【ケイゾク】アーカイブ・ケイゾク第8話「さらば!愛しき殺人鬼」の謎解き(ネタバレ)

「ケイゾク」のTBS・CSでの再放送が始まったようで、何かケイゾクに関するネタでも…と思うと、自分が昔書いたネタをリバイスして出すのがいいかと思う。
これは、ケイゾク第8話「さらば!愛しき殺人鬼」の謎解きについて、柴田純がドラマの中で披露した推理が間違っていることが、映像の中に盛り込まれているのではないか?ということを検証したものである。
当然ケイゾク第8話のネタばれあるのでよろしく。


 『ケイゾク』に出てくるトリックは、どれもかなり無理がある突っ込みがいのあるものが多いが、第8話「さらば!愛しき殺人鬼」のトリックは、その中でも特に際立っている。というのも、柴田の推理が間違っていて、しかも柴田が間違った推理を行なうということが製作者側によって意図的に行なわれていると思われるからだ。
 具体的にいうと、柴田が推理した殺された人物とハンドルネームの対応が、間違っていたと思われるのだ。
 そのことを検証する前に、柴田の推理の流れをまとめておく。
○麻衣子の部屋
・麻衣子が「悩み相談フォーラム」という掲示板に書き込んでいることを知る
・「トカゲ男」が常連で下ねたばかりを書き込むと麻衣子に教えられる。
・ピエロのプレゼントのメッセージを見、ハラショー、カメオ、トカゲ男というハンドルネームの人物が死にたいと書き込んだことがあったことを教えられる。
○オフ会会場
・柴田、嶋村をトカゲ男だと直感する。
・原、嶋村、麻衣子の3人がプレゼントのメッセージに関する話題をする。
・嶋村が「原さん、最初でしょ」と言ったことで、ハラショーが原のハンドルネームで、カメオとトカゲ男のどちらかが嶋村のハンドルネームだと分かる。
・フェイスマークに関する会話から、嶋村が絵文字好きだと知る。
○原がラブホテルで殺される。
○ピエロからのメッセージを見る。
・次はカメオさんに……というメッセージを見て麻衣子が「どうしよう」と言ったことでカメオが麻衣子だと推理する。
○麻衣子の部屋で殺されかかる。
・ピエロからのプレゼントのメッセージでピエロは麻衣子の部屋が見えており、麻衣子が死んだと思ったと推理する。
・ピエロからの次の犯行を予告するメッセージで、嶋村が狙われていると思う。
・トカゲ男が書き込んできたことから、嶋村がこの時点で生きていると思う。
○嶋村が殺されているのを発見。
・麻衣子が一発で明かりをつける。
・トカゲ男の最後の書き込みにフェイスマークがないのを確認
・ピエロが麻衣子で、犯人だと確信。
 ……このような流れで柴田は、
ハラショー……原
カメオ  ……麻衣子ではなく、嶋村
トカゲ男 ……嶋村ではなく、赤の他人
ピエロ  ……麻衣子
 と推理する。それにしてはおかしな点がいくつかある。
・嶋村が柴田に「トカゲ男さんですね」と言われたとき、「ひどいな」とは言うが、自分がトカゲ男であることを否定しない
・原は麻衣子と嶋村に「例のプレゼントのメッセージ、見たかい?」と質問している。麻衣子がピエロだということを知っているなら、「見たよ」となるはずだし、嶋村もなにをくれるのかは麻衣子に聞くはずである。
・「夢を見ながら死ねたなんてしあわせですね」とピエロに言われたトカゲ男が、生きていたら絶対書き込んでくるだろうし、死んだとすればいつ誰が殺したんだということになる。
 つまり、やっぱり嶋村はトカゲ男で、麻衣子はカメオだったのではないか。その証拠は、次の2つの書き込みとオフ会での会話である。
○カメオの書き込み(CD-ROMより)
太っちゃいました
ちょっと嫌なことがあって、ヤケ食いしていたら5キロ太りました
会社でのトラブルや彼氏とも上手く行ってないし最悪です
このままだともっと太りそうで怖い……
○トカゲ男の書き込み(CD-ROMより)
がんばれ!
カメオさん!くよくよしないで!
それに、ヤケ食いで5キロ太ったってのはマズイんじゃない?
そういうのは特に下半身につくからね
ウヒヒ
トカゲ男
○オフ会での会話
嶋村「そういえば、この前の彼と上手く行ってるの」
麻衣子「うん。ケンカしてたけど……でももう大丈夫」
嶋村「ああ、確かに欲求不満解消されてるって、お肌だね」
 嶋村(トカゲ男)は、掲示板での会話で、麻衣子(カメオ)が彼氏と上手く行ってないと書き込んでいて、レスを書いたから、オフ会でもこのような会話になったと考えるのが自然だ。
 しかしそうだとすると、トカゲ男の最後の書き込み、
なにくれるの?
トカゲ男どえ〜〜〜〜す
ピエロさん、プレゼントって何くれるのかな?
めっちゃ楽しみ!
