SPEC 第10話【癸の回】 小ネタ&突っ込み(ネタバレあり)

【横浜】
にのまえ「動いた」
癸の回
百年の孤独 のテロップ
「癸」の文字が「起」に変わる。
にのまえ「この能力は僕だけのはずだ」
雪に不審な点があるのに気づくにのまえ。
にのまえ「ん?なんだこれ?」
焼けただれていくにのまえの手や顔。
苦しみながら倒れるにのまえ。
にのまえ「何をした?」
時間操作が解除。
瀬文「うっ」
当麻「瀬文さん?」
瀬文「当麻?」瀬文は眼が見えなくなっている。
当麻「眼をやられたか」
当麻「瀬文さん、雪を避けて下さい」
包帯で顔を覆う当麻
にのまえ「どうして」
当麻「雪の中に毒を仕込んどいた。あんたのスペックは、あたしたちの数万倍のスピードでこの世界を動きまわる能力ってこと。だったら、あんたに付着した毒は、あたしたちの数万倍のスピードで、あんたの肉体を蝕んでいくはず。あたしたちもダメージを負うけど。あたしたちがこの毒でやられる前にあんたの方がやられる。乱暴な賭けだったけど、あたしたちの勝ちだ」
にのまえ「チクショー」
馬場「猪俣、もう終わったか」
猪俣「曇っとって見えません」
馬場「マスクを取って様子を見てみろ」
猪俣「あれ?しみる」
当麻「毒を止めろ!止めろ!」
毒が止まる。雨が降ってくる。
倒れているニノマエに近づく当麻。星形のアザに気づく。
当麻「そのアザ、まさか。まさか陽太?そんな、そんなことって?」
地居「そんなことがあるんだよなあ驚くことに。雪はやんだが雨は降る。にのまえは君の弟だよ。驚いた?この僕が、こいつの記憶を奪ったからさ。7年前にね」
当麻「嘘だ!だって年齢が」
地居「そう。僕たちの1秒間で彼は何日も過ごしていたりする。その分成長しているんだよ。まだこれで13歳だけどね。7年前の飛行機事故で奇跡的に、というか、そのときに時を止める能力が芽生えて生き残ったんだよ」
当麻「何で知ってんの」
地居「飛行機とともに炎上する大好きなパパとママを見て、心の底から時を止めたかったんだろうね。感動的な話だ」
にのまえを蹴飛ばす地居
地居「時を止めるなんて、人類最高のスペックだと思わない?でもほんとの意味でそれをコントロールしてるのは僕なんだよ」
当麻「コントロール?」
地居「にのまえが君を憎んでる理由を知ってる?」
にのまえ(回想)「君が僕の家族を皆殺しにしたんじゃないか。爆弾魔のくせに説教なんて」
地居「そう、僕が書き換えた偽の記憶だよ」
当麻「じゃあ、何もかもあんたが仕組んだ」
地居「そして僕の想像の通り、あんなすごい能力に君は勝った。最高の頭脳だよ全く。フッフッフ、ハッハッハッ」飛び跳ねながら瀬文の方に向かっていく地居
瀬文「テメエ、テメエ」
地居「瀬文、見えてないんだろう、この凡人が、見えてねえんだろ。撃ってみろよ」瀬文を投げ飛ばす地居
にのまえに近づく当麻。
当麻「陽太…陽太…」
