【会議場】
にのまえ「約束と違うじゃん。どういうこと」
男A「子どもが大人の決定に口を出すなっていうことだよ」
にのまえ「カッチーン」
指を鳴らすにのまえ
男A「何のつもりだ」
にのまえ「お前らに警告する。つうかもうあんたしかいないけどね」
会議室にいた各国の代表が、全員だるまになっている。
男A「こ、殺したのか?」
にのまえ「顔見て?」
男Aの顔に赤いキリトリセンが描かれているのを鏡で見せるにのまえ
男A「何の真似だ?」
にのまえ「お前の顔のキリトリセン、次はその線に沿って、頭部を真っ二つ。にどとぼくにさからうなと全レベルにつたえろ。ハッハッハッハッ」
ぴょんぴょん飛び跳ねるにのまえ
【未詳】
野々村「全部止められちゃった」
当麻「係長何やってんすか手伝ってくださいよ。エレベーターホールふさがれちゃったんで一旦桜田門に出て国交省側の通気口から入るんすよ」
巨大なライトを持って来た当麻
野々村「すごいの持って来たね」
当麻「上の奴らが電気水道エアコンと徹底的に止めやがったから仕方ないすよ。実力行使です」
野々村「未詳がお取り潰しになっちゃったからってひどいことだ」
当麻「んだんだ」
野々村「そのライトどっから持って来たの?」
当麻「桜田通りで撮影をやってて落ちてました。ラッキーっすよね」
野々村「えっ当麻君?」
当麻「何すか?なんか問題ですか。てか犯罪ですか何罪ですか?道に落ちてた撮影照明借りパク罪ですか?」
野々村「窃盗罪」
当麻「(固まる)」
野々村「まさかまさかまさかいまさあきはスパイダーズ気づかなかったの?」
当麻「(固まった顔のまま)大丈夫です。想定内です。てか寒いっすねストーブつけますか」
野々村「おおお、ストーブ。電源は?」
電源延長コードを持って捜査一課から引いてくる当麻
【捜査一課】
猪俣「これ当麻の野郎がうちの科捜研にもちこんだハブラシのDNA鑑定結果を横流しさせたんですが、この暗号ソフトをインストールして…」
【未詳】
当麻「捜査一課のあたりから電源を引いて来たんですよ。あいつらばかだから、気づきませんよ」
野々村「電気も窃盗罪だけど、まいっか、署内だし」
当麻「ストーブいいなあ。あったかいなあ」
幸せそうな顔の当麻。
野々村「あったかいねー。ペチカみたいだ」
当麻「あ、鍋しますか。はやりのたこ焼き鍋しますか」
電源が落ちる。
猪俣「やーん」
当麻「あ、やべ!ひろし」
捜査一課の三人が入ってくる
猪俣「あんたら、何したんか分かっとるん?」
野々村「はあ、申し訳ございませんでした」
猪俣「わしの大事なパソコンがクラッシュしてしもうたじゃん」
当麻「今時電源切れてクラッシュするパソコンの方が珍しいわ」
猪俣「なにカバチたれとんや…」
馬場「まあまあ、野々村元係長、なぜまだこの地底に。給料も、止まっているはずだが」
野々村「実は…瀬文君を待っておりまして」
馬場「瀬文?」
当麻「そういや辞表ありましたね。どうしたんすか」
野々村「いや、知らん。わしは知らん」
と言いながら餃子フィギュア?で瀬文の辞表をテーブルの上から引き出しの中に飛ばす野々村
鹿浜「すっとぼけるなら公用文書毀棄罪で逮捕すっぞー」
野々村「逮捕?なんで?」
鹿浜「もうあんた一般市民だから」
当麻「それもそだ」
馬場「即刻明け渡してもらいたい。警察手帳は、人事へ。拳銃などは、私が預かろう」
野々村「はい。うーん、可及的速やかに」
馬場「NOW。JUST NOW」
野々村「銀座NOW!は、ハンダース」
鹿浜「何ごまかしてんだ!まさか拳銃なくしたんじゃないだろうな」
野々村「いやー、なくしたというわけではなくてですね」
当麻「瀬文さんが拳銃持ってったままずっと休んでるんで、返せないんですよ」
野々村「あっ言っちゃった」
捜査一課「げ!」
馬場「辞表出した人間が拳銃返してないって、それはプロブレムじゃないの」
野々村「どうしましょう。逆に一般市民としてリークしちゃおうかな。神戸の漫喫から動画上げちゃおうかな。一般市民としてツブヤイターでチクっちゃおうかな。チクリッターなんてスパーン」おいおい!
