「ケイゾク」は、柴田と真山のボケとツッコミの名コンビ、などと言われるが、そういったコンビものは、他にもたくさんある。「ケイゾク」の柴田と真山は、(もちろん「SPEC」の二人にもない)他にはないものを持っているからこそ名コンビだと個人的には思っている。異論はあるかもしれない。
基本的に、「ケイゾク」の場合、柴田の視点と、真山の視点というのがあって、この二つは重なることがないというのがポイントだ。
そして、柴田はトリックを解き、真山は犯罪に至る心理を解くというのが典型的なパターンだ。
一番分かりやすいのが、第4話である。
柴田は建物の構造や犯人の行動から犯人を言い当てた。これに対して真山は、遺産相続など、犯行に至る動機から犯人を言い当てた。結果、二人の人物が同時に別々に犯行を実行しようとしていたという皮肉な事態になっていたが(詳しくは第4話を)。
そして、第1話からそれは現れている。柴田は謎解きで死体入れ替えのトリックを暴いたが、動機については、「純愛」という的外れな結論しか出せなかった。それに対して、真山は共犯者の不審な行動に目を付け、犯人を利用して夫を殺させたというスキームを暴きだしたのだった(詳しくは第1話を)。
そういえば、「SPEC」第2話では、当麻と瀬文はトリックを暴くことはできたが共犯者を暴くことが出来なかった。これが、「SPEC」が完全なミステリーではないということを示したと言える。
話を戻して、柴田と真山の絶妙の役割分担で「ケイゾク」の推理部分は成り立っていたわけだが、第7話で真山の犯罪動機の分析が成立しなくなり(詳しくは第7話を)、第8話では柴田の謎解きが成立しなくなり、ミステリー主体の「表ケイゾク」から真山の復讐劇を中心とした「裏ケイゾク」に移行していく。