フジテレビ系列の深夜時間帯で、アニメ『すべてがFになる』が始まった。
情けないことだが、このアニメについて、十分情報収集していなかったこともあり、第1回を(アニメでは各回を「章」で表記)見逃してしまったのだが、第三章まできて、ようやくあることに気がついた。
それは、原作とアニメの章タイトルだ。
原作の章タイトルは、当然のことだが、原作に記載されている。
アニメの章タイトルは、各回の冒頭に表示されるのだが、放送内に挿入されているBlu-Ray/DVDの告知CMの中に、全十一章のタイトルがアナウンスされている。
それを見比べる。
原作 | アニメ | |
---|---|---|
第一章 | 白い面会 | 白い面会 |
第二章 | 蒼い再訪 | 蒼色の邂逅 |
第三章 | 赤い魔法 | 赤い魔法 |
第四章 | 褐色の過去 | 虹色の過去 |
第五章 | 灰色の境界 | 銀色の希望 |
第六章 | 虹色の目撃 | 真紅の決意 |
第七章 | 琥珀色の夢 | 灰色の境界 |
第八章 | 銀色の秩序 | 紫色の夜明け |
第九章 | 黄色いドア | 黄色の死角 |
第十章 | 銀色の真実 | 紫苑色の真実 |
第十一章 | 無色の週末 | 無色の週末 |
見ればわかる通り、原作もアニメも「色+名詞」という章タイトルになっているどころか、原作とアニメが全く同じ章タイトルになっている章もある。
これまでの各回の展開は、私は第一章を見逃してしまったのだが、第二章、第三章の展開を見る限り、今のところ原作の各章の展開にほぼ沿った形で、アニメの各回が展開している。
ということはである。今回のアニメ『すべてがFになる』は、原作本『すべてがFになる』1冊のエピソードを、アニメの1クール使って描写する、ということになる。
ドラマ『すべてがFになる』では、このエピソードをたった2話の1時間枠ドラマに押し込めてしまっていた。
殺人事件ものでシリーズものになっている小説の、一冊だけ取り出して1クールまるまる使って映像化するという試みは、あまり聞いたことがない。吉と出るか凶と出るか、楽しみなところである。
『すべてがFになる』という1本の小説であると同時に、通称「S&Mシリーズ」というシリーズものなのである。小説の再現度が高まることは期待できるが、シリーズの結末、『有限と微小のパン』に至るシリーズの結末は見ることができないのは残念である。