【ヤメゴク】第九話 小ネタ、突っ込み、深読み(ねたばれ)&完全版(Blu-Ray、DVD)との違い

『ヤメゴク』Blu-RayとDVDには、第九話の放送版の他に、特典映像として、「完全版」と称したディレクターズカット版が入っている。
今回は、放送版でカットされたシーンの左上に、「ヤメ落ち」と表示されるので、カットシーンの検証は比較的容易だが、お約束なので、今回もやる。
BD/DVD版で追加された部分は、※をつけたり、※〜※で囲っている。
逆に、カットされた部分は、△をつけたり、△〜△で囲っている。


(早送り音声でなにやら)
ナレーション「このドラマは、警視庁15階にある、通称『足抜けコール』で活躍する人間たちの、物語である」
(前回の繰り返し)
麦秋「親の道を語るな。離せ!」
三ヶ島「麦秋!」
三ヶ島「どないしたらええねん、麦秋。どうしたらその憎しみ取れんねん」
麦秋を抱きしめる三ヶ島。涙を流す麦秋
(若干、前回よりもカットされている)
足抜けコール
麦秋の携帯着信 着メロは藤島桓夫の『月の法善寺横町』(教えてくださいました。感謝)なお、『TRICK』の矢部謙三もこの曲を着メロにしていた。※麦秋の就寝姿、横アングルで追加※
麦秋「はい」
遥「あ、姉ちゃん、朝早くごめんね」
三ヶ島「おう、※(なにやら鼻歌?を歌いながら歩く)※おう!麦秋、おはよう。朝飯こうてきたで。牛丼つゆだくに豚汁、紅ショウガ、野菜サラダのフルコースや。おまえいつもここへ泊まってるやろ。ほいだら朝飯どないしとんや思うてやな。え?いつまで寝とんねん。開けるで」麦秋はいない。「おう?」
佐野が反対側から出てくる。
三ヶ島「サ、サーくん、朝っぱらかな何やっとんねんおまえ(揚げ物をしている佐野)。うおおおお、捕まえたんかいムルキンチョ」ものすごい大きな罠を仕掛けている。
三ヶ島「よう生きとったのう。甲羅の裏がすごいやないかい。何やっとんの?」
佐野「おや、これは異なことをおっしゃる。毎朝バクちゃんさんに朝食をお作りするのが私の日課でございましょう」
三ヶ島「知らんわい。※暴追センターお前、出勤せんでええんかい。いつもここおるやん」
佐野「私は毎日、こちらに出勤、こちらから直帰。ご存知なかったでございますか?」
三ヶ島「ご存知やった気がするわい」
佐野「(あくび)」※

三ヶ島「あくびしとるやないか。※何かやったんやろ、お前。※
佐野「※暴追センターのご同僚様は警察のOBの方ばかり。ご年齢層がお高くてお話が合わないのでございますよ。※さあ、できましたよ。バクちゃんさん、マヤ文明の、お、も、(古い)
三ヶ島、佐野の手を取って「バクやったらなんやかわからんけどおれへんで」
佐野、三ヶ島の手を握って「て、※なし※
警視庁近く
麦秋が歩いていると、遥が待っている。
足抜けコール前廊下
石山と東条が出勤してくると、どこかで見たような猫背の髪の長い女性が…
石山、東条、立ち止まる。
東条「サダ」
石山「シッ」
※女性、石山と東条の間を通り過ぎる※
足抜けコール
極彩色の揚げ物を食べている三ヶ島と佐野
石山「おはよう!…って何食べてるの?もう勤務時間ですけど」
佐野「バクちゃんさんを待っていたのでございますがお戻りにならないので、朝食はこんなお時間になりました」
石山「ならしょうがないね、っていうとでも!」
外線 東条が取る「はい、足抜けコールです。えっ?関東貴船組の水田さん?」
立ち上がる三ヶ島「貴船組で水田言うたら若頭やんか」
スピーカーに切り替える。
石山「室長の石山です。ご用件は?」
水田「※私は、関東貴船組、二次団体、水千組を率いております。その※水千組ごと貴船組から足抜けお願いしたく、お電話申し上げました」
三ヶ島。
佐野。
東条。
石山。
貞子。
逆さま【タイトルバック】
タイトル音楽も逆回転?
遥「久しぶりに帰ってこない?うちに」
麦秋「…」
遥「あ、姉ちゃんの同僚の佐野さんのおかげでさくら就職決まりそうだから前祝いしようと思って(歯痛ポーズ)姉ちゃん料理上手だったじゃん。だから…」
麦秋「※私は、※あの家には絶対帰りません」踵を返す麦秋
遥「聞いたよ!(叫ぶ)姉ちゃんの、本当のお父さんのこと」
※麦秋「それでよく、家に帰れなんて言えましたね」※
遥「お母さんにも訳があったんだよ。※姉ちゃんの本当のお父さんのことずっと隠してた訳が※
麦秋「ええ。お母さんもそう言ってました。3年前に」
3年前
麦秋、橘勲と由美子の写真を見せて「この人誰?私のお宮参りに写ってるこの人。…私の出産に立ち会ったのもこの人でしょ!ねえ、この橘勲ってヤクザの組長なんだって!」
由美子「警察にばれちゃったの?」
麦秋「ばれちゃったってなによ?。(正の遺影を手に取って)ねえ、私はお父さんの子だよね?ねえ、永光正の本当の子だよね。違うの?ねえ、そうじゃないの?お母さん?」
由美子「ごめんなさい※、バクちゃん」
麦秋「嫌」
由美子「お父さんのこと、ずっと言えなかったのは、そう…」※