携帯を出す野々村。
馬場「待ったなう(泣き顔で)元係長!」
野々村「管理官!」
馬場「元係長!」
【志村の家】
線香を上げる瀬文
美鈴「ありがとうございます。兄も喜んでいると思います」
瀬文「そんなわけがありません。申し訳ありません」
美鈴「私、今、実は、とてもすっきりしてるんです。私、兄のああいう笑顔見たのはじめてだったんですよ。早くに両親を亡くして、兄は高1の頃からずっと働いてて、私にはガミガミ親のように、えらそうに叱るし、ずっと喧嘩ばかりの兄妹だったんです」
瀬文「…」
美鈴「でも兄の看護をしていて、私、兄の優しさにはじめて気づいたんです。あの事故がなければ兄のことを誤解して憎んだままだったと思います」
瀬文「…」
美鈴「言い訳じゃないですよ。私の変な能力も、消えてしまいました。もう何も感じません。兄と会話したくて芽生えた力だったんでしょうけど、もう必要なくなったので、消えたんです。ほっとしました」
瀬文「…」
美鈴「あー、辛気くさい。ビールでも飲みますか」
冷蔵庫にはビールが一杯「SHIRETOKO」ブランド。
美鈴「兄がね、ビールだけは贅沢してたんですよ。発泡酒は飲むなってね。下戸のくせに。瀬文さんの教えだって言ってました」
ビールをつぐ美鈴。
瀬文「そんなことを…」
美鈴「何でしたっけ…命…」
瀬文「捨てます」
美鈴「ああそうそう。命捨てますって言いながら飲んでましたよ。へたれのくせに」
ビールを飲む美鈴
美鈴「兄のためにも私は、私の人生をきちんと歩もうと思います。ちゃんとした画家になって。一回くらい兄にほめてもらえるように。だから瀬文さんも兄のことにこだわらず自分の人生をきちんと生きてください。兄もそれを望んでると思います」
土下座する瀬文
美鈴「……」
出て行こうとする瀬文
美鈴「瀬文さん、真実なんてどうでもいい。兄の敵とか、つまらないこと考えないで、生きてください。そして時折、兄に会いに来てやってください。お願いします」
ビールを一気飲みする瀬文。
SITの歌を歌う瀬文
「命捨てます 恐くない
街の平和を エスアイティー エスアイティー
オー シット!」
瀬文が去った後、泣いている美鈴
【街中】
涙を流し、天を仰ぐ瀬文。
飛んで来た紅ショウガをつかむ瀬文。
当麻「泣きほうけてるかとおもったらさすがっすね」
すき家の牛丼弁当を渡す当麻。
当麻「美鈴ちゃんちにくると踏んで、待ってたんですよ。牛丼食いなっせ。たーんと食いなっせ。暗いなおみゃあは。ただでさえしっけた絵筆みたいなにおいしてんのによ。みんな心配してますアンド迷惑してます。早く帰ってきなんせ」
瀬文「俺はもう刑事をやる資格なんてない」
当麻「そうやって男はすぐ逃げ口上にするけど、単に卑怯なだけですよ」
瀬文「俺は逃げん。卑怯者でもない。志村の敵はかならず撃つ」
当麻「私情は禁物です。何遍も言っとるがや」
瀬文の牛丼を奪おうとする当麻。それを奪い返して食う瀬文
当麻「法に則って刑事として真実を追うから私たちは刑事なんです。私情にかられてしまったらそれはただの暴力です」
瀬文「SPEC HOLDERを今の法の中でどう取り締まるんだ。志村を殺した奴らを法で裁けるのか?法なんてくそくらえだ」
当麻「それを考えるのはこの私の頭脳です。私が追いつめてみせる。だから私は未詳にいて、てめえの帰りを待ってるんだろうがよ」
瀬文「…」
当麻「…」
立ち上がる瀬文
当麻「瀬文さん」
黙って去っていく瀬文…もどって紙袋をつかんで去っていく
当麻「だからバカは嫌いなんだよ」
(提供コールの間)
【捜査一課】
