いまさらながら、「SPEC」のノベライズ版についてふれておく。
改めておさらいしておくと、「SPEC」のノベライズは、豊田美加氏により、「SPEC I」「SPEC II」「SPEC III」の3冊にわけて、角川文庫から刊行された。それぞれ、1〜3話、4〜6話、7〜10話に相当する。
初版刊行日は、平成22年10月25日、平成22年11月25日、平成22年12月25日、と3ヶ月連続になっている(奥付によると)。
ノベライズと放送の違いを細かく検証する根性がないので、気になったところを取り上げておく。
(こっそり書き換えるかもしれません)
「SPEC I」
第1話のディレクターズカット版で復活されたセリフやシーンについては、小説版でほとんど網羅されている。
(SITの突入シーンでディレクターズカット版で復活されたシーンは小説にはない)
第2話。小説ではツイッターだがドラマではツブヤイターになっている。また、当麻が板野を見て「マイケル」「いい男」などというセリフはない。
121ページ最終行。ハサミで自分の首に傷を付ける板野を見て、「命なめてんじゃねえぞ」と言うシーンはない。小説では単純に生け花を踏み倒すだけである。
「SPEC II」
40ページ4行目。「何ですか?バルサン」ドラマでもそのままある。謎解きの伏線だから当然だが。
41ページ10行目〜11行目。「そのまま進め。帰ってくるな」「瀬文さんがいじめる〜」このへんはアドリブかと思っていたのだが。ドラマに倣って修正したのかもしれない。
160ページ3行目。「パパがくれた石ならダイヤか金が入ってるかもよ」という海野のセリフが挿入されている。二重の意味で含蓄がある。
ひとつは、当麻の「そうか。じゃあ、金かダイヤが入ってるかもね」というセリフと対になっていること。
もうひとつは、海野が里中がアフリカに行っていることを知っていること、つまり、海野が里中たちが潜入捜査していた大メジャーのために働いていたことがわかるということだ。しかし、この時点で既に、海野が病を処方するSPECを持つことが明らかになっているだけに、蛇足ということでカットされたのだろう。
このセリフがカットされたせいで、当麻のセリフが中途半端になってしまった感がある。
「SPEC III」
48ページ8行目。「間違って冷泉が射殺されたりして」
サトリの回のSITを突入させてサトリを救出(確保)するというプランを当麻が披露するシーンである。ドラマ本編ではスルーされてしまったが、かなり危ない橋を渡っていた当麻。
103ページ左から6行目。「エラくなっても、頭は臭かった」
今でも頭が臭い柴田純!
123ページ1行目「相変わらずリフトが壊れてて」→「エレベーターホール塞がれちゃったんで」
129ページ右から4行目。「SPEC I」では「ツイッター」だったのが、ドラマに合わせて「ツブヤイター」に修正されている。西荻さんの自動書記能力によるものか(笑)
131ページ7行目。美鈴が兄の遺品に触れる。ドラマではSITのユニフォームが置いてない。
135ページ1行目。当麻の「瀬文さんに取って私は何なんでしょうか」というセリフがドラマにはない。
瀬文が零課入りを志願して歯を抜いたり戻したりする場面はノベライズにはない。「歯動砲」の伏線だから当然だが。
159ページ9行目。ドラマでは「おおーいたー、なんとふくおかー(不幸か)」
160ページ1行目。野々村が雅に渡そうとした慰謝料を請求する書類が、実は白紙だったことが明かされている。
170ページ。『爆弾』と『銃』に×をつけるシーンがカットされている。
171ページ。『ニノマエを倒す!!』→『打倒ニノマエ』
178ページ。この時点では瀬文の目が見えない描写がある。
201ページから202ページ。ニノマエを前にした馬鹿猪のセリフが全く違う。
205ページ2〜4行目。ドラマではブブセラリーマンが登場しない。また小説では石橋蓮司演じる「老人」が殺されたことになっているが、ドラマでは明らかではない。
205ページ左から6行目。「サトリの捜査行きますよ〜」
捜査とはどういうことか?未詳で確保したのではなかったのか?
これは、承ノ回のヒントになりそうだ。
207ページ1行目。小説には「頭ココです」がない。
216ページ1行目、「ニノマエの心臓が、動きを止めた」と記述
216ページ4行目、地居の「ダイナミックニノマエ」というセリフ。
218ページ。ニノマエが死んだことを受けた馬鹿猪のセリフが全く違う。
当麻の書道シーンと重なっている瀬文のベッドで暴れるシーンが、217ページ7行目の「包帯をかきむしる瀬文」に相当する。
226ページ左から5行目、ドラマでは当麻が銃を抜き、地居がそれを蹴り上げてそれが植木鉢の中に入る。また、小説では当麻の腹を蹴り上げて倒れ込むが、ドラマでは地居が当麻を突き飛ばしてた折れ込んだところを蹴りつける。
227ページ5行目、小説では首を締め上げるが、ドラマでは足を踏みつける。
227ページ以降、瀬文が目が見えない描写は小説にはない。
230ページ左8行目、当麻の「撃つなら撃て」がない。
231ページ5行目のあと、瀬文の通称「歯動砲」がない。
231ページ左7行目のあと、瀬文が当麻のギプスを外すシーンがない。「左手動け」がない(堤監督と戸田さんが足したセリフ)
「命なめてんじゃねえぞ」というセリフは、SPEC公式Twitter大暴走という記事に少し触れたのだが、「この犯罪者がふざけるな」というセリフを堤監督のアイデアにより変えたものとのことだ。
最後の地居との戦いは、「歯動砲」だけでなくかなり違いがある。「公式解体新書」の加瀬亮インタビューによると、瀬文の目が見えていないというのも現場で監督が決めたということだ。