にのまえ「姉ちゃん…姉ちゃん…姉ちゃん」
当麻の前で飛び跳ねる陽太を思い出す当麻
にのまえ「ねえ…ちゃん…ねえ…ちゃん…」
当麻「陽太!陽太!!」
地居「辛いだろうね?そんな顔しないで。怒りと悲しみは、人を不幸にするだけだよ」
当麻「あんたのせいで…」
地居「大丈夫!」
当麻のこめかみに両手の拳を当てるちい
地居「消えーる、消えーる、消えーる。いい娘だ」
瀬文「テンメー」
瀬文に駆け寄っていく地居
瀬文「当麻に何をした」
地居「俺の紗綾を軽々しく呼ぶな」
瀬文を蹴りを入れる地居
地居「紗綾のためにお前の記憶を書き換える」
瀬文のこめかみに両手の拳を当てるちい
瀬文「そんなわけにいくか、デカ魂なめ…」
地居「あはははは、あはははは、馬鹿が」
跳ね回る地居。
馬場「とうまくーん」
地居、「紗綾、紗綾」と当麻のほうに近づいていく。
鹿浜「大丈夫か君!なぜ、ここにいる」
地居「紗綾に呼ばれて」
地居「紗綾、大丈夫か、大丈夫か」
【病院】
病室のベッドに寝かされている当麻。頭には包帯、酸素マスク。
地居「気がついた」
葉子「紗綾」
馬場「当麻君、よかった」
マスクを外す当麻
当麻「いま、陽太が…」
葉子「陽太が?どうしたの?」
当麻「夢見てた」
葉子「もう3日も意識がなかったのよ」
お茶を入れている地居
医師「もう大丈夫ですよ。ただ、まだ体が思うように動かないでしょうから、しばらく安静に」
猪俣「先生、わしは?」←一応顔に火傷をしたのにスルーされる猪俣
葉子「あっ、せんせい、ちょっとおまちになって…」先生に菓子折りを持って出て行く葉子
当麻「瀬文さんは」
馬場「君より、多くの毒を浴びたみたいでね。特に顔がね。君は髪の毛で守られていたが、彼はね、一時的に、失明しているが、じき、回復するだろうとのことだ」
当麻「野々村係長は」
鹿浜「たぶん、もうすぐ…」
入ってくる野々村
野々村「老兵は死なず。それが私のSPECだ。だいじょうブイ」
当麻「係長…私たち、ほんとにあのにのまえを倒したんですか」
野々村「そうだとも。毒をチューっとね」
当麻「にのまえは死んだんですか」
野々村「まだ生死の境をさまよっているが、まず助からんだろう」
地居「どうぞ。大学の近くのオーガニックハーブ紅茶屋の自家製オーガニックハーブ緑茶です」←小ネタが微妙すぎる
野々村「緑茶、紅茶、どっち?」
ちなみに公式twitterによるとこのお茶は「笑いキクラゲ茶」とのこと。
野々村「何しろ、にのまえと、長い戦いだったからね。まだ現実感がないんだろう。僕にも覚えがある。僕にも、長い間追っていた事件を解決した時の、虚脱感って言う…」
野々村「じゃ、あとは、彼氏君よろしく。地居君もさ、危険も顧みず駆けつけてくれるなんて、いい話じゃないか!」
野々村「ばいなら!」鹿浜「斉藤静六!」猪俣「ちい散歩!」←ギャグが相変わらず古いし寒い!