(指名手配犯のポスター、提供コールにかからないようにぼかしがかかっている)
猪俣「で、さっきの続きなんですが」
馬場「ん」
猪俣「データが消されてます」
鹿浜「なんだそら、役に立たなねえな」
猪俣の携帯着信
猪俣「もしもし雅ちゃん、どうしたの?ご両親に挨拶?今週」
馬場「いや、これで分かったことがある。警視庁に取ってばれたらヤバい人物と、」
猪俣「サプライズで?あの、」
馬場「にのまえのDNAが重なったんだ」
猪俣「木の前のピザ屋で集まって、」
馬場「つまり、にのまえの仲間がこの警視庁内部にいる」
猪俣「とどのつまり、木の前のお窯で焼いてもらってさ、ああ。うん、ねえ!」
鹿浜「まさか」
馬場「猪俣うっせえ」
鹿浜「まさか」
馬場「お前もだよ」
【公園】
シャボンを吹いている子どもとその親。
太極拳をしている?三人組(一番左は堤作品でおなじみサバ男)
つながれた犬
ベンチに座っておしゃべりしている3人のOL風の女性
公園の全景が映ると、他にも、図書館で当麻と瀬文を監視していた老夫婦らしきひとなどがいる。
それを見ている瀬文。その横に座る津田。
津田「どうも」
瀬文「よく無事で」
津田「無事なわけねえだろ。殺されたよ津田は」
瀬文「ならお前は誰だ」
津田「俺も津田だ。といっても津田って言うのは、公安部零課の幹部のいうなればパブリックドメインだ」
瀬文「パブリックドメイン?」
津田「誰もが津田助広を狙うだろう。だからあの津田は殺されても代わりにこの津田がいるってシステムだ。だからこそ、公安零課は世界最強の組織たりうる」
瀬文「名を捨て顔を捨て、自分も捨てた死神の集団か。まさにアグレッサーだな」
津田「よくご存知で。ただ俺たちは、死神じゃない。全てを捨てて愛するものたちの住むこの国を守ってる、究極の公務員だよなあ。まぁ割りには合わんがな。フフフ」
瀬文「その死神が俺に何の用だ?」
津田「お前をスカウトに来た。公安零課、アグレスに入ってもらいたい」
瀬文「あいにく俺は公務員失格だ。てか指名手配中だ」
津田「気にすんな。お前にかかる嫌疑は全て封印する。逆に断りゃあ、いろいろでっち上げて死んでもらう」
瀬文、津田の方を見る。
津田「どんな手を使ってもな」
瀬文「…」
津田「瀬文。よく聞け。我々は特殊能力者に対して何十年も研究対策を行なって来た。その結論として、合法的な警察活動では限界があると判断され、公権力のもとで、我々は非合法活動を行っている。この町の平和を守っている。SITの歌にもあるだろう。町ーの平和をオー、シット。お前の力を我々に貸してほしい。てかさ、お前、志村のかたきを取りたくないのか。志村の無念を晴らしたくないのか。うん?」
瀬文、立ち上がって自分の歯を抜く。歯には「7」と描かれている
瀬文「瀬文、公安零課入りを志願します」
津田「お前さ、乳歯の入れ替えじゃないんだから。上の歯か?下の歯か?ま、どっちでもいいや。そうと決まれば話は速い。ギャラとか細かいことを決めねえとな」
瀬文「抜いた歯にかけて、ギャラは要りません。終わったら、全てを辞めます」
津田「へえ〜へえ〜」
瀬文「一つだけお願いがある。未詳の仲間の地位は守っていただきたい。これは条件です」
津田「分かった。手配させよう」
津田、手を挙げて公園の方に合図する。
公園の人々(+犬)が全員敬礼している。
瀬文「あいつらも、公安零課のスタッフですか?」
去っていく公園の人々。
津田「瀬文、全ての真実を疑え」
去っていく津田
抜いた歯を戻す瀬文
【未詳】
真っ暗闇。
野々村「寒いねー。瀬文君帰って来ないまんまだと、凍死か糖尿かで死んじゃうよ」糖尿でそんなすぐ死ぬかよ!
