島「うぉ、足抜けコールや、これ(電話をとって)はいはい、足抜けコール」
水原「その声は三ヶ島さんですね。組対四課の水原です」
三ヶ島「なんで足抜けコールにかけてくんねん」
水原「内線かけたら出なかったからです」

三ヶ島「おいおい、何の用や?」
水原「バク、いますか?」
三ヶ島「あの女やったら平然と勤務中に外出や。で足抜けコールは勤務中に平然と流しそうめんしとるわ。ちょお前、俺のが…なんでキュウリやねん」
水原「実は今、通報を受けて捜査してる案件なんですが、それにどうも、バクの家族が絡んでるようなんですよ」
三ヶ島「バクの家族?」
水原「はい」手元にある書面を見る水原。

暴力団排除条例に係る通知書
平成27年6月22日
株式会社 フローラル花邦 殿
警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第4課
警部 西園寺 光政
貴社は、取引先との業務において書き暴力団排除条例違反に抵触する畏れのある行為を実施している事実が判明したので、本書面を以って厳重注意処分を通知する。

厳重注意を受けるもの
① 住所 東京都新宿区西新宿9-8-2 株式会社 フローラル花邦 代表取締役 邦枝 昌之(56歳)
② 同社 アルバイト従業員 永光 さくら(18歳)
取引先企業名
住所 東京都新宿区奈落町7-6-9 株式会社 門松興行
取引先企業の認定状況
上記企業は、指定暴力団の指定を受けている関東貴船組????企業として認定されているものである