当麻「そういえば、なんで現場にいたの」
地居「君が恐いって言うから、心配になってあとをつけたっていうか」
当麻「私があんたに、捜査の前に恐いって言ったの?」
地居「そうだよ。覚えてないの?寝てなさい」
【瀬文の病室】
瀬文にフルーツを持ってくる美鈴
いびきをかいて寝ている瀬文
美鈴「瀬文さん、早くよくなって下さい。それまで、今度は私が毎日来ますから」
瀬文の額に触れる美鈴。サイコメトリーしてしまう。にのまえの姿が浮かぶ。
【当麻の病室】
美鈴が入ってくる
美鈴「どういうこと」
当麻「あ、えっと、あっ、美鈴ちゃん?」
美鈴「にのまえは、当麻さんの弟だったの?」
当麻「何言ってるの、私の弟は、7年前に死んでる」
当麻のキャリーバッグからサイコメトリーする美鈴
美鈴「耳の後ろに、ひとでがたのアザがあった?それとおなじアザが、にのまえにもあった」
当麻「あ、いてててて。水飲みたい」
美鈴「今持ってくる」
【湯沸室】
美鈴が倒れている
(小説版ではここで地居が美鈴のサイコメトリングした記憶を消すシーンが入っている)
美鈴に代わって水を持っていく地居
【当麻の病室】
当麻「あれ?美鈴ちゃんは?」
地居「何か用事思い出したってあわてて帰ったよ」
当麻「そう。何だったんだろう」
【瀬文の病室】
いびきをかいている瀬文
このとき心電図の時計は12/22 23:39←読者の方からご指摘いただきました。ありがとうございました。
医師「理由は分かりませんが深い眠りについています。眼も含めて回復にはしばらく時間がかかるかと」
野々村「そうですか」
【当麻の病室】
リンゴをむいている地居
地居「そういえばさ、俺たちなんでこうなったんだっけ?」
当麻「なんでって?」
地居「そのにのまえってやつさえいなければ、今頃とっくに俺たち結婚してたんじゃなかった?」
当麻「そんな話しあったっけ?」
リンゴとナイフを洗面器に落とす地居。当麻のベッドの方によっていく。
地居「何忘れてんだよ。ひどいなあ」
当麻の左のこめかみに拳を当てる地居
地居「そっちが新人刑事の頃ソフトクリームだらだらこぼしながら俺に逆プロポーズしたんだよ。って聞いてる?」
当麻「そういえば。イテテテテ…」
地居「大丈夫?」
当麻「うん」
地居「とにかく、仕事が一段落してよかった」
当麻「うん」
地居「だから、ほんとに結婚しようか」
当麻「マジ?」
地居「マジ。ていうか、俺がそばにいないと、あんたまた何しでかすか分かんないし、心配で仕方ないよ」
当麻「何か、頭がぼうっとしてて、考えとくってことで今日はいいかな」
地居「うん。じゃあ、ゆっくり考えてみて」
当麻「うん」
地居、当麻のベッド脇のメモ用紙を見て、「なにこれ?」
当麻「ああ、はやぶさの機内時間の計算。この前地球に帰って来たとき一体はやぶさの中は何日の何時だったか」
地居「相対性理論か。でもなんではやぶさ?」
当麻「昔うちの父がはやぶさの開発に携わっていて」
地居「えっ?あのはやぶさ?」
【2003年9月】
陽太「これがはやぶさ?」
当麻の父・天「ああ、今は太陽の周りを回っている。予定通り行けば、4年後の夏にはイトカワの石を乗せて戻ってくるぞ」←当麻天が死ななければ、はやぶさは予定通り戻って来ていたかもしれないね!
陽太「僕も乗りたい」
天「人間を乗せて、イトカワへ行く宇宙船を作るには、あと何十年もかかるだろうな」