麦秋「いや、聞きたくない、いや…」
由美子「そうしなきゃいけない訳があった」
由美子をひっぱたく麦秋

麦秋「あの時決めたのです。(※永光家から去って泣きながら道路を歩く麦秋※)(もう)家には絶対帰らない。お母さんと橘勲は私の仇。橘を足抜けさせてカタギの世界で苦しめる。その夢をかなえるため、私はこの3年を生きてきたんです」
遥「もういいじゃん。姉ちゃん壊れるよ!」
ごみ置き場
佐野、ゴミをどちらに捨てるか迷っている。「※可燃?不燃?※可燃?不燃?あ、バクちゃんさん?どちらへいかれてたのですか?いま新たな足抜け希望者様がいらっしゃってますよ」(「不燃」の方に「足抜け」と貼り紙の貼られた刀が捨てられてる)
麦秋「なぜ私に連絡がないのですか」
佐野「もしかしたら、貴船組からの足抜けだと申し上げると、バクちゃんさんが暴走されるからかも…」
麦秋「足抜けする人は、貴船組、なんですね?」
佐野「それも超大物、ただ残念ながら私の出番はないようでございます。足抜け後のお仕事がすでに決まっているようでございまして」(本当は水田と顔を合わせたくなかった佐野)
去っていく麦秋
佐野「可燃?不燃?」後ろ向きに投げると、不燃のゴミ入れに入る。
足抜けコール
石山「投資ファンド?」
鷲頭「貴船組から足抜けできたあかつきには、水千組はカタギの投資ファンドに生まれ変わるつもりです」
東条「そんなの簡単にできる仕事じゃないでしょ」
水田「すでに、優秀なファンドマネージャーを客分として、抱えております」
三ヶ島「そいつ大丈夫なんか。投資やなんや、こさんくさいわ
石山「うさんくさい」胡散臭い、のテロップ。
鷲頭「関東貴船組はあなたたちに、系列の組や会社をいくつも潰されました。にもかかわらず資金が潤沢なのはその客分の手腕によるものです」
三ヶ島「そんな優秀なヤツがなんでヤクザに使われとんねん」
鷲頭「普通の会社ではできない勝負ができるから、そう言ってます」
三ヶ島「大したギャンブラーやな」
石山「あのー、ということは今、貴船組の資金源ってほとんどその客分さんが稼いでるんですか」
鷲頭「そうです。それはすべて、水田の親父の才覚によるものです。なのに橘の親分は水田の親父を冷たく扱って…」
水田「鷲頭」
※鷲頭「でも自分にはそう見えます。親父だってそう思ってるからこそ、こうして警察に協力を願い出て…」
麦秋「水田さん」
麦秋が入ってくる。
麦秋「あなたは貴船組の若頭。つまり、次期組長 の筆頭候補。その地位を捨て、足抜けする意思が本当にあるのですか?」
水田「俺に跡目の線はありません。もうすぐ麦蒔さんがシャバに出ますから」
鷲頭「橘麦蒔、橘の親分のご子息です」
三ヶ島「ああ、ムショの中で貴船組から足抜けした」
鷲頭「はい、先日仮釈放が決まったそうです」
麦秋「貴船組から足抜けしたのに、次期組長。やはり偽装離脱だったのですね。
石山・三ヶ島・東条「あっ」
麦秋「それを証言できますか」
水田「…」
鷲頭「できます。※俺たちの組をカタギにしてくれたら必ず証言します。※ですよね、親父」
水田(うなずく)
三ヶ島「そうなったら仮釈放帳消しになるかもしれん」
麦秋「水田千一さん。その約束お忘れになきように」
三ヶ島「よーし、きまった。関東貴船組系水千組、みなさんの足抜け、お引き受けいたします」
麦秋・三ヶ島・石山・東条「お引き受けいたします」(音がなくて肩すかしの麦秋以外の三人。麦秋はある方向、コピー機の方向に向かっている)
石山「あれ?効果音ないと思ったら佐野くん帰っちゃったか」
東条「まって、まって、よー(鐘を鳴らす)」
三ヶ島「遅い、遅いよ」
東条「では、こちらの離脱承諾書に(鐘を鳴らしながら)署名お願いしまーす」(2枚分)
鷲頭「あの、うちの他の組員の分は?」
石山「何人いましたっけ」
※鷲頭「水千組だけで、174人です。」
※三ヶ島「ごっついぎょうさんおるがな」