(ちなみに、この「暴力団排除条例に係る通知書」は、現実には存在しないと思われる。同条例に「厳重注意処分」なんてない)
さくらと門松興行の社員が談笑している写真。
花を持って《ある場所》に向かう麦秋
【タイトルバック】
(提供コール)
あぶくま整形外科(ただし看板にぼかしがかかっており、元々のロケ地「井上病院」の看板だと思われる)
花を持った麦秋が病院に入っていく。後ろから次々と人が歩いてくる。主婦、背の低い中年男性、長髪の男性、スーツ姿の男性、ワイシャツにジーパンの若い男性、老人、サラリーマン風の男
廊下 岩井田の病室に入ろうとする麦秋 中から声が聞こえてくる。
所長(字幕では「交番所長」)「岩井田くん、君は生涯交番勤務にこだわり、昇任試験を断ってきたのは知っている。だがな、その体じゃもう無理だ。退院したら、本書での勤務を受け入れなさい。そんな顔するなよ。内勤も悪くないぞ」
出て行く所長。
考え込む岩井田。
待っている麦秋。
立ち去ろうとする。
岩井田「あれっ?麦秋ちゃん?」麦秋、岩井田の病室に入る。「おおっ、麦秋ちゃん、これはまた、素敵なお花だね」
岩井田のベッドの脇には花や似顔絵がいっぱい。
岩井田「ああ、大丈夫、大丈夫。また空き瓶用意してもらうから、はい」花束を受け取る岩井田
岩井田に宛てた色紙もある。
麦秋「私が奪ったのですね。交番勤務に捧げようとしていた岩井田さんの人生を」
岩井田「おいおい、人の人生勝手に奪うなよ」
麦秋「署の内勤に異動になるとか」
岩井田「聞いてたのか。そうそう、名誉の負傷でな、これを機に内勤に御栄転というやつだ(笑)おいなんだよ、これじゃあ、麦秋ちゃんの方が怪我人みたいじゃないか。何背負ってるか知らねえけどよ、話してみろよ。俺にも少しは背負えるかもしれねえぞ」
麦秋「私にゎそんな資格はありません。(後ろから、有留が入ってくる)私ゎ、もっと苦しむべきなンです。(有留を一瞥して)ヤクザと関わったものゎ、一生。失礼します」
有留「よくわかった。あなたが過去にヤクザとどんな関わりがあったのかは知らない。でもあなたが自分を許していないことはわかった。私が許される日なんて、くるはずない」
麦秋「ええ、その通りです」
橘の屋敷
上納金を橘のところに持ってくる二次団体の幹部。浅間組、白根会、武尊組、水千組。札束が立つ封筒
幹部たち「お納め下さい」
橘「確かに、ご苦労」
水田「親父、うちの組からはさらにこちらを」
鷲頭、アタッシュケースを置いて「お納め下さい。我が水千組の今月のシノギです」アタッシュケースの中には、札束がぎっしり。
橘「いつも悪いな。お前のシノギで、うちはもってる」
水田「親父に喜んでいただければ本望です」
入山(浅間組)「相変わらず、ものすごいシノギ見せつけるな、兄弟」
白根(白根会)「兄弟んところの客分、証券会社クビになったやつらしいな」
水田「わざわざ調べたのか。ヒマだな、兄弟」
白根「あやかろうと思ってよ。たまたま拾った客分がこんな金産んでくれてる運の良さによ」
水田「たまたまじゃねえ。金の卵になるとこの目で見込んだんだよ」
青峰(武尊組)長江英和さん「はぁーっ、男の器量を銭で判断したか。きょうでえらしいなぁ」
水田「金も男の甲斐性だ。兄弟の頭もだいぶ古くなったな」
青峰「意味ありげなこと言うな。言いてえことがあるならハッキリ言え」
水田「これ以上どうハッキリいうんだよ。相変わらず脳みそ筋肉か?馬鹿野郎!」
青峰「もう一回言ってみろ!」
橘、アタッシュケースを片付けさせて、「どうした?お前ら兄弟だ。遠慮なくケンカしろよ。ただし、人様に暴力団と呼ばせねえ喧嘩をな」
水田「申し訳ありませんでした」
青峰・白根「すいませんでした」
入山(黙って頭をさげる)
橘後ろに、「警察官追放三ない運動」。
出て行く幹部たち。
鷲頭「母親と二人の妹の件、いつでもいけます」
水田「すぐやれ。下手打つなよ」
見ている橘
フローラル花邦
謝っているさくら「すみませんでした。私のせいで店長に迷惑をかけて」
店長・磯村「いやいやいや、まあ、本社からこういう通知もらっただけだから。(前に出てきた「暴力団排除条例に係る通知書」)でも、いつも舞台のお花を頼んでくれるところがまさかヤクザの会社だったなんてね」
さくら「これからは気をつけます」
磯村「そうだね。来年からはうちの正社員なんだし、ああ、これも勉強勉強」
さくら「はい、日本一のお花屋さん目指して修業します」
男「すいません、お花下さい」
店長が行くと、半グレたちが集まっている。
男「世話になってる会社が舞台とかの興行しててね」
さくら「あの会社にいた人たちです」
磯村「あ、あの、門松興行さんの関係者の方でしたらもう配達できないと先ほどお電話で申し上げたところで…」
男「だからだよ!だからわざわざ買いに来てやったんだよ」
店長とさくらに迫ってくる男たち
足抜けコール
東条「門松興行ってどこの暴力団とつながってたんです?」
水原「水千組の企業舎弟だった」
麦秋「水千組?関東貴船組のセカンドですね」
水原「ああ、貴船組の若頭、水田が組長してる二次団体だ」
麦秋「その企業舎弟が花屋に利益供与?」
水原「まあ、花屋の配達員に祝儀渡したり、その企業舎弟の事務所内で飲食接待したり、まあその程度だがな」
麦秋「なんの意味があってヤクザが花屋の店員に飲食接待したのですか?」
三ヶ島「その花屋の店員がお前の妹や。永光さくらや(さくらがヤクザとあっている写真を見せる三ヶ島。強引に奪い取る麦秋)」
麦秋「さくらが?」
佐野「なにか妙に臭いますでございますね」
携帯着信、『I Love you, SAYONARA』三ヶ島、自分の携帯だと思って手に取るが、水原の携帯だった。
水原「その話題の花屋にチンピラ乱入だ」
出て行く麦秋。水原「コラー!」
石山「追って!」
三ヶ島「いや水原が行きましたやん」
石山「トラブったらうちのせいにされるよ。あの二人分」
三ヶ島「わかりましたよ(出て行く)待てーっ!」
物音がする。ヤメーたんが動いている
佐野「ムルキンチョ?おいムル?お、お、お、おいムル、ムル(渡部篤郎のモノマネ)」
あぶくま整形外科
受付嬢「永光さん、今日は遅番?」
遥「そう、だから明日の休み何しよう?」
受付にヤクザ風の連中が集まっている。
遥「近くでヤクザの抗争でもあった?」
受付嬢「最近、うちの客層なんかこうなのよ」
遥「へぇーっ」
フローラル花邦
ヤクザが花を投げたり、土をぶちまけたりして暴れている
突き飛ばされるさくら
さくら「やめて、やめてください」
男「俺たちが買った花だ。どうしたって自由だろ、なあ」
店長・磯村「なんでこんなムチャクチャすんですか」
男「あの子(さくら)のお姉さんには大変お世話になっているんでねえ」
さくら「姉さん?」
男「これぐらいさせてくださいよ」