当麻「あたしが作る。そして双子のパラドックスの実験をしたい」
ケーキとジュースをもって入ってくる当麻の母
天「うん、何歳で帰ってくるかな?計算してみよう。はやぶさの軌道は、理論上…」
当麻「数式、高まる」
陽太「数式、高まる」
笑っている母親
葉子「ねえ、楽しい?」
当麻「数式、高まる」
陽太「数式、高まる」
【当麻の病室】
地居「なーるほど、いい娘だ」
当麻「分かってる?ほんとに分かってる?」
地居「分かってるよ、てか凄いな紗綾」
当麻「慣れ慣れ慣れしい」
地居の頭を叩く当麻
地居「いたっ」
看護士「楽しいすか」
【にのまえの病室】
鉄格子の中のにのまえ
馬場「これがにのまえか」
鹿浜「まだ子どもじゃねえか」
猪俣「子どもじゃろうが何じゃろうが、重罪人は許せんわ。治療なんてやめて今すぐ殺しましょうよ」
鹿浜「馬鹿野郎。デカに私情は禁物じゃ」
猪俣「何を奇麗事言うとるんじゃ」
馬場「辞めろ二人とも」
馬場「当麻と瀬文が命がけで追っていたものは何か考えろ」
猪俣「何を言うとるんですか?」
鹿浜「事件は解決したんじゃ?」
馬場「何か怪しい。デカの勘とか、信じていなかったが、何か騒ぐ」
【とある和室】
将棋を指している地居と老人。奥に双子の娘が座っている。
双子の間にあるのは公式twitterによるとキクラゲ木らしい。
地居「僕将棋好きなんですよ」
老人「若いのに将棋好きとは見所がある」
地居「昔はチェスも好きだったんですけど、チェスの駒は取ったら消えるだけでしょ。でも将棋の駒は取った瞬間こっちの味方になる。そこがいい」
老人「君の能力みたいだな」
地居「さすが歴史を動かして来た秘密結社のトップは、人に取り入るのが上手ですね」
老人「イングランドのグレートロッジからも、直々にお目にかかりたいと、やいのやいのうるさい」
地居「そっちが来るんだったら会ってやってもいい」
老人「伝えておこう」
老人「で、にのまえ亡き今何を企んでいる」
地居「僕はシナリオライターになりたいですね。僕のシナリオ通り世界を動かしていきたい。例えば、戦争なんかもそろそろ起こしてみたいですよね。歴史上一番派手な時代として、盛り上げてみたい」
老人「そんなことできるわけがない」
地居「簡単ですよ。何十人かの記憶を書き換えていけば、憎しみが起こり、テロが始まる。セプテンバーイレブンしかりですよ」←さすがにこれを地上波のドラマでやるのはまずいんじゃ
老人「もうひとつ聞いていいかね」
地居「どうぞ」
老人「なぜ当麻にこだわるのかね。そもそも、にのまえを倒すために始めたただのゲームじゃないのかね」
地居「兄弟対決なら面白いかと思って、そういうシナリオにしたんです。実際見ごたえあったし。そのうちですよ。段々当麻の頭脳にマジに感動して、好きになってったんです。今ではほんとに愛してる。当麻の心を、全てを手に入れたい。それが手に入らないなら、この世にない方がいい」←ケイゾク/映画の斑目の台詞と同じだ!
老人「瀬文を巻き込んだのは」
地居「やっぱラブストーリーには恋敵が必要でしょう。サブコードがらみで人生をめちゃくちゃにされたやつが未詳にやってくる。彼は、ある事件で心に傷を負っている。いいファーストシーンでした」
老人「おまえさん、モテないだろ」
地居「どういう意味だよ」
老人「なぜなら、世界一、うざい」
双子「うざ」