 ……を書き込んだのが誰なのか、そしてピエロが誰なのかを明らかにしなければならない。
 柴田はこのトカゲ男のメッセージにフェイスマークがないのを見て、トカゲ男が嶋村でないことを推理した。ところで、よく見ると、このトカゲ男の書き込みと、最初の書き込みには大きな違いがある。それは、
 最初のトカゲ男の書き込みの末尾にはシグネチャがあるが、最後のトカゲ男の書き込みにはない。
 ということである。つまり、トカゲ男は嶋村だったが、最後に「トカゲ男」というハンドルネームで書き込んだのは、嶋村ではない別人だった可能性が高いということだ。
 麻衣子が柴田にピエロのトカゲ男へのプレゼントのメッセージを見せたとき、ブラウザのスクロールバーを見ると次の書き込み(つまり、トカゲ男の書き込み)はすでに書き込まれている。つまり、これらの書き込みは同時に書き込まれたと考えられるわけだ。そして柴田が現場検証をしている間、麻衣子は書き込む時間がたっぷりあった。
 つまり、
ハラショー……原
カメオ  ……麻衣子
トカゲ男 ……嶋村、ただし最後の書き込みは麻衣子
ピエロ  ……麻衣子の別名
 ……ということになる。
 ついでに言うと、製作者もそういうことを意図して組み込んだと思われるふしがある。トカゲ男の最初の書き込みの末尾に、タイトルの隣にハンドルネーム欄があるのに、それとは別に「トカゲ男」とシグネチャをつけているのは偶然とは思えないし、第10話で柴田が朝倉にメールで真山のメッセージを伝えたときの送信者の名前は「kameo」になっている。それに、ビデオ4巻(DVDの6巻)の「対談」のなかで、堤監督は8話についてビデオになったんだからもう一度じっくり検証しろ、という意味のことを言っているのだ。
(3年後に追記)
上記にあるとおりビデオ4巻、DVD6巻、そしてBlu-RayだとDISC3に収録されている、堤幸彦監督と植田博樹プロデューサーの対談における堤監督の発言である。
−おすすめのシーン
植田:折角ビデオだからもういっぺん見てよってところってありますかね?
堤:オンエアで1回見ただけでは分かりづらいポイントってのは結構ありますよね。7話とか。これね、ほぐして見てるとなるほどねっていうものがたくさんある。で、8話においても、あの、インターネットのメール交換(原文ママ)によって謎が解けていくという。あるいは、事件のヒントなり事件の出発点になってるというのが、どうしても放送上だと、画面をね、インターネットの画面をぱっと、BBSの画面をぱっと見せるのに、2秒とか以上は見せられないわけですよ。静止画だし。とりわけこんな周りががちゃがちゃ動いているドラマの中で、突然あの「(ハル)」みたいな画面をぽっと出してもですね、駄目だから、その辺は大変視聴者の方に申し訳ないけれど、テンポで押させていただいた。でもよく読むとですね、結構面白かったりするとか、いろいろある。(以下略)
「おすすめのシーン」というコーナーなのだが、具体的に言及されているのは、8話についてだけなのであり、かなり時間をかけて語っているのが分かる。

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3件のコメント

  1. 変だなと思ってたら、そういうことだったんですね!確かに意図的かもしれません…!!

    9話で柴田がテニスの女性に「麻衣子、掲示板に死にたいって書き込んだらしいんです」みたいに言うのも違和感でした。
    8話の柴田が言うように麻衣子がピエロなら、死にたいって書き込んでなくね!?と(笑)

    8話から9話の間に、柴田は自分のミスに気付いたのかもしれませんね!!

  2. シグネクチャのところの推理はちょっと違うんじゃないでしょうか。
    最初に掲示板を見る場面では、ピエロの書き込みにも末尾にシグネクチャがついているのですが、以後確認する場面では末尾にシグネクチャがありません。
    他にも最初の場面では数名にシグネクチャがついているが、
    次の場面からは誰一人つけていないので、製作者もそこまで考えていないだけような気がします。

  3. この記事は、「原と嶋村は、なぜプレゼントのことを麻衣子に聞かなかったのか?」「ピエロが書き込んだ後、速攻でトカゲ男が書き込んできたのはなぜか」という疑問を解決するために推理したもので、シグネチャの件は推理を補強する傍証に過ぎないので、そこだけ取り出して「違う」と言われましても疑問が解決されないと思うのです。

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