当麻「それは困りますね。先にハチミツでも飲んで死因だけは確定しときますか?」
野々村「当麻君、ちょっと瀬文君に電話してよ」
当麻「やですよ。係長こそ瀬文さんに電話したらどうすか」
野々村「何度もやったよ。でも出ないんだもん」
当麻「ホント、無責任で鈍感なやつですよ。瀬文の野郎は」
突然電気が付く
公安第五課秋元課長代理が来る。
秋元「本日付けで、公安第五課未詳事件特別対策係を再度設置。野々村光太郎を、同係長に嘱託任命する」(息切れしている)
敬礼する野々村、スーツが裏返し。
野々村「また、いいんですか私で」
瀬文の机の上に指名手配ポスターを置く秋元。当麻の方を向いて、
秋元「あー貴様。いや、当麻…くん。きみも一時、人事預かりになっていたが、引き続き、この部署で活躍してくれ」
当麻「何があったんすか」
秋元「方針の変更だ。特に意味はない」
ポスターの上に紙袋から出した拳銃を置く秋元。
ポスター「指名手配 凶悪恐喝犯 緑野 酒冷九(みどりの しゅれいく)」
秋元「これは、瀬文警部補が先ほど辞職したため返納された」
当麻「辞職?」
秋元「以上だ」
当麻「瀬文さんは辞めてどこへ?」
秋元「知らん」
当麻「まさか、アグレッサーに引き抜かれたわけじゃないでしょうな?」
秋元「何だそれ。アグレ?アグレス、チャン?全く、何を言わせんだ貴様ら」
去っていく秋元。何かにつまづく
拳銃の保管ロッカーを無理矢理こじ開けて、拳銃と弾を取り出しキャリーバッグに入れる当麻。
野々村「何か知ってるの」
当麻「知りませんよ。単に勘が当たっただけです。まさか、図星とはね」
野々村「どこへ」
当麻「瀬文さんのところへ」
野々村「場所分かるの」
当麻「いえ。でもアグレッサーを挑発すれば向こうからムキになってやってくるでしょう」
野々村「殺されちゃうよ」
当麻「大丈夫ですよ。私にも係長にも、SPECはあるはずですから」
野々村「え?何のSPEC?」
当麻「さあ。でも私の脳でずっと眠っている残り90パーセントのうちのどっかが私の思いに応じて目覚めてくれるはず。それが、私たちの未来を切り開いてくれると思います」
野々村「なるほど。これは、人間の可能性を信じるものと、閉ざそうとするものの戦いってことだね」
当麻「いいこと言いますね。遺言みたい。じゃ」
去っていく当麻。
野々村「遺言か…死ぬのかわし…」
【捜査一課】
馬場が入ってくる
馬場「瀬文と接触していたフリーライター渡辺麻由人死亡事件の犯人が自首して来た」
鹿浜「てことは瀬文の容疑は晴れ、これで事件は解決ですね」
馬場「いや、最大の問題は瀬文自身が行方不明ってことだ」
猪俣「なんかの事件に巻き込まれたいうことじゃ」
鹿浜「どうします?今までみたいにすっとぼけてやり過ごしますか」
猪俣「それとも、たまにゃあ刑事らしく捜査してみますか」
(馬場の携帯に着信)
馬場「当然捜査だ。誰よりも先に瀬文を確保するんだ。でないと瀬文が闇に葬られるかもしれん」
猪俣・鹿浜「はい」
出て行く二人。
野々村から馬場に電話。
馬場「馬場です」
野々村「野々村です。実は…」
馬場「瀬文の件なら、もう動いています。心臓が息の根を止めるまで真実を求めてひた走れ、それが刑事だ、でしたかな?新人の頃、あなたに叩き込まれた記憶が今更ながらよみがえりました。弐係時代のご恩、お返しします。」馬場サーン、あなた弐係にいたんですか!
