連続テレビ小説『らんまん』、生で見れなくて録画した分の一週目をようやく見たが、その展開に大号泣した。
それと同時に、ある小説のあるエピソードを連想させるような展開でもあったので、書き記しておく。
それは、隆慶一郎さんという小説家の未完の遺作の一つ、『死ぬことと見つけたり』のあるエピソードである。
タイトルどおり、佐賀藩に伝わる『葉隠』をアレンジし、佐賀藩の浪人として生きる斎藤杢之助と莫逆の友、中野求馬を中心に、様々なエピソードを描きながら佐賀藩と幕府の攻防を描くと言う小説だった。
そのなかで、主人公の一人の斎藤杢之助に子どもが生まれると言うエピソードがある。
双子で確か、息子の名前が熊之助、娘の名前が静香だったと思う。
杢之助が、息子のために何か残してやろうと、山に熊を狩りに行く。熊を狩った後、杢之助は娘のためにも何か残してやろうと、崖に生えている「一人静」(ヒトリシズカ)の花を命がけで摘みに行く。
このエピソード、『らんまん』の第一週と似ていないだろうか。
主人公の牧野富太郎、子ども時代の名前は槙野万太郎だが、病弱な母に渡すために花を摘みに行くわけである。『らんまん』で摘みに行く花はバイカオウレンだが、崖のような場所に花が咲いていて、万太郎が摘もうとするのは命懸けというわけである。
いわゆる「本歌取り」というやつなのであろうか。そのあたりが興味ある。