麦秋、水原、三ヶ島がくる。
水原「はい、警察です。今日は」
麦秋「器物損壊の現行犯で、逮捕いたします」
男「何を言ってるんです。全部俺たちが買ったもんですよ」
三ヶ島「何を言うてんねん。お会計まだやろ」
店長、エプロンからお札を取り出す
三ヶ島「しっかり、もうとんのかい!おまえ」
麦秋「では、威力業務妨害で逮捕いたします」
三ヶ島、さくらの様子を見て「おうおう、こんなんなってもうて、傷害容疑もプラスやの」
男「そいつが勝手に転んだんだよ。目撃者だっているよ」
麦秋「弁解は警察で聞きます」
男「ふざけんな、こら」
はずみで三ヶ島のリーゼントにサボテンが刺さる。
水原「大丈夫か」
麦秋「大丈夫です」
水原「(麦秋に)てめえじゃねえよ」
麦秋「よかったです。さきに手を出していただけて」
男「いくら払えば良いかな」
男を突き飛ばす麦秋「公務執行妨害で、こんどこそ逮捕いたします」
暴れまわる麦秋
さくら「バク姉ちゃん」
三ヶ島「あぶねえあぶねえ、こっちこっち。大丈夫やって。ああなったらな、あいつ無敵や」
店長・磯村「ていうか、もっと店が壊れてく気が」
三ヶ島「あっ、しまった。止めに来たはずやったのに」
キャスターつきの花壇で突っ込んでくる男
さくら「バク姉ちゃん」
柱にしがみついてポールダンスのように男に蹴りを入れる麦秋
ボス格のヤクザの頭にサボテンのトゲを刺す
三ヶ島「イヤー痛い!おれちゃうやん、おおお」
あぶくま整形外科
ヤクザ風の客が待合室を占拠している
章子「また私への嫌がらせね」
遥「姉に連絡します」
フローラル花邦
サボテンが刺さったまま連行されるヤクザ
刑事「ちょ、ちょい待て、ちょい待て」
水原「頑張れ、頑張れ」
麦秋「では、門松興行から利益供与されていた永光さくら」
三ヶ島「利益供与って、小遣いもうただけやお前、お姉ちゃんやねんからお前、少しなぐさめたれ。(さくらに)怖かったやろ」
麦秋「暴排条例違反で逮捕いたします」さくらに手錠をかける麦秋。ちなみに、東京都暴力団排除条例では、暴力団からの利益供与に関する罰則規定はない。
三ヶ島「何しとんねんお前」

水原「花屋にはもう指導済みだ!逮捕なんかできねえ!」
三ヶ島「手錠までかけて、妹の将来台無しにするつもりなんか」
麦秋「たとえ妹でもヤクザに利益供与されたカタギは許すわけにはいきません。(覆面パトカーのドアを開けて)乗りなさい」
三ヶ島、同乗しようとする麦秋を制して「待て、俺が乗るわ」
水原、助手席に乗ろうとする麦秋を制して「取り調べはデカの仕事だ」

遥から、麦秋に電話
遥「姉ちゃん、病院にヤクザみたいな人が来てるの。ここ最近ずっとそうなの」
麦秋「遥、その男たちの写真、撮っておきなさい」
男「はあっ?」
遥「なんでこんなことするんですか?」
男「なんで…首、寝違えたから、直してもらうためだよ」
男「俺はヒザがいてえんだよ」
男「肩脱臼しちゃって」
男「おれなんかおっぱい動いちゃってよ」
遥、ポケットからスマートフォンを取り出して、男たちの写真を撮り始める。
男「何勝手に撮ってんだよ」(と言いつつポーズをとったりしてる)
遥「先生は、章子先生はもうちゃんと警察に行って罪を償いました」
男「章子先生だ?」
男「誰だ?そりゃ」
遥「えっ?」
男「おい、見ろ、こいつだ。永光麦秋の妹は」
遥「私?」
男「おめえだよ、なーがーみーつーはーるーか」
男「はーるかちゃん、はーるかちゃん」
足抜けコール
麦秋「上の妹の病院も、下の妹の花屋も、きっと、私に対する嫌がらせです」
ヤメーたん着ぐるみからなにやら粘液状のものが出ていて、石山、東条、佐野が掃除している。
佐野「臭い、臭い、臭い」(渡部篤郎さんのモノマネがちょっと入ってる)
三ヶ島、鏡を見て、刺さったサボテンのトゲを抜こうとして「取れへんがな」
水原「どうも」さくらを連れている「保護者には連絡しました。あとは、頼みますよ」
麦秋「逮捕しないんですか」
水原「できるわけねえだろ!事情を聞いた結果、お咎めなしだ」
石山「花屋で暴れたヤクザはどうなったの」
水原「ああ、調べたところ組に属さないハングレでしたよ」
三ヶ島「ハングレ?門松興行の人間ちゃうんかい」
水原「そこでバイトしてたハングレが一人だけいました」
麦秋「だったら、門松興行のトップも逮捕です」
水原「フッ、そこがハングレに命じた証拠はねえし、そのハングレはもうバイト、クビになってたよ」
女性警官「失礼します」
永光由美子が入ってくる