坂道を上っていく猪俣と鹿浜
テロップ 全力 デカ
ナレーション「レッツゴー。円通寺坂。またこれも、バカデカに味わい深いさ…」
【街中】
瀬文から当麻に電話
瀬文「これが最後の電話だ。よく聞いてくれ」
当麻「何すか。その古い月9くさいセリフ回し」
瀬文「俺はこれから姿を消す。志村を殺した奴ら、そして、お前の腕を奪ったにのまえと決着を付ける」
当麻「勝手に一人でカッコ付けないでください」
瀬文「お前には死なれたくない。俺は許されざる人間だ。陽の当たる場所で生きてくつもりはない」
当麻「瀬文さんは軍人のくせに嘘つきですな。私たち約束しましたよね。『何かあったら連絡しろ。すぐ駆けつける』私、あなたのこと信じてたのに」
瀬文「お前の知ってる瀬文という男はもう存在しない。お前は…お前はたった一つの光だ。何があっても生きろ」
当麻「…」
瀬文「以上だ」
【庭園】
瀬文、携帯電話のSIMカードを捨てて、別のSIMカードに差し替える。
津田から電話。
津田「私用電話は禁止だよー」
津田が現れる。
瀬文「はっ」
津田「にのまえの隠れ家が分かった。急襲する」
【バスの中】
アグレスの一人の東野幸治郎、ヘッドセットを見て「どっちが前だ?」
瀬文「にのまえの隠れ家が、よく発見できましたね」
津田「向こうからのリークだよ」
瀬文「向こう?にのまえの味方からですか?」
津田「権力闘争なのかよく分からんが、突出した能力が邪魔になったんだろうな。お気の毒」
津田「にのまえの寝込みを襲う。にのまえに関しては生死は問わない。てか、生きてては捕まらんだろう。その辺はためらうな。母の二三も一緒にいるはずだ」
東野「ははのふみ。ははのふみ。はっぱふみふみ」
津田「集中。母の二三に罪はないが、この際やむなしと判断する」
アグレス達「はっ」
瀬文「民間人を殺すということですか?」
津田「命令は以上。質問は受け付けない」
【にのまえのいるマンション】
クッションに座って眠っているにのまえ
手榴弾を置くアグレス達
にのまえが目を覚ます。
東野幸治郎が奇妙な息を吐きかけると、にのまえの動きが止まる。
にのまえを押し倒すアグレス
瀬文「SPEC」
台所の方から二三がやってくる。
二三「どうしたの」
にのまえ「母さん」
瀬文「ひっこんでろ」二三を押し戻す
アグレス「撤収!」
にのまえのマンションが爆発する。
【バスの中】
津田「ご苦労だった。無事なのは二人だけか」
瀬文と、アグレスの一人(SPEC使いではない)だけが生き残っている
アグレス「はっ」
津田「仕方ない。必要な犠牲だ」
アグレス「作戦は、成功したのでしょうか」
津田「今回の作戦は見ての通り、SPECを持った奴らとの合同の作戦だった。これで倒せてなければ、お手上げだ」
にのまえ「僕は生きてるよ」バスに乗っていたにのまえ。
だるまがふたつ、津田の乗っていた場所と、アグレスの乗っていた場所においてある。
瀬文「殺したのか?」
にのまえ「ああ、僕を怒らせてしまったからね。アグレッサー達は全員殺した。金太郎飴みたいな津田たちも一人残らず殺したよ。あんたは母さんを助けようとしてくれたから今回だけは見逃してやる」
にのまえ「ただし、次おんなじことをしたらこうだ」
瀬文の顔に十字にキリトリセンが書いてある。
にのまえ「その顔のキリトリセンに沿って頭部を切る。スイカみたいにね」
【会議室】
中国人「逃した?」(中国語)
男A「厄介なことになったな」
中国人「赤い線が!(中国語)」
男Aの左隣の会議メンバーは植田博樹P
にのまえ「警告したろ?」
男の後ろからにのまえが現れる
会議メンバーを男Aを残して殺すにのまえ
にのまえ「教えといてやるよ。僕の名は、」
モニターに血で一十一と書くにのまえ。
にのまえ「この世界の、キングだ」
【管幹事長室】
管「何がキングだ。そんな馬鹿げた話、日本国民が信じるか。わしは、テロには屈しないぞ」
上野秘書「顔に、切り取り線が」
管幹事長の前に現れるにのまえ
にのまえ「まいった?」
管「まいりました。ごめんなさい。」
土下座する管幹事長
にのまえ「約束しろ、二度と母さんと僕に逆らうな」
その場にいた全員の顔に切り取り線が書かれている。
「フハハハハ」笑いながらテーブルを揺すって幹事長を押し付けるにのまえ。
【ニュース記事(WAYOO JAPAN!ニュース)】
世界で珍事 奇病か?オパマ大統領やキムジョンマル氏の顔に、
スピーチ中 赤い線が浮かぶ!!
