『ケイゾク』について、映像で説明されていない視点で、あるいは勝手に補完をして見ようと思う。
今回は、第二話『氷の死刑台』についてである。
この回の事件も、突っ込みどころが多いのは言うまでもないが、列挙すると、
・警備員の橋本が冷凍倉庫を開けてドライアイスの祭壇と死体の代役の下平を発見したとき、死体をしっかり確認しないかどうかというリスク
・その直後に、水谷社長を倉庫に呼び出せるかどうかというリスク
・首を絞めて仮死状態に出来るかというリスク
・警察などが来るまでに、水谷社長をドライアイスの祭壇に乗せ、刺殺できるかどうかというリスク
これらをクリアしないといけない。
また、
・水谷社長は下平にとって言わば「サイフ」なので、わざわざそれを無にする理由が分からない
と言われることがあるが、水谷夫婦の会話から、援助を打ち切られそうになったから、と理由がつきそうである。
ここまでは前置き。以下本題。
この回、というかこの回に限らず疑問点と言うのが、
「柴田の友人の大沢麻衣子が、真山の宿敵の朝倉裕人の恋人だったことは偶然なのか」
「それは、朝倉が意図したことだったのか」
である。
一つ目のポイントは、柴田が真山のいる捜査一課弐係に配属されたことが偶然なのか、ということである。
柴田という新人問題刑事を、研修で受け入れる部署が、捜査一課弐係以外に存在したとすると、柴田が弐係以外の部署に配属された可能性もあるだろうが、野々村係長は、柴田以外にも、馬場など、いわゆる問題キャリアを何度か預かった過去があり、弐係は問題キャリアの定番コースと考えるのが自然で、あまりそれ以外の部署のことは考えなくても良さそうだ。
しかしそれは、柴田が警察官になったからこそ、必然的に弐係に配属になったということであって、当然ながら、柴田が警察官の道を歩まなければ、真山と出会うことはない。
柴田が警察官を志すことになったのは、前に書いたとおり、父・柴田純一郎の死が要因となっている。
二つ目のポイントが、麻衣子が柴田の友人だったから朝倉は麻衣子とつき合うようになったのか、恋人の麻衣子の友人が柴田だったのか、ということである。
一つ目のところで、柴田純一郎の死に朝倉が絡んでいたとすると、最終回で死んだ「朝倉の顔をした男」が顔を変えられたのが「3年前」。柴田純一郎の死も同じ時期だとすると、柴田純一郎を殺し(最終回で朝倉は「殺人」を行ったことがある、と告白している)、真山に対するゲームの一環として柴田を刑事への道に進むように仕向けたのが朝倉、と言う風に考えることができる。
二つ目のところだが、柴田純一郎を殺したのが朝倉だったとすると、柴田の唯一の友人である麻衣子を利用するために、麻衣子に接近したと考えられる。
逆に、恋人の麻衣子の友人がたまたま柴田だったということも十分考えられる。なぜなら、朝倉は第四話で柴田に関する情報をネットで収拾しているからだ。逆に言うと、第二話で柴田に出会うまで、朝倉は柴田の存在を知らなかったとも考えられる。柴田という変わった刑事が真山と同じ部署にいることを知り、真山に対するゲームの一環として柴田を利用するようになったというわけだ。そうなると、一つ目の件についても、朝倉はノータッチだったと考えられる。
二つ説を出してみたが、結論は出さない。
ともあれ、ドラマの設定だと朝倉は22歳、柴田と麻衣子は24歳、そして真山沙織も生きていたら24歳だ。朝倉にとって、「2歳年上の女性」というのは、特別な存在だったのかもしれない。だから沙織のレイプを指示し、麻衣子を恋人にし、柴田を巻き込んだと考えられる。
ところで麻衣子は柴田のことを朝倉に「学生時代の友達」と紹介するが、麻衣子か東大に行っていたとは考えづらいし、麻衣子の部屋には制服姿の柴田と麻衣子の写真が飾ってあったので、高校か中学時代ってことだろうか。
そして、麻衣子が朝倉と知り合ったのは、大学の先輩・後輩としてか、職場の同僚としてか。後者のような気がする。
ところで、世田谷区役所、前科はないとはいえ、検挙歴のある職員をよく採用したものだ(笑)逆に、公務員だから入り込めたのかもしれない。真山による朝倉発砲事件は港区だから、世田谷区役所には情報が伝わっていなかったのだろう。