由美子「お母さん、花屋さんから電話もらって、すぐ警察からも電話もらって、もうパニック」
さくら「そうだ、お店。お店の人、何か言ってた?」
さくらの通う高校「緑山学院高等部」進路指導室
教師「と、いうわけで、花屋でのアルバイトは今日限りということで」
さくら「バイトだけですよね。就職の方はなんとか…」
教師「残念ですが、就職もダメになりました」
さくら「そんな」
由美子「この子、すごく頑張ってたんです。お花屋さんの仕事は自分に向いてる、楽しいって、そう…」
教師「気持ちはわかりますが、こうなった以上」
由美子「じゃあ、何か他に…他のお花屋さん、就職試験受けさせていただくとか」
教師「いや、他のお花屋さんを無理に受験させて、その、高校としても企業の求人枠が少なくなるのは困るんです」
由美子「でも、この子には何の罪もないんです」
ハングレの言葉を思い出し、部屋を出て行くさくら。
麦秋に電話するさくら「バク姉ちゃん」
足抜けコール
石山は帰り支度をしてる
麦秋「バイト先であんなことがあれば、クビになるのも当然です。これであなたにもわかったでしょ。どんな大切な夢でも、ヤクザと関わったら壊れる」
さくら「ヤクザって…私なにも関係ない。全部お姉ちゃんのせいでしょ」
麦秋「元はと言えば全部お母さんのせいです」
さくら「えっ、お母さんのせい?それってどういうこと?」
麦秋「お母さんに聞きなさい。勤務中なので、ここまでです」
高校
さくら「お母さん、ヤクザとなにか関係あるの」
由美子「バクちゃんが、そう言ったの?」
さくら「本当なんだ」
由美子に着信
由美子「はい、もしもし、えっ、わかりました。すぐ行きます」
去っていこうとする由美子
由美子「ごめん」
さくら「どこ行くの?逃げないで」
由美子「保育園でトラブルがあったらしいの。さくらには、きちんと、全部話します。だから保育園に行かせて」
さくら「わかった」
足抜けコール前・廊下
三ヶ島「お前はほんまに鬼か。お前のせいで就職あかんようになったんやろ。そんな妹におまえそんな対応しかできへんのか。ちょい待て、ちゃんと話しせえいうとんねん」
麦秋「必要ありません。私の個人的なことです」
三ヶ島「せやからこそ話せ言うとんねん。妹のこと、お母さんのこと、そもそもお前自身のこと、ちゃんと仲間に話せ言うとんねん。せやないとお前、おれらなんもできへんやないか。分かった。ようわかった。もうお前勝手にせえ!」
佐野「あっ、お取り込み中のようですので、私は暴追センターに帰らせていただきまーす」
三ヶ島「あっ、暴追センター」(と佐野を呼び止める)
石山「お疲れ」(と帰っていく)
三ヶ島「お疲れ様。こいつの妹、あの、あのさくらちゃんに仕事紹介したって」
麦秋「暴追センターはハローワークではありません」
三ヶ島「お前に頼んでるか、アホ」
佐野「三ヶ島さんのそういうところ好き、でございますが、んー私の本来の業務では…」
三ヶ島「俺も行くから。今から一緒に職探しや」
一緒に職を探しに行く三ヶ島と佐野
東条「バクちゃん受付から電話。お客様だって」(手袋を脱いでいる東条。ずっとムルキンチョの後始末をしていたのか
麦秋「誰ですか」
足抜けコール
写真を見せる遥「これがうちに来たヤクザの写真。このヤクザたちが姉ちゃんの名前出したんだよ」
麦秋「さくらが働いていた花屋でもそうだったようです。よく知らせてくれました。気をつけて帰りなさい」
遥「姉ちゃんの仕事のせいでこんなことになってるの?」
麦秋「そうともいえます」
遥「足抜けコールなんて辞めてよ」
麦秋「嫌です」
遥「嫌?嫌って何よ?じゃあ、私も、さくらもこのままヤクザに脅されてればいいの」
麦秋「いいえ。あなたもさくらも戦えばいいんです。そう、私のように」
遥「何言ってるの?」
麦秋「さくらにも言いましたが、全ては私たちの母親のせいです。娘の私たちが自分の手で責任を取るしかありません。病院を抜けてきたんでしょ。もう帰りなさい」資料室に入る麦秋
ワゴンに乗っている佐野と三ヶ島
三ヶ島のリーゼントがプルプル震えている。
佐野「何イラついていらっしゃるんですか」
麦秋「バクのやつや。ほんまにおれらに心開かへんがな」
佐野「心配、ですか?」
三ヶ島「心配?イライラするだけじゃい」
佐野「心を開かないという心理状態には一般的には実は深い理由が存在するものでございます。不信、恐怖、コンプレックス、絶望、怒り、などなど」
岩井田の言葉を思い出す三ヶ島
三ヶ島「何があったか知ってんのかい」
佐野「別に、何も存じません」
三ヶ島「ああ、ちょっと、ちょっと止めてくれ」と東京タワーの前で車を降りる三ヶ島
三ヶ島「悪いけどな、一人で頼むわ」
佐野「えっちょっと、えっ?」
三ヶ島「頼んだで、サーくん」
佐野「はい。……振り回されるのも、悪くない」
足抜けコール
はるかが撮った写真を並べて見ている麦秋 何かに気がつく
橘の屋敷
水田「その花屋と病院の嫌がらせ、我々がやったという証拠は?」
写真をタブレット端末で見せる麦秋
水田「うちの組のものではありませんね」
麦秋「彼らの後ろに写っている男です。鷲頭健介、あなたの組の人間ですよね」
水田に目をやる橘
水田「ああ、そういえば友人が病院に入院してるとかと言ってましたね」
麦秋「その友人の名は」
水田「そこまでは聞いてません。お帰りだ!」
橘を睨みつけて出て行く麦秋
永光家
お好み焼き作ってる姉妹
由美子「保育園辞めてきた」
遥・さくら「えっ」
由美子「園の周りをヤクザ風の人たちがうろついて、怖くて子供を預けられないって保護者から言われたの。私が原因ですって園長先生に行ってきた」
(何度もなるチャイム)
インターフォンを取る由美子
佐野「夜分に申し訳ございません。私、暴追センター相談員の、佐野と申します」
佐野、永光家で「本来足抜け希望者以外のご就職は、あっせんいたしません。しかし私は、さくら様の手助けをいたしたく存じます。そのためには、私はお宅様がお抱えの問題を知っておく必要があるのでございます」
由美子「ちょうどよかった。娘たちに話すところでした。一緒に話を聞いてください」
佐野「はい」
あぶくま整形外科に来る麦秋
岩井田、廊下をふらふら歩いている「おお、麦秋ちゃん」
後ろに三ヶ島「ああ、もうあかん、見てられへんわ」
岩井田「だから助けんでくれって。リハビリなんだから」
三ヶ島「リハビリはまだ早いねんもう」
岩井田「先生が言ったんだよ。リハビリ頑張れば、私生活には支障なく歩けるようになるって」
麦秋「仕事には支障が出るということですね」
岩井田「ううん、大丈夫、元の体に戻って見せるから」
三ヶ島「ほら、あかんあかん」
麦秋「謝罪の言葉もありません。私は、あなたをこんな風にしてしまった現実を、一生背負っていきます」
三ヶ島「お前何しに来たんや」
岩井田「俺に話があったんじゃないのかい?背負ってるもん下ろして行けよここに。こんな体だけどさ、その手のもんなら俺もまだ、背負える」
首を振り踵を返す麦秋
三ヶ島「おい、おい!(廊下を通りかかる章子、隠れる)ええ加減にせいお前。お前言うたやろ。あのひとはな、お前がガキん頃から、お前の家に関わって、お前の家族を何回も助けた人や。 せやのにその仕事をお前に奪われたんやぞ。お前は、お前の親父さんが尊敬してた仕事をあの人から奪ったんや。それでもあの人には、お前がそんな風になった理由、聞く資格ない言うんかい。そう言うんかい」この回一番の名台詞だと思う
岩井田「三ヶ島刑事、もういい」
三ヶ島「ええことあるかい、あかんやろお前」
麦秋「私も奪われました。父が尊敬していた仕事を」
3年前
人事課長「先日、永光正さんが病気で急逝されましたね」

