『あまちゃん』第77回。テンポを優先するために、シナリオの順番を大幅に変えているという例である。
ドラマでは、谷中寮に正宗が来るシーンのあと、水口が真奈の名札を移動し、レッスンルームのアメ女の早着替えを手伝い、アメ女がステージに出たあと、GMTが奈落で踊り出す、という流れになっている。
ところが、シナリオでは、谷中寮のシーンの途中に、東京EDOシアターでの太巻と水口の会話のシーンが挟まれている。
このシーンが、GMTが『暦の上ではディセンバー』を踊っているシーン(シナリオでは、「残された5人、音楽に合わせて踊り出す」というト書きがあるだけである。しおりの「はい、笑って」「喜屋武ちゃん足元見て」といったセリフもシナリオにはない)の途中に盛り込まれ、『暦の上ではディセンバー』の1番がほぼ丸々流れる時間を確保している。
また、谷中寮のシーンの最後の、アキの「道のりは険しいけど〜」というナレーションが、GMTが踊っているシーンの最後に移動している。
歌のシーンに時間を取られたせいか、シナリオからカットされたセリフがこの回には多い。安部ちゃんがユイちゃんのことを心配するシーン、谷中寮では、アキの「パパにはパパの、新しい生活があるんだもんね」というセリフがあるほか、しおり(シナリオではアユミ)が「タクシー!」と正宗を指差すあとも、セリフが続いている。