老人「詰んだよ。津田君。歩も目覚めると、金となる。将棋は奥が深いね」
将棋盤の駒を払いのける地居。
地居「SPECもない劣等動物が、俺にため口を叩くな!」
地居の顔が津田に。
ブブセラ兄弟が現れる。
津田が老人に銃を三発発射する。
【瀬文の病室】
当麻がやってくる。当麻が瀬文の病室を覗き込む姿が当麻らしい。
当麻「ういーす」
当麻「まだ寝てんすか?長いっすね?」
美鈴が置いていったフルーツバスケットに気づく当麻
当麻「夢のフルーツバスケット!」
匂いをかぐ当麻
当麻「キウイオッケー、メロンオッケー、梨もオッケー、バナナギリギリ」
フルーツを食う当麻
当麻「振りかけパインバカウマ!マヨメロメロメロバカウマ!聞いてます?」
マヨネーズに「院長専用」と書いてある(笑)
瀬文、手を出して当麻の方を手探りする。
瀬文「俺のもん勝手に食うな、味バカ、舌バカ、バカ」
当麻「いいっすね、バカ。懐かしい気がしますなあ。頭ここです」
瀬文が殴れるように頭を傾ける当麻
瀬文「食わん。殴らん」
いびきをかいて寝る瀬文。
当麻「寝るなバカ。起きろ瀬文。眼え開けてこっち向け」
瀬文の病室で寝ている当麻
地居がやってくる
地居「起きろ」
当麻「寝てた」
地居「あいつ寝てんじゃん」
当麻「だからか。妙にほっとするんだよね、ここにいると」
地居「なにそれ」
当麻「うん?妬いてんの?」
地居「心配してんだろ。行くよ」
当麻を引っ張っていく地居
【当麻の病室】
当麻「疲れたから寝まーす」
地居「じゃあ俺も帰るわ」
椅子をたって、振り返って当麻に触れようとする地居。
当麻「チッチッチッ、何すんの」
地居「イッテ。俺なんか変なことした?」
当麻「エロオヤジ」
地居「あのさ。俺たちつき合ってんだよね?」
当麻「そうだね。そうだった。」
地居「だったら」
当麻「はいはい。ちゅー」
看護士「当麻さんお熱測りますよ。…キスだ」
【未詳】
第8話ではがした)雅の写真を元に戻している野々村
指名手配写真
指名手配 有力情報に300万円 連続美女誘拐殺人犯人 怪人 尾屁羅(おへら)
雅「こおっち!」
野々村「雅ちゃん!あ、イタッ」
雅「あのね、あたしこおっちに言っておかないといけないことがあるの」
野々村「なに?なになに?」
雅「あたし猪俣さんと結婚する」
野々村「うん。ん?」
雅「いまほっとした?」
野々村「うん。ん?」
雅「うっそーん」婚約指輪を外す雅
雅「実はあたしね、司法試験受かってたの。先月から有休取って、密かに司法修習生やってんの。」←法科大学院にはいつ入った!旧司法試験か!
野々村「げ」
雅「で、今の奥さんの雅さんが、銀座で雅さんを名乗ってた前の前の奥さんからこおっちを奪ったように、雅もこおっちを奪還するのだ」←現妻が永田杏奈で前妻が銀座で雅を名乗ってた泉ピン子じゃないのか?
妻の雅(字幕では「旧雅」)「こおっち!」
野々村「げ、みみみ、雅」
妻の雅「こおっち、こおっち、こおっち!」
例のポーズをして野々村に近づいていく妻の雅。
妻の雅「I miss you!」
野々村に抱きつく妻の雅。
雅「何これ、熱々じゃん。ヒートテックじゃん。赤道小町じゃん」
野々村「テヘッ」
雅「見てろよ。映…」←オンエアでは「エロオヤジ…」とか言いかけたのかと思ったが、字幕ではこうなっている!
【当麻の家】
「覆水盆に返らず」書を書いている葉子
当麻がいる
