『ケイゾク』第8話には、いろいろと謎の点が多く、今となっては検証が難しいものもあるが、わかりやすいのは、当時のホームページに載っていたり、現在配信サービスに掲載されている「あらすじ」が、本編と違っているということである。
映画公開後の『ケイゾク』ホームページデータは、『ケイゾク』のDVDの6巻、またはBlu-ray BOXのDisk7に収録されており、リンクをたどっていくことで当時の「あらすじ」が参照できる。
ホームページのあらすじは、次のようになっていた。
GUEST CAST – 片山 雄介
数々の迷宮入り事件を解決してきた柴田が、殺人事件の容疑をかけられてしまった。合コンで知り合った男性とホテルに行った柴田が目を覚ますと、そこには胸にナイフを刺された血まみれの死体があったのだ。ホテルに入った記憶がない柴田は呆然とするが、部屋の内側からチェーンがかけられていたため、密室殺人事件の重要参考人として取り調べをされることになってしまう。
今回、柴田と捜査を共にするのは麻衣子。柴田の大学時代からの友人で、合コンに柴田を誘ったのもこの麻衣子だ。彼女の言動にはドラマ後半、最終回に向けての様々なヒントが隠されている。
いつものようにバス通勤する柴田(中谷美紀)は、男子高校生が見ていたインターネットの悩み相談に目がとまった。興味津々で「素敵な旦那様の見つけ方」と入力するが、コンピューターの返答は冷たいモノ・・・。そして「死にたい方へプレゼント」というメッセージを見てしまう。二係では、野々村(竜雷太)が捜査一課の早乙女(野口五郎)にお小言を受けていた。柴田ら二係の面々が捜査に手出しするのが面白くないらしいのだ。今後勝手な行動は慎むように・・・と注意を受け、真山(渡部篤郎)はむくれる。
そんな中、柴田は大学時代からの友人、麻衣子(西尾まり)に合コンのお誘いを受ける。星占いで「今週あなたは大切なモノを失う」と出ていた柴田は期待に胸を膨らませ、待ち合わせ場所へ向かうことに。さっそく有名大学の学生、原(片山雄介)といい雰囲気になった柴田は有頂天。ホテルの一室で目を覚ますことに・・・。
ところが、目が覚めてびっくり。ベッドは血の海。その中に、裸の原の死体があったのだ。しかも部屋の内側からはチェーンが掛けられてあり、完全な密室状態。柴田は容疑者として疑われてしまうことになる。「身の潔白を証明する前に真犯人は逃げてしまう」と思った柴田は警察から逃走。麻衣子と共に捜査を進めるが「死にたい方へのプレゼント」のメッセージが、実は合コンのメンバーヘ向けたものだと気付く。犯人は身近な人物だった・・・。しかし、犯人をあやつっていたのはなんとあの朝倉(高木将大)だった。
演出 – 堤 幸彦
TVerで配信された時、また、配信サービスParaviには、次のようなあらすじが載っている。
野々村(竜雷太)が捜査一課の早乙女(野口五郎)に小言を受けていた。早乙女は柴田(中谷美紀)たちが捜査に手出しするのが面白くないらしい。勝手な行動を慎めと注意を受けた真山(渡部篤郎)はむくれる。 そんな中、柴田(中谷美紀)は目の前で犯罪者が自殺したことにショックを受け、辞表を提出。友人の麻衣子(西尾まり)の部屋に転がり込む。麻衣子は落ち込む柴田に男の子を紹介する。
そのほかの配信サービスでは、次のようなあらすじだったりする。
柴田 (中谷美紀) は目の前で犯罪者が自殺したことにショックを受け、辞表を提出。友人の麻衣子 (西尾まり) の部屋に転がり込む。麻衣子は落ち込む柴田に男の子を紹介する。
【ホームページに載っていたあらすじ】
ドラマと同じところを探すのが難しいくらいドラマとかけ離れている。
1パラグラフ目は、他の回のあらすじも同様のスタイルで、「あらすじのサマリー」のようなものになっていて、2パラグラフ以降に本格的なあらすじが展開されるというスタイルでホームページに掲載されていた。
この1パラグラフにしか出て来ない内容に限って検証すると、ナイフで刺されたことになっているが、ドラマでは鈍器で殴られたことになっている。「彼女の言動にはドラマ後半、最終回に向けての様々なヒントが隠されている」とあるのだが、最終回まで見たところではそうしたヒントも見当たらなかったように思う。
次に、2パラグラフ目以降について比較する。しょっぱな、柴田のバス通勤って3話で終わった柴田の遅刻ネタじゃないか、という話だし、インターネットの悩み相談は、麻衣子が見ていたホームページだし、「素敵な旦那様の見つけ方」という書き込みは柴田らしいが柴田が書き込みするわけじゃないし、コンピューターが返答するわけじゃなくて、掲示板のユーザー同士でアドバイスするというものだった。ブレゼントのメッセージを見るというところは一致している。「二係では〜」以降パラグラフの終わりまで、Paraviのあらすじとも共通しているが、ドラマにはないシーンである。
次のパラグラフであるが、「そんな中」ではなくて、辞表を出して、夜中に麻衣子の部屋に転がり込む。麻衣子が柴田の「大学時代からの」友人とされているが、第2話では「学生時代の友人」となっており、個人的には高校時代の友人だと思っている。合コンみたいなものとドラマでも言われているのだが、一応オフ会だし、「今週あなたは大切なモノを失う」なんて星占いはドラマに出て来ない(なぜその占いで期待に胸を膨らませるのか疑問である)。
そして、柴田は「身の潔白を証明する前に真犯人は逃げてしまう」と思ったわけではなく、ドラマでは、自首しようとしたが麻衣子に叱責され、警察からではなく犯行現場のホテルから逃走している。そして、犯人を操っていたのがが朝倉だったという真相?も、第8話の段階では明らかにはなっていない。
こういったところであろうか。
【Paravi、TVerのあらすじ】
ドラマと違うのが、先ほども書いたのと共通するが、冒頭の野々村が早乙女に小言を言われるとか、真山がむくれるというくだりがドラマには全く出てこないということだ。また、柴田がオフ会に誘われて原とホテルに向かうくだりが、「男の子を紹介する」という雑な内容になっている。
【その他の配信サービスのあらすじ】
Paraviなどのあらすじで、ドラマに出てこないところがカットされたスタイルである。「男の子を紹介する」という雑な内容は、そのままである。
【シナリオ本】
刊行されたシナリオ本、『ケイゾク/台本 シーズン壱』でどうなっているのかというと、今まで紹介してきたあらすじとドラマの違いの部分については、ほとんどドラマに準拠しているのである。つまり、ドラマや配信サービスのあらすじは、シナリオが決定稿になる前のものを元に作成されているのではないか、というのが私の仮説である。真相はわからない。