麦秋「※プラス、※直系の三次団体も入れて432人。今、その分をコピーしてます」
※三ヶ島「♪コピー、コピー、イワユル コピー、ヤー♪……プラスチックスや!」(ちなみに、プラスチックスは1976年に結成された日本のテクノポップバンドで、「COPY」は彼らのヒット曲である)
※石山「まさかこれって、432人の一斉足抜けってこと?」
東条「さすがに無理でしょ」
三ヶ島「えー、水千組が抜けたら貴船組の資金源がなくなる。系列のヤクザやったらそれぐらいのことわかっとるはずや」
東条「じゃあ、可能性あり?」
麦秋「ええ。貴船組を潰すチャンスです。さらに、橘麦蒔の偽装離脱の証言があれば、橘勲を逮捕できます」
石山「できないよ。バクちゃんいつも使用者責任で逮捕とか暴排条例違反で逮捕とかむちゃばっかりいうけどさ」やっとそこにツッコミを入れてくれた
三ヶ島「それほど憎んどんのやな。橘勲を」
水田「なんでそこまで、橘の親父を憎むんだ。自分の実の父親なのに」
石山「えっ?」
東条「実の父親?」
三ヶ島「ちゃうちゃうちゃう、言葉の綾や、あやや、あやや、杉本彩。京都出身、なんちゅうか、本中華」(三ヶ島のスーツの裏に杉本彩の写真)
石山「今日は壊れた?」
三ヶ島「お〜」
麦秋「水千組の全組員に、これを書かせてきます」
※コピーした離脱承諾書を紙袋に入れる麦秋
麦秋「では、行ってきます」出て行く麦秋
水田「鷲頭、一緒に」
鷲頭「はい」出て行く鷲頭
石山「三ヶ島くんも」
三ヶ島「おお、はいはい」出て行く三ヶ島
石山「で、あの〜、バクちゃんの実の父親が橘勲というのは何かのたとえでしょうか?」
三ヶ島(戻ってきて)「♪例えば♪俺の方から後で詳しくマイルドに説明…」
石山「何してんの!早くバクちゃん追って!」
三ヶ島「ああ、はいはい、アイル・ビ-・バックちゃん、なんつって」出て行く三ヶ島。「待てーい(廊下の途中で例の女性を見て)おお〜っ!サダや、ああ…」※

駐車場
軽ワゴンに乗る三ヶ島と麦秋。
隣では佐野が、車の中で爆睡
三ヶ島「あれ、こいつ何してんの?サー君、サー君」
麦秋「急ぎましょう。こんなにあるんですから」
△(提供コール)△
※車を動かそうとする三ヶ島。麦秋は助手席でシートベルトをしている。
麦秋「シートベルト」
三ヶ島「おおぅ」シートベルトをしようとするが、なかなか付けられない。「なんやこれ、しょうもない…おおぅ、びっくりした
ウインカーとワイパーを動かす三ヶ島。麦秋「サイドブレーキ、サイドブレーキ!」
三ヶ島「おお…ああ、なんやねん」車を出そうとするが、急ブレーキで止まる。
制服警官が様子を見にくる。三ヶ島「ああ、すいません」車を出そうとするが、クラクションをならす。「なんやねん、腹立つわ」言いながら車を出す三ヶ島。※

佐野「(目を覚まし)おちおち寝てられませんね。睡眠不足はお肌に悪いのに」
浅間組
入山「水田の野郎が組ごと足抜けってのは本当なのか?」
左「はい、足抜けコールの連中が系列の組で離脱承諾書とかいうのを集めてるそうです」
入山「水田の外道、調子こきやがって」
離脱承諾書を熱心に眺めている構成員をひっぱたく入山「なんだお前、離脱してえのか」
構成員「(首を振って)おす」
入山「おすじゃねえだろ」

足抜けコール
三ヶ島「しかし予想外やのう。水千組(本部)174人中64人がこれ(離脱承諾書)書くの拒否するやなんて」
麦秋「110人分集まれば十分です」
鷲頭が入ってくる「入ります」
三ヶ島「おう、どや?三次団体の連中それ書いてくれたか?」
鷲頭「それが、鳴子組も吾妻組も榛名会も、貴船組から足抜けする気はないと」
麦秋「なぜです?水千組が抜けたら貴船組は経済的に破綻するはずですよね?」
三ヶ島「それだけ橘勲の影響力が強いちゅうことやろ。※麦秋、相手はやっぱり強敵やで」
麦秋「望むところです」※

