【SPEC】ケイゾクを見ていない人のために パート7【ケイゾク】

前回パート6の続きである。幾つまで行くんだろう…誰に『ケイゾク』の魅力が伝わっているんだろう…
繰り返しになるが、以前、「ケイゾクを見ていない人のために」という記事を書いた。
『ケイゾク』を見ていない人に、『ケイゾク』の魅力を伝えるというのは、このブログの究極の目的であるが、その目的は全く果たせていない。
今回は、映像と音楽(音効)の魅力について書こうと思う。


『ケイゾク』は1999年の作品であり、ハイビジョン作品と比較して画質が劣るのは否めない。
また、映像技術の進歩も著しく、堤作品の撮影手法も大きく進化している。
VFXについては、『ケイゾク』では、『タイタニック』にCGアニメーターとして参加するなどし、現在映画監督として活躍している曽利文彦氏が担当し、最新のCG技術が使われていた。しかし、現在では、家庭用のPCで再現可能なものもあるだろう。
しかし、基本的な、独特のアングルや、オールロケ、ワンカメラを基本とした撮影手法、カット数の多さといったことは、基本的には変わらない。
『ケイゾク』で特徴的なのは、パートカラー(白黒映像の特定の部分に色をつける)や、イメージシーンで極端にいじっていたり、映画では銀残しという現像方法を使ったりと、際立った色彩の色作りをしていることだろうか。
さて、これでは『ケイゾク』の映像の魅力は伝わらないと思うのだが、なんといっても『ケイゾク』の映像の魅力の代名詞といえば、タイトルバックである。
連続ドラマ『SPEC』のナビ映像、「SPEC〜first blood〜」では、「ケイゾクでは、東京中の丸いモノを集めて、東京千景を作ってみた」という言葉があったとおり、東京の様々な映像が切り替わっていく。そこに流れる中谷美紀さんが歌うテーマ曲『クロニック・ラヴ』を聞くと、まさに『ケイゾク』の世界にトリップしてしまうような気分になれる。ちなみに余談だが、『クロニック・ラヴ』の原曲は故・岡田有希子さんが歌う『WONDER TRIP LOVER』である。
また、タイトルバックは毎回変わっており、その回のミステリのヒントとなるような映像が挟み込まれるといった遊び心もある。
次に、『ケイゾク』の魅力、音楽である。
『ケイゾク』の音楽を担当されているのは、見岳章さん。『一風堂』を結成し『すみれ September Love』がヒットするなどしたあと、秋元康さんとともに美空ひばりさんのヒット曲『川の流れのように』などを手がけている。ドラマの音楽では、『金田一少年の事件簿』『金田一少年の事件簿N(neo)』も手掛けており、『ケイゾク』も『金田一』っぽいところもある。
『ケイゾク』における音楽の特徴は、サウンドトラックを聞いてもらえばわかると思うが、打ち込みを多用した無機質なサウンドである。これをさらに、MAを担当した志田博英さんが、曲のパーツを分解して、場合によっては分解した別々の曲のパーツを合体させるなどして、独特の世界を醸し出している。
例えば、映画のサウンドトラックに入っている「SINCERELY HOPE」という曲を例に取ってみると、サントラでは、ピアノ、ドラムスにベースが入り、後半サックスが絡むという展開になっているわけだが、ピアノだけ、ドラムスだけ、サックスだけと、分解した形で劇中使われているのである。
『SPEC』では音楽スタッフは全く別になっているので、この面での『ケイゾク』の魅力は、『SPEC』には受け継がれていないということである。

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