24日アメリカのゲスティーバーグで演説を行なうオパマ大統領の顔に突然赤い線が浮かび上がった。発疹等ではなく、人工的に描かれたかのような線で、日本語のカタカナで「キリトリセン」と書かれているようにも見え、議論を呼んでいる。23日に平壌市で演説を行なっていたキムジョンマル氏にも同様の症状があらわれており、世界の要人におこったこの珍事は一体なんなのか?奇病か、それとも何かのいたずらか?調査が進められている。
左 11月24日ゲスティーバーグにて演説を行なうオパマ大統領
右 11月23日平壌市で演説を行なうキムジョンマル氏
二人とも似ていない(笑)
【未詳】
炭火焼で焼き肉を食べている当麻
野々村に内線電話
野々村「はい未詳。あ、これはこれは、大変ご無沙汰申し上げております。…………御意」
電話を切る野々村。
当麻「ギョイ?」
野々村「上の、上の、そのまた上からの命令だ。『にのまえを逮捕せよ。生死は問わん。この件に関しては、超法規的措置をとる』という」
当麻「要するに、どんな手を使ってもにのまえを殺せと」
野々村「そのようだな」
当麻「ですけど、一応未成年ですよ。法律を超えて警察が堂々と人を殺していいというのはいかがなもんですかね」
野々村「まあまあ、最後まで聞きなさいよ」
野々村「上からの命令は確かに私が受けた。しかし私は君にそんな命令はしない。にのまえは今敵も味方も逆らうやつは片っ端から虐殺している。しかし彼は快楽殺人者ではない。殺人は正当化されるべきではないが、彼なりの理由があるのかもしれない。ただきみがその目で、にのまえがまぎれもなく危険な犯罪者だと判断したその時には刑事としてしかるべき措置をとってもらいたい。頼んだよ」焼けていく肉と、煙越しの、当麻の顔と、野々村の顔が交互に映る。
当麻「しかしどうやってあのにのまえをどうにかしろっていうんですか」
野々村「そこはほら、僕に分かるわけないじゃん。タハハハハッ」
当麻「タハハハハじゃねえ」
【お台場】
自由の女神像の前でポーズを取る野々村
雅がやってくる。「こおっち」
雅「きれいな球体だね。(フジテレビのビルが映る)どしたの?」
野々村「いや…実は弁護士をやっている妻から君を訴える書類を預かっていてね」
雅「えっなんで私が訴えられんの?」
野々村「法律によれば、奥さんは愛人に慰謝料を請求する権利があるらしいんだ。中、見る?」
雅「ふざけないでよ!」野々村をひっぱたく雅
雅「こおっちのばか。別にあんたとなんてつき合ってないんだからね」去っていく雅
野々村「おおー痛ーなんと不幸かな」
にのまえがあらわれる。
にのまえ「雅ちゃんを巻き込みたくないって言うあんたの気持ちはすてきだね」
野々村「君が、にのまえか」
にのまえ「…」
野々村「雅ちゃんには手を出すな。あと、妻の雅と、その子、保谷にいる弟の家、あと、30歳になる姪がシアトルにいて…」
にのまえ「安心しなよ。僕は野々村さんを信じてるよ。割とね」
野々村「にのまえ君。おとなしく罪を償う気はないかね」
にのまえ「罪?僕に逆らうことこそ反逆罪だよ。だって僕はキングなんだもん」
野々村「そうか」
拳銃を向ける野々村
にのまえ「やめときな。勝てっこない」
野々村「勝てるかどうか問題じゃない。負けると分かっていても、心臓が息の根を止めるまでひた走る、それが刑事だ」野々村さんかっこよすぎる!