三ヶ島「せやけどこれで、系列の組、敵に回してもうたの」
麦秋「鷲頭さん、これにサインした構成員が危険です。水千組には出入りさせないでください」
鷲頭「はい、足抜けするまで、水千組の本拠地を移します」
水千組
水田(客分に)「ご迷惑をおかけしますが、我々が足抜けして、ここがカタギの会社になるまで、出入りはお控えください」
客分、パソコンの電源を切る。
橘の屋敷
麦秋「※関東貴船組組長、橘、勲、※こちら全てに一筆頂戴いたします」離脱承諾書の束。一番上は、東京都豊島区北池袋1-7-5 水田千一。ちなみに日付は平成27年7月2日付
橘「千一は本当に足抜けするって言ったんですか?」
麦秋「これが何よりの証拠です」
橘「千一とあって話をします」
麦秋「彼に会う気はありません」
橘「千一は私の子分です」
麦秋「今は私の依頼人です」
橘「親子の話をするだけです」
麦秋「それもできないあなたに、親の資格などなかったということです」
橘「……まさかお前にそんなこと言われるとはな、麦秋」
麦秋「名を呼ばないでもらいたい。汚らわしい」
橘「俺がつけた名前だ」
麦秋「だと思いました。こんなふざけた名前」
三ヶ島「ビールみたいやもんな」
構成員「親父※入山組長から、至急、お話したいと※」(と電話の子機を持ってくる)
※橘「失礼」
入山、電話している「話は聞きました。すぐに執行部で緊急理事会を開き、水田の兄弟の処分を決めるべきです」
橘「早まるな。まずは俺が千一と、一対一の親子の話しをする」
青峰「親父はまだそんなぬるいこと言ってんのか(若頭補佐・武尊組・青峰亨)水田はてめえのシノギを鼻にかけ、親父に恩知らずな振る舞いしてんだぞ」
入山「親を親と思っていない奴に親子の話しなんぞさせねえよ」
※青峰「だがどうする。親父がそういってる以上、勝手はできん」
入山「※勝手はしない。※理事会の顧問に、根回ししておく」
青峰「顧問って…赤城会の石川会長か?」
入山「ああ。橘の親父の兄貴分だ」
橘、電話を構成員に渡し、麦秋たちに「失礼しました。おい、出かけるぞ」
麦秋「まだ一筆もいただいておりません!」
橘「全ては千一と話してからだ」
麦秋「会うことは許さないと言ったはずです」
橘「親が子に会うのに許可なんていらないでしょう」
三ヶ島「水田は組にはおれへんで」
橘「千一がいるところなんか想像がつく。
※三ヶ島「今更会(お)うてもしゃあないやろ」
橘「本当の親子っていうのはな、どんなわだかまりがあろうと、話し合えば必ず心は通い合う。行くぞ」
麦秋、中庭に出て橘の前に出て手を広げる。
構成員「やめろ、親父の前に立つな」
※麦秋「よかったです。先に手を出していただけて」
麦秋、構成員を張り倒す(三ヶ島が反応しているのに注目)
※麦秋「公務執行妨害で、逮捕いたします」
構成員たちが何人も出てくる。羽交い締めにされる麦秋。振り切って構成員から棒を奪う。
麦秋「止めろ!」三ヶ島に棒を投げる。
三ヶ島、出口で棒をかざして「逃がさへんで」
橘「どけ」
麦秋、中庭の構成員を倒す。
三ヶ島、橘に棒を奪われ、倒される。
麦秋、橘が持っていた棒の一端を握る。
橘、麦秋を棒を使って降り倒す。「キラーン⭐️」今日は赤。
麦秋「よかったです、手を出していただけて。(手錠を出して)公務執行妨害、および暴行の現行犯で逮捕いたします」
三ヶ島、麦秋の足を掴み「親子ゲンカは、アカン!」
麦秋「三ヶ島!三ヶ島!※三ヶ島!※
気を失う三ヶ島。リーゼントが絨毯に押し付けられる。
『赤城会』本部
石川「我々は極道だ。外道だとわかっているものを放置するのは無責任だ。見捨てず、指導してやってくれ」
青峰「もし水田の兄弟が、我々の指導に牙をむいたら?」
石川「そのときは水田もその子分も、皆殺しにすりゃいい。それができるのも極道だ。
※入山「橘親分の意向に背くことになりますが?」
石川「※俺から、橘組長を指導しておく。※心置きなくやれ」
構成員(入山に)「橘の親分が一人で動き出しました」
入山「水田に会うかもしれんな。追え」
水千組が借り住まいしている倉庫
水田に会いに行く橘
鷲頭「連絡いただければこちらから出向きましたのに」
橘「俺から逃げるためにこんなとこに隠れてんのか」
※鷲頭「隠れてる?何のことでしょう?」
橘が辺りを見渡し、ブルーシートをめくると武器がたくさん出てくる」
橘「足抜けを邪魔する連中が来たらこれで撃退ってわけか。そんなことしたら足抜け前に逮捕されるぞ」
鷲頭「ご忠告ありがとうございます」