葉子「どうしたの?退院したの?」
当麻「逃亡中」
葉子「何から?」
当麻「何だっけ…あ、病院とか、男とか、色々。すぐ戻っから」
葉子「そっ」
自分の部屋で昔の写真を調べる。
陽太の写真を見てにのまえの顔が浮かび、涙を流す当麻
当麻「なぜ…」
葉子「何で泣いてんの」
当麻「分かんない」
葉子「まだショックが癒えてないみたいね。ビビってんのかしら」
当麻「ビビってねえし」
葉子「その元気なら大丈夫」
葉子「何見てんの」
当麻「大学時代の日記」
葉子「きたな。めっさきたな」←当麻の「めっさ」って口癖、祖母譲りだったんですな
当麻「うっさいなー。あのさ、左利きと、あたし昔から仲良かったんだっけ?」
葉子「地居君のこと?あんたが、京大に行ってた時からのことだから、そうなんじゃないの。
葉子「はい」箱に入った当麻の写真を渡す葉子
当麻「これなに?」
葉子「全部彼が撮ったんでしょ。左利き用のカメラで」
【にのまえの病室】
地居がいる
地居「はやく死ねよにのまえ」
眼を開くにのまえ。指が動く。地居の方を見る。
にのまえ、指を鳴らす時のような指の動きをする。ここで一瞬コマが飛ぶ。
容体が変化する。心電図の数値が?になる。この時の心電図の時計は12/23 23:45
地居「おっ、お、お、お、お」
はしゃぐ地居
【瀬文の病室】
地居が駆け込んでいく。
地居「おい、おいおい、おい、俺のこと覚えてる?おい、おいおい、当麻紗綾って覚えてる?」
見えない眼で地居を見る瀬文
地居「きもいなおっさん。俺の紗綾の記憶がお前の中に残ってるってだけでぞっとするわ」
記憶を消す地居
地居「殺してやってもいいんだがあいにく俺はあんたと違って平和主義者でね」
【当麻の病室】
陽太「姉ちゃん…姉ちゃん」
眼を覚ます当麻
【病室の廊下】
当麻が歩いている。門の向こう側で馬場、鹿浜、猪俣が話している。
馬場「よく、聞いてくれ諸君。にのまえが、死んだ」
鹿浜「結局、何もつかめなかったか。これで定年まで、お気楽極楽だな」
猪俣「逆じゃろ。死ぬまでわしら、この事件を追わざるを得んじゃろ」
馬場「死ぬまでデカだ、馬鹿デカだ」
馬場、猪俣、鹿浜「上等じゃねえかよ」
【未詳】
当麻が記憶を辿ろうとしている。
当麻「ダメだ」
書道をしようとして、筆を止める。
当麻「ダメだ。ダメだ…何も思いつかない」
筆から垂れた墨が、星形の印を残す
当麻「覚えてる」
書道「痔」
当麻「間違えた」
書道「痣」
当麻「アザ」
【瀬文の病室】
暴れ回る瀬文
この時の心電図の時計は12/22 23:36←にのまえが死んだとされるときより時間が戻ってる
【未詳】
未詳での出来事を思い出す当麻
当麻「覚えてる」
書道「未詳」
【瀬文の病室】
暴れ回る瀬文
【未詳】
SPEC HOLDERとの対決を思い出す当麻
書道「SPEC」
当麻「覚えてる」
書道「野々村係長」
書道「美鈴」
書道「地居」
【瀬文の病室】
瀬文「ううーーーっ」
力を振り絞る瀬文
【未詳】
瀬文とのことを思い出す当麻
当麻「覚えてる」
書道「瀬文」
当麻「忘れられるわけがない。こんな大切なこと」
地居が撮った写真と、半紙を破く
当麻「私のここが、全部覚えてる」
半紙と写真を投げる当麻
当麻「いただきました」
何やら工作する大麻←あとのシーンから推察すると、動かない左手に拳銃を握らせている&拳銃を改造している?