正の死亡届(読める範囲で)
生年月日 昭和34年4月19日
死亡年月日 平成24年5月8日
死亡した場所 東京都足立区西新井7丁目
住所 東京都足立区入谷2丁目45
届出人 永光 由美子 昭和39年7月24日生まれ
死亡届の右側は医師の書く死亡診断書になっているのだが、ここでは読み取れない。
同じ画面に、「平成23年度 ナスカ製菓 株式会社 社員名簿(商品部)」なる書類がある。
部署 商品部 商品開発課
ふりがな・氏名(省略)
生年月日(省略)
入社年月 昭和57年4月
住所 東京都足立区入谷2丁目45-5
本籍 同上
電話番号 03-545-3174
最終学歴 東京農工大学 農学部 卒業
資格 普通自動車運転免許
家族構成 (省略)
勤務状況
昭和57年4月に入社後、衛生管理部に配属。
同部署で3年間、販売商品における衛生検査の検査員として勤めた。
以後、現在所属する商品部 商品開発課に所属
移動後は、麩菓子を中心とした商品開発における企画に携わる
勤務態度は至ってまじめであり、他社員からの信頼も厚い。
平成23年現在では、商品開発部麩菓子班のリーダーとして業務を行っている。
現在、麩菓子の新商品開発プロジェクトを企画中
備考 ボーナス対象者

