『SICK’S 厩乃抄』第拾参話より、読める範囲で。何かヒントになるかもしれない。
昭和六十二年五月二十日午前九時半ごろ
東京都板橋区の柴山倉庫内で床一面に大量の血液が
あるのを運送業職員の男性が発見。
駆けつけた警察官が倉庫内を捜索したところ、致死量を
超える血液量が検出されたが遺体は行方不明であった。
倉庫内から血のついた電動ノコギリや刃物が発見された
ことから犯人は倉庫で遺体をバラバラに解体し持ち運ん
だ可能性が高い。
現場に残された血液からDNA鑑定をした結果、
板橋区柴山在住の堀雅治さん(四十二歳)の長男、
堀聖人君(十歳)と判明した。
堀聖人君は、前日十九日に学校から帰らず捜索願い
が出されていた。
供述調書
住居 東京都板橋区高柳二丁目八ノ四
職業 運送業
氏名 中島 和夫
昭和二十五年四月十日生(三十七歳)
右記の者は、五月二十日次の通り供述した。
五月二十日午前九時半頃、柴山倉庫に荷物を搬入
しに来た際に、倉庫内のぬかるみで転倒しました。
最初は水濡れかと思い、床を見渡すと一面血の海
で慌てて事務所に戻り警察に通報しました。
倉庫内には不審な人物はおらず前日の戸締まりの
歳も変わったことはありませんでした。
以上の通り、録取して、読み聞かせた上、閲覧
させたところ、誤りのないことを確認した。
左記にご家族から提供された写真を掲載。
(堀君と両親の写真)
捜査方針等
五月二十五日現在、警察の捜査方針は左記のとうりである。
・地取り、鑑取り捜査による容疑者の割り出し
・現場に残された凶器の販売ルートの解明
・倉庫を使用している出入り業者への聞込み
・学校周辺に設置されている防犯カメラ画像の解析
・「堀聖人君」の下校ルートでの聞込み
現場容疑者の特定、「堀聖人君」の身柄を確保するには
至っていない。
今後、捜査の実情を踏まえて捜査範囲を拡大していく
方針である。
警視庁は、倉庫の出入り業者全員から事情聴取、任意での
指紋採取、家宅捜索を行ったが有力な情報は得られていな(い)
以下の記載はよく読み取れない部分がある。
特筆事項 (封印されている)
以下の記載事項は国家機密事項扱いである。
「堀聖人君」人体構造報告
東桜遺伝学研究所の栄田教授によると、堀聖人君
は、テロメラーゼ活性の異常なDNA構造の持ち主と
報告。通常テロメラーゼを作る遺伝遺伝子は、人のDNA
の中にも存在するが生殖細胞や幹細胞などごく一部を除
いてこの遺伝子は「オフ」になっているので、人の細胞には分烈(ママ)
回数の限界ができてしまうのだが堀聖人君には分烈(ママ)
回数の限界がなく、この遺伝子スイッチが「オン」
になっていると考えられる。
この遺伝子は、老化を遅らせ、寿命を延ばす遺伝子
であり、この遺伝子のDNAを研究する事により、
老化のスピードが緩やかになり、寿命を延ばす働きも
ある。すなわち堀聖人君は、不老不死の遺伝子を持つ人間
という事になる。
(「堀聖人君」と「通常の人間」のDNAを比較した図)
日米合同委員会の介入〜「堀聖人」殺害
昭和六十二年、五月一日
(不明)
日米合同から「堀聖人」(以下不明)
ように連絡が入る。
日本政府が「堀聖人」を失うとい(以下不明)
莫大な損失を与え、みすみす脅(以下不明)
になるがアメリカを敵に回せば日本(以下不明)
事は明白であり、返事を保留(以下不明)
同年、五月二日
日本(ママ)合同委員会にどうするか(以下不明)
結論は出ず。しかし、いつこちら(以下不明)
もわからないと返答を先延(以下不明)
状況である。