【SPEC】文系人間が量子力学やパラレルワールドを語る(量子力学編)

『SPEC』の裏テーマとして物理学、特に量子力学というものが垣間見えた。
それに付随する形でパラレルワールドというのがあったわけだが、特に『SPEC〜結〜』に至り物語の重要なファクターとなる。
そういうわけで皆さんの関心も高いようで、無茶振りされてしまったので、文系人間が文系人間なりに『SPEC』に登場する量子力学やパラレルワールドについて、『SPEC』に出てきた言葉を出発点に、現在の物理学上どういう解釈が成り立っているかということを書いていきたい。


【不確定性原理】
ドラマには登場しないのだが、当麻の「てか観測される前の一個の電子は場所AとBとCとって感じで本当に同時に複数の場所に存在しているわけです」というセリフが不確定性原理を元にしている。また、後で出てくる「神はサイコロを振らない」「ラプラスの悪魔」というセリフが、不確定性原理を否定する、あるいは対立的な用語なので、よく覚えておくように(笑)
不確定性原理とは、電子などの粒子の位置と運動量を同時に決定することはできないということであり、それはもともとそれが決まっていないからだというのが、コペンハーゲン解釈というものであり、観測される前の粒子の状態は、確率的にしか分からないというものである。当麻のセリフがこれを前提にしたものだと考えられるわけである。
【シュレディンガーの猫】
記念すべき当麻の初ゼリフである。
多分、皆さん調べていると思うが、これはこういう思考実験、つまり科学者の頭の中で行われた実験である。
外から観測できない箱の中に猫、青酸ガス発生装置、ガイガーカウンター、放射性物質のラジウムを入れ、ラジウムがアルファ崩壊してアルファ粒子が放出されると、それをガイガーカウンターが感知して、ガイガーカウンターに接続された青酸ガス発生装置から青酸ガスが発生され猫は死ぬ。
仮にラジウムを箱に入れてから1時間後に50%の確率でアルファ崩壊する量入れて箱の蓋を閉めたとすると、1時間後に蓋を開けた時、猫が生きている確率が50%、死んでいる確率が50%であるとする。
したがって、蓋を開けるまで、猫は死んでいる状態と生きている状態が重なり合って存在している、というのである。
ところで、この状態の解釈については、いくつかの解釈が存在する。
一つは、蓋を空けることによって、猫の状態が一つの状態に収縮する、というものである(波動関数の収縮)。
この「波動関数の収縮」という言葉は、ドラマには登場しないが、シナリオでは、当麻が書道を行って紙を投げるシーンで使用されている。
もう一つは、猫の状態が生きている状態と死んでいる状態の二つに分岐し、お互いの分岐には干渉できなくなる、というものである。多世界解釈という。パラレルワールドとは少し違う考え方だが、何やら連想させるものがあるのではないだろうか。
【「神はサイコロを振らない」】
『SPEC〜零〜』ディレクターズカット版にのみ存在するセカイのセリフである。
確率的な解釈を取るコペンハーゲン解釈に対して、決定論(確率的な運動は存在しない)という立場から、実験者が観測できない変数を導入して説明する「隠れた関数理論」(すいません、全然意味がわかってません)を提唱した一人であるアルベルト・アインシュタインの言葉。
この言葉を引用するセカイ自身も、決定論に立っているということになる。
【ラプラスの悪魔】
青池潤がセカイを指して言った言葉であるが、フランスの数学者、ピエール=シモン・ラプラスが提唱したもので、つまり、世界に存在する全ての原子の位置と運動量を知ることができるような知性が存在するならば、その存在はこの先の世界がどうなるか完全に知ることができるだろう、というものである。
しかし、原子などのミクロ的な粒子の位置と運動量は同時に確定しないというコペンハーゲン解釈によると、ラプラスの悪魔は存在しないし、例えば世界の全ての原子の位置と運動量を知ることができて、1秒後の未来を知ることができるとしても、それに1秒以上かかってしまうのなら、「未来」を知ったことにならなくなる。
もし、セカイが「ラプラスの悪魔」であるとするならば、ドラマの中で起こっている現象は全て予知しているはずで、当麻の言動に驚いているのは実に奇妙なことなのであるがなぁ。
ということで、来週に続く!

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