人事課課長は谷川ではなく、「稲垣 十三」という人物。
稲垣「肉親が死亡した際には、救済慰労金が支払われます」
麦秋「それで私、呼ばれたんですか」
稲垣「この慰労金は国民の税金です。支払うにあたり、あなたと死亡者が本当に肉親であるか調査されます」
麦秋「はい?」
稲垣「係長」係長は、現在の人事課課長、谷川永徳。
谷川「はい。(タブレット端末の画像を見せる)これは、君の両親の婚姻届だ。日付を見なさい」
平成3年6月14日届け出
麦秋「へいせい、3年?」
谷川「つまり、君が3歳の時に君の両親は入籍し永光正が君を認知している」
麦秋「認知?」
谷川「それまでは、君は母親の籍に非嫡出子として入れられていた」

麦秋の出生証明書
子の氏名 佐藤 麦秋 男女の別 女
生まれたとき 平成元年6月7日 午前0時2分
出生したところの種別 病院
出生したところ 中野区新井4丁目14番33号
施設の名称 中野区立病院
体重及び身長 体重 3238グラム 身長 45.0センチメートル
単胎
母の氏名 佐藤 由美子 妊娠週数 満39週3日

出生証明書の左側に出生届らしきものが写っているのだが、「嫡出子」の欄にチェックが入れられているミスがあった。また、本籍を書く欄に、「夫」という文字が見える。「おっと」の「夫」ではなくて、佐藤(永光)由美子の戸籍筆頭者の名前が「夫」で終わるのだろうか。
稲垣「警察官採用時に身辺調査されることは知ってるね」
麦秋「はい」
稲垣「そのときの調査で君の母親はこう答えている。『私と夫は当初、内縁関係にあり、娘の麦秋が生まれて3年後に入籍しました」
谷川「それまで、君の母親に入籍の記録はなかった。よって我々警察は君の母親の供述を信用し、君は採用された」
稲垣「しかし、今回の調査で気になるものが見つかりました」
谷川「最近、神社の本堂の建て替えに伴い出てきた写真だ。これは君、これは君の母親だね(若い頃の名取裕子さん?)」
麦秋「ええ。ですが、隣の人は?」
谷川「指定暴力団関東貴船組の組長、橘勲だ」(画像をコラージュしたのだろうか)
谷川「君の母親と橘勲の関係を調べると、君の母親が入籍後、橘勲に何度も家に訪ねられ、復縁を迫られていたことがわかった」
麦秋「復縁?」
谷川「そこで改めて君の生まれた病院を調査した結果、橘勲が君の父親として出産に立ち会っていたことも判明した。これが、そのときの署名だ」平成元年6月6日付
麦秋「私の、実の父が、橘勲?」
谷川「そうだ。君の母親は警察官採用時の身辺調査で我々を騙したということになる」
稲垣「身内に反社会勢力がいる人物は本来警察官になれない」
麦秋「まさか私、警察を」
谷川「当然辞めてもらう」
麦秋「辞めたくありません。警察辞めたくありません。警察にいさせてください。私は警察官でいたいんです。私を警察から追い出さないでください」
永光家
佐野「それでバクちゃんさんは、お母さんをお恨みに」
由美子「はい」
三ヶ島「ほんでも、警察やめるんは強制でけへんはずやろ」
麦秋「私は人事課の法令執行命令室に異動になりました」
三ヶ島「法令執行?なんやそれ、聞いたことないぞ」
麦秋「早朝から深夜まで毎日、法令書類の誤字脱字を直しつづける、たった一人の部署」
麦秋、壁を叩いて「出して!」
麦秋「警察官を辞めさせるための追い出し部屋だとすぐにわかりました」
モニターで監視する谷川
谷川「退職を希望する場合は、こちらに一筆頂戴いたします」名前の書かれていない退職願が投げこまれる
正「警察官になった麦秋は、お父さんの誇りだ」
麦秋「その、父の遺言、それがなかったら私はきっと、潰れていた」
麦秋「お父さんのために、警察官でいます」
二人の警察官に抱えられて引きずられる麦秋
谷川「ここに異動して1年ですか。永光巡査部長。しかし参りましたね。その日の業務が終われば帰宅していいのになぜ泊まり込んでるんです?」
床に這いつくばっている麦秋「警視庁にいます。警察にいたい。警察を出たら来れなくなります。警視庁にいます。警察にいたい。警察を出たら来れなくなります。警視庁にいます…」
谷川「そんなに、警察官でいたいのか」
麦秋「警察官でいさせてください」
谷川「そう願ってる君はヤクザか、カタギか」
麦秋、声のトーンが一変「カタギです」
谷川「これだけのことをお願いする場合、しっかりと頭をさげるのがカタギだ」これも、谷川課長が生みの親だったのね。
麦秋、手を床について「お願いします」
谷川「しっかりと頭をさげろと言っている」
麦秋、頭をつけて「お願いします」
谷川「警察官でいたいなら君が実の父親の社会より、警察の社会を重んじるという証拠を見せなさい」
麦秋「証拠?」
谷川「永光巡査部長、人事異動を命じる」

