ケイゾク mystery5 「未来が見える男」20年目の印象(パート2)

さて、前回の記事を書いたあと、読者の方とのやりとりを通して、20年間気づかなかったことに気づいたので、書いておく。
それは、「鷺沼はインチキか?」ということの回答である。
そのためには、鷺沼が行なった「霊能力」というものを、2つに分けて考える必要がある。
一つは、別の場所の現在を視る力。「霊視」と呼んでおこう。
もう一つは、未来予知。「予言」と呼んでおこう。
そして、「霊視はインチキだが予言は本物」というのが私の結論である。
鷺沼が、テレビ放送中に行なっていたのは、「行方不明の人がどこにいる」「どんな服を着ている」「、人が殺された」「凶器がどこにある」「犯人はどこにいる」と、「霊視」ばかりであり、柴田にインチキだと見破られる。
一方、「予言」は、柴田に「欲しいものは手に入りますよ」と言ったこと、真山に、「あんたを追ってる人が今日殺されるよ」と言ったことがある。
前者は、最初柴田が「ダンナ様ですか?」などと言っていたから惑わされてしまうのだが、のちに柴田が言っているように、当たったのである。
後者が、正確な予言であることは、言うまでもあるまい。
そんな鷺沼でも、自ら語っていたように、未来予知の能力にはむらがあるようで、自分が逮捕される未来は予言できなかったわけだ。
ここまで計算されて作られていたわけで、「未来が見える男」というサブタイトルは嘘をつかない。

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