橘「腹の探り合いはここまでだ。千一はどこにいる?」
鷲頭「こちらにはおられません。ああ、事務所のほうに…」
橘「腹の探り合いはここまでだと言ったろう。千一出せよ。千一!千一!これがおまえの筋の通し方か。出てこい、千一!」隠れている水田
あぶくま整形外科で処置を受けている三ヶ島
三ヶ島「痛い、痛いわ。※完璧、首いわしてもうた。もうアカンわもうアカン、ああ、首の感覚がないわ…※目の前が暗なってきた」ベッドにうつ伏せに寝かされている三ヶ島。見守る麦秋、章子
遥「気を確かに。好きな食べ物を教えてくださーい」
三ヶ島「カルボナー…カルボナーラじゃ!おおぅ」
麦秋「※ずーっとこんな調子です。※早く適切な検査と処置を」
※三ヶ島「このままおれが死んだら別れた妻と娘に遺言を…貯金の半分はカルボナーラで」
※遥「伏せてください」(よく聞き取れず)
章子「三ヶ島さーん、鉄パイプで殴られたんですよね」
三ヶ島「せや、殺人未遂や」
麦秋「いいえ、木の棒です」(三ヶ島と同時に)
章子「内出血すらないけど。背中のここが少し赤くなってるから、殴られたとすれば、多分ここ。わざわざ病院に来る必要なし」
三ヶ島「そんなはずあるかいな」
遥「落ち着いてください」
三ヶ島「えーお前、この2ヶ月以上お前、ともに命を張ったこのバディとお前、このヤブドクター、どっちを信じんねん!ちゅう話…」
麦秋「そいつはその辺に転がしといて通常業務にお戻りください」
三ヶ島「こら」
麦秋「あなたのせいで、ありえないタイムロスをしました」
三ヶ島「おい、どこ行くねん」
(遥、歯痛ポーズ)
麦秋「もちろん、橘勲を逮捕しに行きます」
診察室を出て行く麦秋、後を追う章子
廊下
※(診療室内で)三ヶ島「ちょっとお願い…」
※(診療室内で)遥「大丈夫、大丈夫」
章子「逮捕できるの?橘勲」
※(診療室内で)三ヶ島「痛い!ホンマに痛いねん」
※(診療室内で)遥「大丈夫、大丈夫」
麦秋「できます。三ヶ島刑事への暴行罪で」
※(診療室内で)遥「だからちょっと赤くなってるだけって言われたじゃないですか」
※(診療室内で)三ヶ島「いや!薬ちょうだい!薬!」
※(診療室内で)遥「大丈夫なんだって」
章子「これでやっと叶うのね。多くの人を犠牲にしてきたあなたの夢が」
※(診療室内で)三ヶ島「薬…」
※(診療室内で)遥「人間の自然治癒力すごいんですから」
※(診療室内で)三ヶ島「赤チン…赤チン塗って、赤チン」
※(診療室内で)遥「赤チンない」
麦秋「その犠牲の中には、先生、あなたも入っている、そう思っているのですね?」
※(診療室内で)遥「もう、いい大人なのに!なんでそんなに痛がるんですか」
※(診療室内で)三ヶ島「鎮痛剤、点滴、痛い痛い取る…痛いの取る鎮痛剤…」
章子「もちろんよ」
章子「今後もあなたのいいなりになってあげる。あなたと一緒に、戦ってあげる」
麦秋「あの言葉に、嘘はないですね?」
※(診療室内で)三ヶ島「このまま死ぬかもしれん。黙ってたら死んでまうかも。痛いわ、アカンわ、もう」
章子「あのとき、私はあなたの共犯者になった」
※(診療室内で)遥「落ち着いてください」
※(診療室内で)三ヶ島「お腹減ってきた。ナポリタンかなんかないかな?」
※(診療室内で)遥「カルボナーラ?」
※(診療室内で)三ヶ島「カルボナーラじゃない。俺はナポリタンが好き…食わしてくれてもええんちゃうか?ホンマに」
診察室に戻る章子
※(診療室内で)章子「静かにしなさい!」
麦秋「そこで何をしているのですか、佐野さん」
診察室の後ろのドアから顔を出す佐野
佐野「あ、三ヶ島さんが大怪我なされたと伺いまして」
麦秋「かすり傷です」
佐野「まあ、でも、お見舞い、お見舞い」診察室に入っていこうとして立ち止まる。「あっ、いささか面食らったでございますよ」
麦秋「はい?」
佐野「水千組の足抜けをお引き受けなさるなんて」
麦秋「貴船組を叩きつぶすチャンスです……何か?」
佐野「(真面目な口調で)僕も有留先生と同じくあなたの共犯者のはずだけどね」
麦秋「あなたはあなたの仕事に戻ってください」
佐野、麦秋の肩を掴み「ご存知ですか?共犯者になる人間の共通点」
麦秋「はい?」
佐野「過去に大きな失敗をしていること、その失敗に現在もとらわれ、懸命に抜け出そうとしていること。だからこそ、強いご意志をお持ちの人にひかれその人についていきたくなること」
麦秋、佐野の手を振り払って「※なんの話ですか?」
佐野「有留先生と、私めの話ですよ。」※