にのまえ「無理しちゃって」
ナイフを取り出すにのまえ。
血を吹いて倒れる野々村。
【未詳】
ハチミツを飲んで考える当麻「わからん」
届け物が来る。
業者「DHSインナハウス ドスコイひっこしシャトルだぜ、ドスコイおとどけものだっぜー」
当麻「中身なんすか」
業者「洋服ダダダダンスーってここにかいてありありありますーイエイ毎度」
届け先の住所は「100-8929 千代田区霞が関2-1-1 警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係」電話番号が03(919)1022と存在しない電話番号になっている。
帰っていく業者
業者「ドスコイドスコイ帰りましょ、ハンコもらってねえ…」
当麻「洋服ダンスって…なんで」
中からうめき声。開けると血だらけの野々村
当麻「係長」
ナイフが落ちる。
野々村「だいじょうブイだ」
当麻「にのまえですか」
うなずく。そして、倒れ込む野々村。
【手術室】
手術を受ける野々村
当麻「係長…行ってきます」
【当麻の家】
仏壇の前で線香に息を吹きかける当麻
葉子「線香吹かない」
仏壇に手を合わせる当麻
葉子「嫁入り前の娘が毎日朝帰りなんてみっともない」
鐘を指で止める当麻
葉子「鐘止めない」
当麻「ごめんねおばあさま」
葉子「どうしたの。今日はやけに素直じゃない?」
当麻「じゃ行ってきます」
葉子「えっまた行くの」
当麻「うん。着替え取りに来ただけだから」
葉子「着替えなんてする子じゃないのに」
【坂道】
上っていく当麻。
猫にえさをやっている子ども。
【回想】
当麻「陽太、ノラ猫にえさあげるとまた母さんにしかられるよ」
陽太「うっせえさかなちゃん」
当麻「ぶっころす」
陽太に近づいていって頭をぐしゃぐしゃにする当麻。
猫に引っかかれる陽太。
当麻「ほーらバチが当たったほっぺた引っかかれてやんの。え、何これ首に変なアザ」
陽太の首に星形のアザ。
当麻「きも!きもきも!やんのかコラ!」
【志村の家】
当麻が訪れる
美鈴「何?」
当麻「これ、野々村係長がにのまえという少年にやられた時のナイフ」
野々村が刺されたナイフを美鈴に見せる。
美鈴「で?」
当麻「あなたのサイコメトリングでにのまえの隠れ家を探してほしい」
美鈴「もうあたしにはその能力はない。兄が死んで、消えてしまった」
当麻「ダメ元でいいから頼む」
美鈴「無理よ」
当麻「ほんとはまだ見えるんでしょ」
美鈴「もう使いたくない」
当麻「にのまえを止めたいの」
美鈴「いい加減にして」
当麻「あなたにしか出来ないことなの」
土下座する当麻。
当麻「お願い」
当麻「私は仲間を救いたい。もうこれ以上犠牲を出したくないのよ。死の連鎖は私が止める」
美鈴「あなたに出来るの」
当麻「私を信じて」
サイコメトリングする美鈴
美鈴「マリンタワーが見えたから、その近くだと思う。横浜」
絵を描く美鈴。
【だるま部屋】
ウチも壊滅したな、と瀬文ににのまえの引っ越し先のメモを渡す零課の生き残り
【にのまえの引っ越し先】
にのまえ「やっぱたこ焼き鍋は最高だね」
二三「そう?何度食べてもこの良さが分からないわ」
にのまえ「僕が息子で良かった?」
二三「…何言ってんの?」
にのまえ「僕、母さんと出会えてよかった」
首を傾げる二三。
後ろからコートの男の影
男に頭を平手で押さえられる二三。目を閉じる
にのまえ「ありがとう。今まで」
男「完全に記憶を消しますか」
にのまえ「完全に消してくれ。僕と出会う前のように。僕のことを少しでも覚えているとこの後も狙われる」
さらに頭を押さえつけられる二三
にのまえ「記憶を消したら顔も変えて、どこかで必ず生き延びさしてくれ」
男「分かりました」
にのまえ「母さん、元気で」
【未詳】
