【あまちゃん再検証】奇跡の車両の謎(その1)【第132回、第133回】

さて、いよいよ、東日本大震災を、ドラマの観点から、そしてそれを現実に対応させて検証していく。


第132回では、ユイがアキのコンサートを見るために東京に向かう。
コンサートは、2011年3月12日、18時40分開場、19時00分開演、となっている。
ユイが北三陸を出発したのは、2011年3月11日、北鉄に乗るため改札を通った時、改札のアナログ時計が2時21分を指している。
ちょうど普通宮古行きが14時25分に発車することになっており、ユイはその列車に乗ったものと思われる。
第133回、東日本大震災がドラマ上で起こる。時間は、現実と同じ14時46分。
ということは、ユイが北三陸駅を出発した21分後に、震災が発生したことになっている。
震災発生の直前、ユイが見ている車窓は、現実でいうと堀内駅(「袖が浜駅」のモデルでもある)付近である。
そして、ナレーションで、「畑野トンネルの中」で被災したと説明されている。
「畑野トンネル」がどのあたりなのか明確ではないが、その名の通り、畑野駅の前後であると考えてみる。
北三陸駅から畑野駅までは、1時間程度と説明されている。現実で畑野駅のモデルとされている田野畑駅は久慈駅まで、50分弱なので、現実に近い(久慈と田野畑の間には、陸中宇部・陸中野田・野田玉川・堀内・白井海岸・普代と駅があるが、北三陸と畑野の間には、袖が浜・磯野・陸中白浜しか駅がない)。
また、現実では田野畑駅の先にある、島越駅付近の様子が、トンネルを抜けて大吉とユイが見た光景であるので、「畑野トンネル」は畑野駅の先にあると考えるのがとりあえず妥当だろう。
そうすると、第一の疑問点が生じてくる。
通常は1時間程度かかる北三陸と畑野駅の間を、この日に限り20分程度で走り抜けたということになるのだろうか。久慈から田野畑まで35.4kmだから、平均時速106km程度になってしまう
そうでなく、例えば袖が浜までが20分程度で、袖が浜と磯野の間に「畑野トンネル」という名前のトンネルがあるとすると、2012年7月1日に劇中では畑野駅まで北鉄が開業したわけだから、トンネルの先で大吉とユイが見た、ユイが「線路がなくなってた」と表現したあの惨状を、2011年3月11日から2012年7月1日までの1年4ヶ月程度の期間で、急ピッチに復旧したということになってしまう。
さて、トンネルの中で止まった車内で、
大吉「ごめんなユイちゃん、仙台さ何時に着けばいいんだっけ」
ユイ「5時半」
という会話がある。
第二の疑問点は、ユイが仙台に着かなければいけない時間「5時半」である。
最初に書いたように、コンサートは3月12日。3月12日の17時半に仙台に着いて上野に19時というのは2011年3月の時点ではギリギリ不可能(17時26分仙台発「はやて32号」19時02分上野着。さらに余談だがこの記事を書いている2015年2月の時点では17時30分仙台発「はやぶさ26号」が18時58分上野着で、コンサート開演には間に合わないが19時には上野に到着する)であり、3月11日の17時30分に仙台に着かなければならない、という意味のことを言ったのだと思われる。
さらに、第132回の冒頭で、アキと水口の会話の中で、「8時に上野に着く」というのがあるので、3月11日の20時に上野に着くつもりだったのだろう。
それは可能であろうか。
(続く)

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です