麦秋「あなたも以前、何か大きな失敗を?」
佐野「そのとき私は、自分にとって最も大切なものを失いました。だから今、懸命にそれを取り戻そうとしております。たとえバクちゃんにすがっても」佐野が「バクちゃん」と「さん」を抜いて読んだのはこのシーンが初めてでは?
※佐野「あっ、いけない。三ヶ島さんのお見舞い、お見舞い(OFF)三ヶ島さーん、大丈夫でございますか?」
※(診療室内で)遥「ちょっと、なんですか、なんですか!」
※(診療室内で)佐野「どこが痛いの?ここ?ここ?どっちどっち?」
※(診療室内で)三ヶ島「痛い痛い痛い、違う違う違う、違う違う違う…」
※入山(車の中)「青峰の兄弟、分かってると思うが」
※青峰(車の中)「ああ、どっちが水田のタマとっても恨みっこなしだ」(電話を繋ぎ直し)「俺だ!そっちはどうなってる?」
橘、水田が隠れている倉庫から出てくる
浅間組構成員、電話で「今、橘の大親分が出てきました」
武尊組構成員、電話で「結局水田の叔父貴は橘の大親分とは会ってません」
入山(車の中)「親子の話はできなかったってわけか。いいか、水田の身柄、必ず我々浅間組で確保するんだ。わかったな」
青峰(車の中)「橘の親父がいなくなったら踏み込め」
橘、車で去っていく。
入れ違いで武尊組、浅間組がやってくる
鷲頭「武尊組だ!浅間組もいます。親父を守れ!」
大乱闘になる※以後のアクションシーンの「ヤメ落ち」は、自分でお確かめください。あえて言うなら、「キラーン⭐️」(笑)※
水千組、倉庫の中の武器で立ち向かう。
麦秋が割って入る
武尊組と浅間組に立ち向かっていく
麦秋「あなた方はもうカタギ。手を出すな」
武尊組構成員「この腐れ外道が!」
麦秋、峰打ちで倒しまくる
ここからは、文字では映像の、ノースタントの迫力を表現できない。あえて言うなら、「キラーン⭐️」(笑)
倉庫の中は、麦秋が倒したヤクザの山
橘の乗った車の中
橘「はっ?いまなんとおっしゃいました」
石川「入山と青峰が今、水田に任侠の指導をしておる」
橘「勝手なことしないでいただきたい。これは俺と千一の親子の話です」
倉庫
三ヶ島、入ってきて「うぉー麦秋うぉーどないなっとんねん。お前いつもどんな技使ってんねん。これお前死んでへんのやろ。どのツボ押したらこうなんねん。チョ、お前そもそもこの技どこで習うたんや。お前ほんまにロンリーソルジャーやな。え?」『ロンリーソルジャー』(Lonely Soldier)はチェッカーズの2枚目のアルバム、『もっと!チェッカーズ』の楽曲で、この後に登場する藤井尚之さんがリードボーカルをとっている。
鷲頭「なんであんたはそこまでする」
麦秋「もちろん、※こんなことをした、彼らの組長を逮捕し、最終的に、それを命じたであろう※橘勲を逮捕するため」
鷲頭「そんなに憎んでるのか、橘の親分を」
麦秋「橘勲は、私の仇です」
鷲頭「実の親が仇なのか!」
麦秋「実の親だから、仇なのです」
笑う水田※笑う水田※
水田「大したことねえな。実の親子なんて。血の絆なんて、幻想だ」
※三ヶ島「何が言いたいねん?」
水田「俺たちをカタギにしてくれたら、親父の犯罪をいくらでも証言してやる。俺だって、平気で親父を売ってやる」
麦秋「その言葉、お忘れなきように」
入山「水田の親分、覚悟せえ」
鷲頭「親父!」鷲頭と三ヶ島、水田めがけてダッシュする。
入山が水田に発砲
橘が飛び込んできて、橘の背中に弾着。すごいスピードで走れる橘。SPEC?
橘、水田を抱きしめる。
麦秋、鉄パイプをボレーでキックして入山を卒倒させる。
橘「何やってんだお前らよ」
水田「親父。どうして!どうして!」
橘「決まってんだろうがよ。おまえは俺の子供だからだよ」
水田「子供って…俺はこの黒い服の警官とは違います。麦蒔さんとも違う。※俺は、親父の実の子じゃねえ!※
橘「それがどうした!それがどうしたんだよ。はあ?いいか。麦蒔とちがって、おまえや麦秋は、俺とは血が繋がってねえよ」
三ヶ島「麦秋と血が繋がってない?」
橘「だがな、俺にとって血の繋がりなんぞ、なんの意味もねえんだよ、んなもん」
倒れる橘
水田「親父ぃ!」
「玉丼病院」に運ばれる水田
救急士A「橘さん大丈夫ですか?」
救急士B「先生、意識レベル100で、かなりの出血です」
医師「わかった。オペ室、すぐ準備して」
看護師「はい」
医師「麻酔科にも連絡。急ぐよ」
看護師「はい」
手術室に運ばれる橘
※医師(藤井医師)「挿管準備」
※看護師「はい、輸血準備します」
※藤井医師「橘さん、分かりますか?」
※医師「外科にも連絡入れて」
水原「とんでもねえ、すぐに弾の摘出だ」
三ヶ島「お前と橘勲、血ぃ繋がってへんてどういうこっちゃ?実の親子ちゃうんかい?」
麦秋「…」
三ヶ島「せやから憎んどったんちゃうかったんかい?え?」
麦秋、出て行く。
三ヶ島「どこ行くねん」
水原、三ヶ島を抱きとめ、「こいつら(水千組の連中)を保護しねえと、またいつ襲われるか。警視庁に連れて行きましょう」
水田「行かねえ!」
鷲頭「親父」
※水田「俺は、橘の親父が出てくるまではここを動かん」
麦秋、永光家を訪れる。玄関に佇んでいると、さくらが帰ってくる。
さくら「バク姉ちゃん?嘘、何年ぶり?」
麦秋「三年ぶりです」
さくら「アジャパー」お前いくつだよ
足抜けコール
石山「バクちゃんは?」
電話している登場「ダメですね。携帯、留守電のままです」
石山「ホントどこ行ったんだろうね。三ヶ島くん」
三ヶ島「あっ?」
石山「あ、じゃないよ。なにボーッとしてんの?バクちゃんは?永光麦秋巡査部長は?」
三ヶ島「麦秋は橘勲と血が繋がってない、あれどういう意味や」
佐野「それはそのままの意味でございますよ。バクちゃんさんは、橘勲と親子ではありません」
パーティションの上から首を出す佐野
三ヶ島「お前なんで知っとるんや?お前何で背高いねん?」
佐野「だって先日バクちゃんさんのお母様に全部伺ったばかりでございますから」
ローラーブレードを履いてかき氷を配る佐野(『未来講師めぐる』か!)
東条「バクちゃんが橘さんの実の娘だって水田さんから聞いたばっかなんだけど」
石山「そうそう、だから、我々と水田さんだけの秘密ねって約束したばかりなんだけど」
三ヶ島「父親やったから麦秋は橘をあんな憎んどったんやろ。ストロベリーやありがとう」ちなみに東条に配ったかき氷はレモン?石山に配ったかき氷はメロン?
佐野「それは、バクちゃんさんと警察の人事様の誤解です」
※三ヶ島「誤解〜?」
佐野「※あえて語らせて頂くのならば、※バクちゃんさんの生い立ちは、実はもっと過酷なのでございます」
永光家
由美子「昔っから、母さんのことを好きになってくれる人ってヤクザみたいな人ばかり。そんなとき、バクちゃんのお父さんがあらわれたの」
麦秋「橘勲」
由美子「勲さんじゃない。真面目な銀行員、そう思ってた」
26年前
丸橋「申し訳ありませんでした」(頭をさげる)
支店長「お客様は、この金の流れを把握してなかった。君が勝手にやったことなのか」数十万単位の「出金」にマーカーがされた入出金伝票
丸橋、暴れる
支店長「丸橋!丸橋!丸橋!お前、なにやったんだ」