書道「ニノマエ」「爆弾」「銃」「電気ビリビリ」「相対性」「時間」「双子のパラドックス」「速度」「打倒ニノマエ」
にのまえ「いただきました。瀬文さん、野々村係長、お世話になりました」
敬礼する当麻
捜査一課の三人が入ってくる(息切れ)
当麻「何すか」
馬場「野々村係長の件、聞いたよ」
当麻「何か関係あるんすか」
馬場「我々に手伝えることがないだろうかと思って」
鹿浜「新人だった頃に野々村さんによくミスをかばってもらってね」
猪俣「わしらに出来ることはないじゃろうか?」
当麻「非合法なことでよければありますよ。にのまえを倒す唯一の方法」(字幕では「逮捕する」となっているのだが、台詞は「倒す」と聞こえる→DVDでは直っている)
【横浜】
歩いていく瀬文。携帯着信。
にのまえ「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
後ろににのまえ。
瀬文「鬼はどっちだ?」
にのまえ「いいねその眼」
にのまえ「ハッハッハッハッ」飛び跳ねるにのまえ
その現場に向かっていく当麻
にのまえに刺される瀬文
にのまえのいる方に発砲するが、にのまえは消えている
瀬文「チクショー」
銃を奪われる。瀬文に銃を向けるにのまえ
にのまえ「SIT出身って大したことないね。ウケる」
雪が降ってくる。
にのまえ「雪だ」
当麻「もらった」銃を撃つが、外して、「チッ」
「イテテ」当麻のキャリーバッグにつまづいているにのまえ
並んでにのまえに発砲する当麻と瀬文。
時間を止めるにのまえ。
弾を払い落としていく。
にのまえ「結局君も馬鹿だよな。厳密に言うと僕は時間を止めてるんじゃない。君の世界と僕の世界の時間の流れは違うんだよ。いくら隙をつこうとしても、君たちの動きはスローモーションなんだよ。雪が止まってる。きれいだなー」
ナイフを構えるにのまえ
にのまえ「君に見せてやりたいけど…めんどくさいから殺す」ナイフを当麻に向ける。
当麻の口元がにやりとする。飛び退くにのまえ。
にのまえ「動いた。まさか…」
今回、植田Pも言っているように、シーンが少なかったし、基本的ににのまえ対当麻&瀬文に持っていくための整理の回だ。にのまえが属していた組織も、公安零課も、にのまえによって壊滅させられてしまう。志村を利用していたのが誰だったのかという謎は、分からないまま終わりそうだ。
それ以外にも、当麻以外の人物がにのまえをどうやって知ったのかが疑問としてあって、「お前の腕を奪ったにのまえと決着を付ける」と瀬文が言ったが、いつ、当麻の腕を奪ったのがにのまえだと知ったのだろうか。あの回想シーンのときに当麻が語ったのだろうか?
そして今回、にのまえと二三が実は親子でなかったことが判明し、当麻の弟、陽太=にのまえである事を伺わせる事実が次々と明らかになって来た。
・「警視庁に取ってばれたらヤバい人物と、にのまえのDNAが重なったんだ」との馬場の言葉
・にのまえも陽太も首に星形のアザ
・当麻もにのまえもたこ焼き鍋が好き
・飛び跳ねるにのまえが陽太のぴょんぴょんはねる姿(次回予告)にそっくり
今回、地居聖がでて来なかったが、キャスト欄には地居を演じる城田優の名前があった。となると、二三の記憶を操作していた男が地居だとしか考えられないのだ。
次回、早々に当麻とにのまえの決戦は終わってしまいそうだし、そうなると残るは地居を巡る謎、そして当麻の左手の謎を巡って物語が展開されるということになりそうだ。
それにしても、今回も野々村係長がかっこよかったねぇ〜。馬場や鹿浜の面倒を見ていたことが明らかになったり、「上の、上の、そのまた上からの命令」を受けても、当麻にはその命令をしないし、雅ちゃんに危害が及ばないようにはかったり、なんと言っても「勝てるかどうか問題じゃない。負けると分かっていても、心臓が息の根を止めるまでひた走る、それが刑事だ」ですねぇ。