『ケイゾクなるままに』と自称している割に、ケイゾクのことを語れていないことを常々もどかしく思っている。その他諸々、前に書いた表示とおりなので省略して、多忙につき遅れてしまったが、今回は係長の野々村光太郎を取り上げる。
◯由来
△『公式事件ファイル』『事件簿』の初期設定では「五輪係長」とある。「イツワ」と読むが、「ゴリ」とも読める。これも『太陽にほえろ!』ネタだが、ボツになった。
△「野々村竜太郎と一字違い」なのだが、数年後にこの記事が読まれるようなことがあったなら、この一節が何を意味しているのか分からないようになっていることを願ってやまない。
◯生年
■昭和14(1939)年10月10日生まれ(第8話・野々村係長と醍醐雅ちゃんの婚姻届より)
△ちなみに、『ケイゾク』のキャラクターで生年月日が日付までわかっているのは、野々村係長と醍醐雅ちゃんの二人だけである。
『公式事件ファイル』では59歳。
『SPEC全記録集』では1940年生まれとの記載があるが、映像とは異なっている(竜雷太さんが1940年生まれ)。
『台本』では58歳。
△ちなみに、『太陽にほえろ!』の石塚刑事(ゴリさん)は昭和17(1942)年生まれとのことで、野々村より年下のようだ。
◯役職・階級
■警視庁刑事部捜査一課弐係係長・警部
■警視庁刑事部捜査一課弐係係長待遇(映画)
◯家族
■妻・野々村昭子(演・泉ピン子さん)
■父・野々村康之(第8話・婚姻届より)
■母・野々村史奈(第8話・婚姻届より)
△愛人・醍醐雅とは、『SPEC』で晴れて結婚することができたようだ。またこれも『SPEC』第9話での言及になるが、東京の保谷(西東京市)に弟が、また姪がいる。
△特別篇ではメロンパンにバイアグラを隠して雅と毎日セックスしているという設定だったが、執筆時点でわたしが参照しているウィキペディアではなぜか弐係にある柿ピーの瓶にバイアグラを入れているという意味不明の記述がある。それが本当だったら柴田や谷口もバイアグラを口にしたってことになってしまうじゃないか。
◯捜査?態度
■第10話、第11話を除いて、自ら捜査に加わることはない。大抵は柴田が捜査に乗り出すのに、真山をフォローにつけるぐらいである。捜査現場に足を踏み入れたのも、第4話で事件に巻き込まれた柴田たちを迎えに来たときだけであり、「我々は邪魔にならないのが一番」という迷言?を残している。かつては捜査一課でバリバリに捜査する「暴れん坊刑事」(本人談)で、柴田の父・柴田参事官の下で働いていたこともあり、「責任は私が取る。君たちはひたすらに真実だけを追え、それが刑事だ」とかばってもらったセリフを柴田に伝えた。
そんな野々村が捜査の第一線を追われたのは、新人刑事であった早乙女の不祥事をかばったためである。
△野々村の事なかれ主義の態度や、柴田の遅刻や欠勤をもみ消すなどの行動は、早乙女のときのように新人刑事を巡って問題を起こしたりせず、定年退職を無事に迎えたいという願望の現れと思われる。しかし、野々村のその願望は、「なんにもしなかった」という評価につながり、係長待遇に降格されるという皮肉な結果となる。
◯高校生の愛人と不倫
△高校生の愛人・醍醐雅(だいご・みやび)と不倫関係にあるのは周知のことと思う。その影響で、野々村もコギャル言葉を話したりして、怪訝な反応をされたりしている。
■すでに第1話から、野々村はそれらしき人物と電話している。
■第2話では、野々村は雅が作った気合の入った弁当と、妻が作った弁当を持参し、柴田に前者を食べさせる。
■第5話では、柴田が犯人にはめられ、大失態として報道されたことをニュースで知り、野々村に「ヨシヨシしてあげる」という電話をしてくる。これはどういうプレイだ?(笑)
■第8話では、野々村は婚姻届を書いている。この段階では妻とは離婚したという設定だった模様。しかし、野々村は辞表と間違えて早乙女管理官に渡してしまい、早乙女は婚姻届をゴミ箱に投げ込む。
■第9話では、(恐らく早乙女がゴミ箱に投げ込んだものが)遺失物として届けられ、今井夏紀婦警によって弐係に届けられる。また、雅本人も弐係を訪れる(影しか写らない)。顔を見た弐係の面々は爆笑。
■特別篇では、倒れた野々村を見舞って雅が登場(これ以降、永田杏奈さんがキャスティング)。しかし、顔の全部は写らない。
■映画では、ご承知の通り、様々な方法で雅の顔が隠される演出だが、一瞬だけ顔が映る。
△『SPEC』の最終回に、この醍醐雅、つまりのちの野々村雅が登場するのだが、声だけが本人の出演で、ボディダブルだ、という説をどこかで聞いたことがある。
■『ケイゾク』DVD/Blu-rayの冒頭/末尾に挿入されている、『野々村係長の愛の日々』であるが、『ケイゾク/映画』上映後、ドラマ本編がDVD化されることになり、その特典映像として収録されたものである。
◯ゴリさんネタ
■竜雷太さんが『太陽にほえろ!』の石塚刑事(ゴリさん)を演じていたということで、オマージュするようなネタがあるわけだが、たいていはスルーされる。
■第10話、「さあ、15年ぶりにちゃんと捜査してみるか。みんなも知ってると思うが、私も昔は、ちょっとは知られた刑事でね、真実に向かってゴリ、ゴリと押していく、ついたあだ名が…」と言いかける。いうまでもなく「ゴリさん」と続けようとしたのであろう。なお、「15年ぶりに捜査」と言っているが、『太陽にほえろ!』の石塚刑事は放送日でいうと1982年(昭和57年)に殉職しており、『ケイゾク』の17年前。細けえことはいいんだよ!
■映画、「マカロニと殿下が後楽園でホシを追い詰めた時…」「マカロニ」とは『太陽にほえろ!』で 萩原健一が演じた早見刑事の愛称。「殿下」は同じく小野寺昭さん演じる島刑事の愛称である。
■映画では、真山から「もう、ゴリさんたら」と呼ばれるシーンもある。
◯SPECにおける野々村
△『SPEC全記録集』によると、定年退職後、未詳ができるまで、嘱託で弐係に勤務していたということだ。
△未詳設立と同時に、嘱託のまま係長となり、『ケイゾク』のときより活躍してて、『SPEC』のときと違って自ら操作に加わる場面も多い。
◯もうめんどくさいから全部一覧にして
【ケイゾク】野々村係長の歩み【SPEC】再々改訂版という記事を書いているのだけれども、
◯個人的なまとめ
『太陽にほえろ!』に代表される、重厚で信頼できる上司とも、他のドラマでよくある事なかれ主義で主人公の邪魔ばかりをする上司とも違う、いつもは軽いノリでおちゃらけているけれども、柴田が落ち込んでいるときになぐさめてくれる(「私の頭なんて下げるためについてるようなもんだからね」というセリフと、直後に雅ちゃんに電話で「クビになっちゃうかもしれない」というシーンの合わせ技は秀悦だった)、刑事ドラマにおける新たなスタイルの上司だった、というとわかったことを言うな、勉強不足だ、と言われてしまうかもしれない。