足抜けコール
佐野「逮捕された後、その人はおっしゃったそうでございます」
丸橋「俺がずっと横領してたのはね、ゆみちゃん、君のためだったんだよ。だから君も共犯だ」
佐野「その言葉にバクちゃんさんのお母様はは大いに絶望したそうでございます。(かき氷を食べて)うーん」
佐野「幸いその人とはまだ入籍してなかったのでございますが」
永光家
由美子「お腹の中には、麦秋。あなたがいた」
※麦秋「じゃあわたしは、ヤクザの娘じゃなく、犯罪者の娘」
由美子「だからお母さん、近所の神社で…」
首を吊ろうとする由美子
助ける橘勲

由美子「それが橘勲さん。そのまま勲さんはバクちゃんが2歳になるまで私と一緒にいてくれた」
足抜けコール
佐野「△そのあと△※しかしその後※関東貴船組の幹部に抜擢されて本妻の元に戻ったそうでございますよ。まあその後何度か復縁を求めてバクちゃんさんの家に行ったそうでございますがね」
東条「ちょっと待って、それって…」
三ヶ島「ほんだら、あいつにとって橘勲は仇やのうておまえ、むしろ命の恩人やないかい」
永光家
麦秋「どうしてそれを黙ってたの。3年前のあのとき、なんで隠したの」
遥「だからそれには訳があったんだって!」
由美子「約束だったの。死んだお父さんとの」
3年前
病床にいる永光正
正「俺が死んでも、約束を守ってくれよ」
由美子「死にません」
正「麦秋は俺の子だ。二人で、そう約束したろ」
由美子「あなたは、自分の実の子ではないバクちゃんを認知して、私の籍からあなたの籍に移してくれた。そうすれば戸籍を見てもわからないって」
正「戸籍上でも麦秋の父親になりたかった」
由美子「ありがとう」
正「約束だ。麦秋の実の父親は私。遥やさくらと一緒だ」
由美子「ありがとう」

