『SICK’S』と『ケイゾク』の間に根本的な設定の齟齬があり、同じ世界の物語ではないことに気づいた。
キーワードは、「DNA型鑑定」である。
まず、【SICK’S】堀聖人君殺害事件を解読(ネタバレ)で、『SICK’S 厩乃抄』第拾参話で登場した、「堀聖人君殺害事件」を取り上げる。
重要なのが、この事件が昭和62(1987)年に起こった事件であることである。そして、調書のなかに、
現場に残された血液からDNA鑑定をした結果
と書かれているように、この事件はDNA鑑定で個人を識別した事件であった、ということである。
大事なことなので繰り返して書くが、『SICK’S』の世界では、1987年に日本の警察がDNA鑑定を導入している、ということである。
DNA型が個人を識別できることが明らかになったのは、イギリスの学者、アレック・ジェフリーズが1985年3月の科学誌『ネイチャー』に発表した論文によるところであり、初めてDNA鑑定が犯罪捜査に使われたのは、1983年から1986年にかけてイギリスで起きた連続強姦殺人事件であるとのことだから、日本の警察は、かなり早くDNA鑑定を犯罪捜査に取り入れていたことがわかる。
さて、『ケイゾク』ではどうだったかである。
第9話で、柴田が、「7年前といえば、ちょうどDNA鑑定が始まったころですよね?」と言っている。『ケイゾク』は1999年の作品で、このセリフは、1999年3月2日(火) のものである(実はこの日付は少し怪しいのだが、以前に考察したので割愛する)。このセリフは、1999年の7年前、つまり、『ケイゾク』の世界では、1992年頃に日本の警察がDNA鑑定を犯罪捜査に取り入れたということを意味している。
1999年を基準にすると、1987年は15年前となってしまう。法医学の教科書を暗記していた柴田が間違えるようなこととは思えない。
つまり、DNA鑑定を日本の警察が犯罪捜査に取り入れていたのは、『SICK’S』では1987年頃、『ケイゾク』では1992年頃、という違いがあるのだ。
現実の警察においては、『SICK’S』の方が近いようだが、『ケイゾク』では意図的に年代を違えているということになる。
この設定の齟齬を解釈するとすれば、『SICK’S』と『ケイゾク』は別の世界線にあり、『SICK’S』に出てくる柴田純や近藤昭男といった登場人物は、『ケイゾク』に登場したのとよく似た人物であると言わざるをえない。
おーちゃん様は、結局のところ柴田(中谷美紀)・真山(渡部篤郎)当麻(戸田恵梨香)・瀬文(加瀬亮)が出てくれれば満足だったんですよね?
ブログ拝見してても最後は出てこないことにお怒りになられてる気が。。
因みに考察ばかりだけではなく、おーちゃん様の理想の終わり方はどのような絵で終わって欲しかったのですか?
理想でもいいです、お聞かせください。
『SICK'S』に中谷さんや渡部さんたちが出てくれば満足だと思ったことは全くありません。
確かに怒りを感じられるようなところがあったかもしれませんが、そういうことではありません。
中谷美紀さんと渡部篤郎さんが『ケイゾク/シーズン弐』のオファーを断られたことが、現在のシリーズの流れになったと理解しています。その上で、20年経ったのだし、いい加減仲直りしてシリーズに出てもらえばいいじゃない、と少しは思います。しかし、出演することを期待し、裏切られて怒っていると解釈されるのは心外です。
私がずっと考察にこだわるのは、先の展開を考えつつ、常に裏切り続けて欲しいという思いがあるからで、どのような絵で終わって欲しいとかいうものをお示しするつもりはありません。
理想の終わり方と違っていたからといって、怒ったりするわけではなく、予想を裏切って欲しいという思いが常にあるので。
ゼロ回答になってしまって、申し訳ありません。
おぉぉ!なるほど!!
近藤さんの子どもの数がSICK'Sでは1人多い(しかも双子ということは後に生まれたとかいうわけでもない)ので、本当に違う世界線かもしれませんね!
SICK'Sは結のバブル崩壊後に出来た別の世界線(別の作者が書いたような外伝?)と無理やり最終話を消化してたのですが、
この記事で「ケイゾクの柴田」は生きてる!と思えました。一方的なコメントですが、ありがとうございました。
そうですね。『ケイゾク』の柴田は生きてる、と思い込むための無理やりの理論ですね。