三ヶ島「それで足抜けコールに…」
警視庁
喫煙室でタバコ(のようなもの)を吸っている三ヶ島
回想
麦秋「しっかりと頭をさげるのがカタギです」
麦秋「私はある二人の人生を全力で否定したいんです」
麦秋「あなたはもう十分に、私の人生を邪魔しました」
麦秋「私は絶対に、橘勲を逮捕します」

翌朝
覚悟したように出て行く遥
あぶくま整形外科
章子「遥ちゃん、あなた今日お休みなんじゃ?」
遥「先生、これは私の家族のせいなんです」
章子「お姉さんってこと?」
遥「私が責任取ります。病院のために辞めようかとも考えたんですが、それじゃ悔しい、 それなら、私が戦わないと」
章子、倉庫からメスを出してきて、ポケットにしまう
待合室
ヤクザ「ここから移動しろだ?」
遥「ええ、一般の患者さんに見えないように向こうの診察室の前でお待ち下さい」
ヤクザ「ふざけるな!俺たちも一般の患者さんだろ!」
ヤクザたち「そうだ!」
遥「いいえ。毎日来てくださってる皆さんは、病院にとってVIPです。VIPの方には専用の待合室を」
章子「ご希望なら、他の病院に紹介状も書きます」
遥「先生…」
章子「ただし、私が診察をして、本当に怪我や病気があればですが」
ヤクザ「くそアマ、俺たちが仮病使ってるとでもいうのか!」
ヤクザ「そうだ、そうだ!」
章子「さあ、こちらへどうぞ」
ヤクザ「ふざけんな、離せ」と章子を突き飛ばす。すると、章子から血が流れる
遥「先生!先生!」
章子「遥ちゃん、傷害事件。すぐ警察呼んで」
遥「警察…あっ!(電話をかける)もしもし、姉ちゃん!」
麦秋と三ヶ島、急行する。
遥「警察呼びましたから」
ヤクザ「先生が怪我しちゃったぁ。診察は無理だなあ」
ヤクザ「じゃ、また明日来ますよ」
ヤクザ「明日も明後日もしあさっても毎日毎日来ます」
遥「ちくしょう」
三ヶ島のワゴン
麦秋「急いで」
三ヶ島「急いどるわい」
病院の玄関から出ていこうとするヤクザたち
麦秋が到着し、「ここは病院です。何をしている」というと麦秋の視線の先に橘勲
橘「もう二度とここに顔出すんじゃねえぞ」
ヤクザ「お前にそんなこと言われる筋合いはねえ!」
ヤクザ「そうだよ。突然現れてあんた誰だよ」
麦秋「関東貴船組橘勲」
橘「お前らが誰の指示でここにいるかは察しがついてる。もう一度言うぞ。二度とここに来るな」ヤクザたち、橘に頭をさげて去っていく。
三ヶ島「ああ、銀蠅や。(細かすぎて伝わりにくいネタ)何やねん、これ、どういうこっちゃ」
麦秋「この嫌がらせはすべて、あなたがさせていたのでは?」
橘「俺はそんなことはしねえよ、特に自分の子にはな
麦秋「覚えていたんですか、私のことを」
橘「……」
鷲頭がそれを見ている。
遥「どうぞ」
三ヶ島「おお…」
処置を受けている章子
三ヶ島「なんでそんな無茶したんや」
遥「戦えばいいんだって教わったんです」
章子「ちょっと。私がケガしたんだからね」
遥「次は私が体を張って追い返します」
章子「お願いね」
三ヶ島「くれぐれもムチャはあかんで。俺らに連絡や。おーいにいさん、ヤクザやめ…メモして、メモ」
章子「あなたはヤクザと関わった人間は絶対に許さない。それがたとえ自分でも、たとえ、妹でも。でも私はヤクザに関わってしまった私だからこそ、ヤクザに関わった人を守りたい。そのためなら今後もあなたのいいなりになってあげる。(麦秋の手を握る章子)あなたと一緒に戦ってあげる」
握った手を振り払う麦秋
橘の屋敷
庭の木を見ている橘
水田「親父は俺が憎いんですか」
橘「子供を憎む親なんていねえよ」
橘「もうすぐ近くの溜池警察署に、静岡刑務所から届くはずだ。せがれの離脱願だ」
水田「仮釈放のない暴力団員を仮釈放にする手口、親父がおっしゃってたのはそういうことですか」
橘「協力してくれるな」
鷲頭「橘の大親分は、水田の親父を都合のいいように使ってるだけのように見えます」
鷲頭、客分がデイトレードしている部屋を開けて「親父がスカウトした客分の稼ぎを吸い取って、貴船組存続のために使って」
三ヶ島N「長年親分に仕えてきたけど、どうも最近尊敬でけへん。それ以前に、ウマが合えへん。それやったらいっそのことこんな組抜けたろう。そんな人の連絡を、いつも待ってる暴力団離脱者相談電話、通称…」
麦秋が電話を取る「はい、足抜けコール。はい。分かりました。伝えておきます」電話を切る。
麦秋「妹の働いている病院ですが」
三ヶ島「また、嫌がらせに来たんかい」
麦秋「いえ、どうやらなくなったようです」
石山「もう一人の妹さんの就職は」
佐野「そちらでしたら、この私がただいま懸命に探してございまして、いまのところあてが三つ四つ」
三ヶ島「あとひと息や。ホっと、ひと息って、なにいうとんねんおもんないわ」
外線、今度は石山が取る「はい、足抜けコール。溜池署?」
麦秋「貴船組を管轄する署です」
スピーカーに切り替える麦秋
溜池署「それで、静岡刑務所から離脱願が届いたんですが」
石山「服役中の受刑者からの足抜け依頼ですね?」
溜池署「ええ、で、一応そちらに連絡しとこうと思いまして」
麦秋「その受刑者が所属している暴力団は、どこですか」
溜池署「うちの管轄にある、関東貴船組です」
麦秋「その受刑者の名は?」
溜池署「たちばな、むぎじです」
三ヶ島「たちばな むぎじ?」
佐野「貴船組で橘と言えば…」
石山「『むぎじ』ってどういう字書きます?」
溜池署「麦を蒔くと書きます」
メモ用紙に書いてる麦秋「橘麦蒔」
麦秋「橘麦蒔。橘勲の実の息子です」