永光家
麦秋「お父さんも、グルだったんだ」
遥「姉ちゃん!」
由美子「バクちゃんは実の父親のことなんか知らなくていい、知るべきじゃない。お父さんそう言って…だから」
麦秋「そうやって哀れな犯罪者の娘を救ってくれたの?いい人ね本当に。赤の他人なのに」
由美子「麦秋。(麦秋の顔をはたく由美子)赤の他人なんかじゃない、あなたのお父さん。あなたが警官になったとき、誰より喜んだあなたのお父さんよ。でも、実の父親のことが知られたら警官になれないかもしれない。麦秋の将来を潰しちゃいけない。バクちゃんの笑顔を奪っちゃいけない。だから警察に嘘までついたの」
麦秋「じゃあ、何のためにヤクザを恨んでたの」
※さくら「ヤクザを恨んでた?」
麦秋「私、何のためにヤクザを恨んでたの!」
由美子「もっと早く、全部話すべきだった」
麦秋「違う私が、3年間もお母さんと話すことから逃げてた」
橘「本当の親子ってのはな、どんなわだかまりがあろうとも、話し合えば必ず心は通い合うものなんだ」
麦秋「あの男の言う通りだった」
由美子「バクちゃん、バクちゃん(抱きしめる由美子)」
振り払う麦秋「私にそんなことされる資格はありません」
由美子「バクちゃん!」
※足抜けコール資料室、夜、佇む三ヶ島。あちこち見回し、ため息をつく。
足抜けコール、朝
三ヶ島「(電話)今来ましたわ、いやー大丈夫です。ええ元気そうです。伝えておきます。はい」
三ヶ島(麦秋に)「お母さんから伝言や。いつでも段ボール捨てて家に帰ってこいって。それと、水千組の水田からも伝言や。組ごと足抜けする件も、偽装離脱証言する件も、なかったことにしてくれって。勝手な男やの。所詮はやくざや。クズやろほんまに。けどなんか、清々しい声やったわ。カタギにはなれへんかったけど、きっと何かから足抜けしたんやろうのう。そうか、全部わかったか」
麦秋「3年間、人を恨み、傷つけ、その全てが無駄でした」
三ヶ島「無駄やない。おまえのおかげで、救われた人もおったで。俺が確かにこの目で見たんや。間違いあるかい」
麦秋「いいえ。全く無駄な3年間でした」資料室に入ろうとする麦秋
三ヶ島「せやったら、その3年から足抜けせえ。麦秋、今度はおまえが足抜けする番や(鐘を取って)お前の足抜け、俺が引き受けたる」(鐘を鳴らす)
玉丼病院
水原「弾の摘出はうまくいったんですよね?」
医師「ただですね、脊椎の損傷がひどかですね、こりゃ。神経ば圧迫しとります」脊髄を損傷してたら治らないよ!
水原「だから、意識が戻らねえの?」
医師「いや、意識がもどらんとは」字幕「意識が戻らないのは」出た、方言字幕!
医師「出血性ショックによる影響かちゅ思いますばってん」字幕「出血性ショックによる影響だと思いますが」
医師「神経の圧迫ば解除するオペばせないかんと思うとります」字幕「神経の圧迫を解除する」「オペが必要なのですが」
医師「がーばいリスクのたっかけんがですね」字幕「すごく」「リスクが高くて」
医師「命の危険があるとです」字幕「命の危険があります」
医師「ところがですね…」
水原「そのオペば、やってくれる病院ば、こいから探すとよ」字幕「そのオペを」「やってくれる病院をこれから探す」水原まで方言がうつってる
水田「ここでできねえのか?」
水原「お前らヤクザを恐れてんだよ」
足抜けコールに電話
東条が取る。「はい、足抜けコールですえっ、ああ、水千組の水田さん。橘さんが?」スピーカーに切り替える
水田「橘の親分をオペしてくれる病院をすぐ探してくれ。この病院は、俺たちを恐れてやってくれねえ」
麦秋「水田さん、オペとはどのようなオペですか?」
水田「あんた、あんたには話せねえ。橘の親父を恨んでる麦秋さんには」
三ヶ島「麦秋の足抜けのチャンスや。もう恨む理由ないはずや。お前の足抜けのチャンスや」
麦秋「助けます。橘勲は、私が助けます」
水田「本当か!」
あぶくま整形外科、診療室
章子「確かに難しいオペね。でも私ならできる」
麦秋「では、よろしくお願いします」
章子「お願いします…何を?」
麦秋「何を?橘勲を助けてください」
章子「助けてくれ?ハッ、苦しめてくれじゃないの?橘勲はあなたの仇でしょ」
麦秋「それは…。違います」
章子「違う?確かにあなたはずっとそう言っていたはず」
麦秋「それは間違っていました。橘勲は私の…とにかく先生のオペで助けてください」
章子「間違ってた?そんなこと今更許さない。あなたのせいで、今までどれだけの人が苦しめられたか。どれだけの人生が壊れたか!多くのひとを地獄にたたき落として、自分だけ楽になろうなんて、絶対に許さない!(章子、麦秋の顔を掴む)ヤクザに関わったものは一生苦しめるべき、だったわよね?勘違いしないで、私は医者よ。治療はする。ただし、治療を終えたら、かならず橘勲を逮捕して。そして、ちゃんと苦しめて。それを約束するなら、治してあげる」
麦秋「だから助けてくださいと言っています。生かしておかないと逮捕できませんから(土下座する)お願いします」
水千組
※鷲頭「手術は明日、その女医なら必ず成功させると先ほど連絡がありました」
※水田「そうか。しかし、俺たちがしたことは、たぶん許されねえだろうな」
※鷲頭「はい。正式な処分は橘の親分が退院したら開かれる理事会で決まるはずです」
※水田「そんな俺の命を、親父は身をていして守ってくれた。理事会の結果どうなろうが、それだけで俺は十分だ」
※鷲頭「そうやってまた、橘の親分についていくんですか」
※水田「もちろんだ。俺の親父だからな」
※鷲頭「そうやってまた!いいように使われるんですか?」
※水田「どうした鷲頭」
※水田、ディーリングルームへ
水田「先生、いろいろお騒がせしましたが、水千組は今後も、資金面で貴船組を支えていくことになりました」
客分「ええ、正直ホッとしました」ディーリングしている客分。「6972/ TAMOCA」や「ボトールコーヒー」といった銘柄が見える。別の画面には、各国の為替レート
水田「つきましては橘の親父の退院祝いと合わせて、次の上納金ではかなり目立つ額が必要となります。近々まとまった儲けを出すことは可能でしょうか?」「?テクノロジー」「エーエヌケー」といった銘柄も見える。
客分「でしたらここらで一つ(メガネを取ると、その顔は佐野)大きな勝負をさせてもらえませんか△字幕の色が、客分が佐野だとわかった瞬間に白から緑に変わる。△
足抜けコール、夜
三ヶ島「逮捕する?」
麦秋「はい。オペが終わり退院出来たらすぐにでも」
三ヶ島「橘勲はお前とお前の母親の命の恩人やろ」
麦秋「あなたに暴行を加えた犯罪者であり、ヤクザです」
三ヶ島「…」
水千組
鷲頭「は?今投資している以上の資金が必要なんですか?」
佐野「だって今すぐ大きなリターンが必要なんですよね」
水田「確かに、おっしゃるとおりです」
佐野「上部組織から借りたりできないんですか?」
水田「わかりました。至急橘の親父に許可を取ります」
佐野「楽しみにしています」
鷲頭「あの、そのリターンはお約束していただけるんですよね」
佐野「ええ、あなた方が想像を絶するようなハイリターンを」
水田「よろしくお願いいたします」
足抜けコール
三ヶ島「3年間の恨みから足抜けするんちゃうんかったんかい。いままでみたいにまた人を恨みながら生きていく気なんかい。え?」
警視庁の外観に、足抜けコールのセットの外観を合成している。ライトの色が本物の警視庁とかなり違う。
【おまけ 次回予告の時間】
来週
最終回
慌ただしく動くスタッフ、中には堤監督も
麦秋「最終回の予告の時間ですが全く撮り終わっておりません」
三ヶ島「間に合うんかいな」
麦秋「わかりません」
三ヶ島「一週間しかないんやでぇ」
麦秋「大丈夫ですかね」
 
 
 
 
10分以上は追加シーンがあったと思うが、鷲頭と水田の思いのすれ違いがは、次の回に向けた大きな伏線となっているので、これをカットしてしまったのは、どうなのだろう、というか、カットされたシーンでより鷲頭のプレゼンスが高まっているね。
困ったのが、あぶくま整形外科の廊下のシーンの「ヤメ落ち(声)」こんな小ネタを作る方も作る方だが、作っておいてカットするというのも…Blu-Rayで復活して良かったですね(棒読み)

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