前回は、法律関係の細かさに感心したが、今回は、法律関係にツッコミが多い。
first impressionでも書いたように、麦秋が足抜けコールに来た理由が一応、明らかになった。麦秋の父親が橘勲であると、警察によって発覚する経緯である。救済慰労金なる制度の調査のためと称して。健康保険の埋葬料とは別の制度のようだし、『ヤメゴク』の世界では都民の税金を使ってこんな制度があったわけだ。それに、どう考えても救済慰労金を払うための税金よりも、そのための調査にかかるコスト(警察官の人件費や、さかれる時間)の方がお金がかかっているんではないかと突っ込んでしまう。
もう一つ、疑問なのは、永光正は麦秋が自分の子でないと知っていたのだろうか?
知っていたのだとすると、first impressionで書いた通り、公正証書原本不実記載等罪になる。
時効だし、本人が死亡しているので、刑事上の問題は発生しない(認知届は、父親単独で提出書類だから)
そして、この認知の効力である。
届け出が受理されてしまった以上、法律上、麦秋は永光正の娘という状態になっている。
この親子関係を否認する方法として、「嫡出否認訴訟」「親子関係不存在確認訴訟」がある。前者については、永光正しかできない。後者については、訴えの利益のある者であればいつでも起こすことができる。具体的に言うと、麦秋の存在によって相続に影響の出る、永光遥や、永光さくら、そして橘勲があげられる。しかし、彼らが親子関係不存在確認訴訟を起こすことは考えづらく、法的には麦秋が永光家の子であることに変化はないだろう。
まぁ、どうでもいいのだが。
そしてこれも、first impressionで突っ込んだのだが、法令執行命令室である。第六話 小ネタ、突っ込み、深読み(ねたばれ)で書いたように、警視庁(東京都)が条例や通知(通達)を発出するための誤字脱字を修正しているのではなく、ありものの法令・通知にわざわざ誤字を加えて、それを麦秋に直させるというとんでもない手間のかかることをやっているのである。そんなことをして一人の警察官をやめさせることの方が、税金の無駄遣いだ
そして、麦秋がさくらを逮捕した件である。本文にも書いた通り、東京都暴力団排除条例では、利益供与に関する罰則規定はないのだ。もしかしたら『ヤメゴク』の世界の暴力団排除条例では罰則があるのかもしれないが、それにしても水原に逮捕はできないと言われていた。不当逮捕である。
それでもバクのバックの力で麦秋が処分を受けることはないのだろう。
さて、橘勲が息子を早く出所させたい理由も全く読めないし、先は全く読めないのだが、水田、あるいは水田の子分の鷲頭と橘の対立という構図が生まれそうな気配はある。そして、そうなると、どっちかが死なないと終わらないような気がするのだが、どうだろうか。
ところで、今回の小ネタで最大のものは、冒頭の、プロデューサー勢揃いの、演歌歌手風ポスターであろう。完全なる内輪ネタであるが。ムルキンチョネタと、勝地さんの渡部篤郎さんモノマネは、もはや定番と化した感じがある。

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