【街中】
通勤に向かう人々を見る地居
地居「ミジンコみてえだな、朝から働くヤツラって」
当麻から地居にメール「プロポーズの返事、聞きたい?聞きたい?」
【教会】
地居がやってくる
当麻がマクドナルドを食いながら待っている。
地居「おまたせ」
当麻「いい教会でしょ」
地居「いい感じじゃない。式を挙げるには」
当麻「二人で行った京都の下鴨のセントマークス教会に似てるなと思ってさ」
地居「ああ、そうだね」
当麻「ニコ」
地居「プロポーズの返事は」
当麻「返事の前にひとつきいていい?なぜ私と結婚したいの?」
地居「決まってるだろ。君が好きだからだよ。心から愛してる、ずっとずっと君を思い続けて来た」
当麻「うーん?でもさ、どう考えてもあたしたちつき合ってないみたいなんですけど」
地居「えっ?何言ってんの?」
当麻「京都の下鴨にセントマークス教会なんてないし」
地居「そうだっけ?」
当麻「はっきり言うけどさあんたのことが好きじゃない。過去一瞬も好きになったことはないし、これから先一瞬も好きになることはにゃあだ」
地居「そんなことないよ。何十回も一緒に遊びにいったし写真も撮った。手紙もやりとりしたよ」
当麻「それはこれのこと?」
地居が撮った写真を見せる当麻
地居「そうだよ」
当麻「どんだけー。これはね、デート写真って言わねえよ。ストーカー写真っていうんだよ」
地居が撮った写真をぶちまける当麻
当麻「あんたとつき合ってるって記憶や証拠を色々ねつ造したみたいだけど、写真だけはねつ造しきれなかったみたいだね。私のストーカーさん」
地居「ばれたか」
当麻「きもっ」
地居「俺ってそんなにきもい?そんなひどいビジュアルじゃないと思うんだけどなあ」
当麻「きもっ!きも!きも!きも!きも!すなぎも!うなぎも!その根性が一番きもいんだよ」
地居「うなぎもってあるの?」←だから、シリアスなシーンにギャグをはさまない(笑)
当麻「人の記憶を奪い、あんたに都合良く書き換え、全ての人間をあんたの思い通りにしようと思ったようだけどあたしはあんたの思い通りにはならない。いくら記憶を書き換えられようとあたしはあたしなんだよ」
地居「僕は君に会って100年の孤独から救われた。こんどは僕が君を孤独から救ってあげたい。何も考えず僕のものになれば今後苦労することはない。幸せに暮らせる。辛いことや悲しいことを味わうことも決してない。人間がずっと苦しんで来た煩悩から解放してあげられる」
当麻「辛いことや悲しいことだって、私の大事な財産だよ」
地居「ほうー。じゃ君はこれから、弟殺しの苦悩をずっと背負いながら生きていくんだね。この人殺し」
当麻「私は私の罪を背負って生きていく。どんなに辛くてもその痛みからは逃げない。そんな痛みより陽太への思いを忘れる痛みの方がよっぽどでかいわ。人は、痛みや苦しみを味わって、苦しんで、乗り越えてそれを優しさに変えていくんだよ。私は瀬文さん、美鈴ちゃん、お前のエゴのために死んでいったたくさんの人たち、そして陽太、その痛みの分だけ怒りマックスだからよ。罪を償ってもらう」
地居「罪?何の罪だよ?証拠はあるの?証人は?瀬文の記憶も美鈴の記憶もぜんぶ消した。君の記憶はもはや、妄想って訳だ」
当麻「卑怯者」
当麻、地居に拳銃を向けるが蹴飛ばされ、植木鉢の中に入る。
足蹴にされる当麻
地居「こっちの手も潰してやる」
当麻の右手を踏みつける地居
地居「ここで君を殺しても、目撃者の記憶を書き換える。誰か僕の代わりに罪を償ってくれる。真実なんてものはないんだよ。仮にもし真実なんてものがあったとしても、全て時の流れの向こう側だ。真実は、人に記憶された瞬間から変質していく。記憶は年老いて薄れる。死んで消え去る。真実とか記憶とかそんなくだらないものにこだわってるなんて人間は馬鹿だよな。バーカ」
瀬文「馬鹿で上等だ」
瀬文が美鈴に支えられて、拳銃を構えて現れる
瀬文「当麻からはなれろコノヤロウ」
地居「瀬文、美鈴」
当麻「瀬文さん」
美鈴「残念ね。いろんな記憶は、この手で取り戻したわ」
地居「ふんっ。君のSPECごと消しとくんだったな。ま、いいや。あとでもう一回消すことにしよう」
瀬文「それは無理だね。何度もお前にやられたが、俺の記憶は結局消えなかった。なぜだか分かるか。人間の記憶ってのはな、頭ん中だけにあるわけじゃない。ニンニクくせえ人間のことは、この鼻が、この傷の痛みが、体全部が覚えてんだよ。テメエはむかつく。虫が好かねえ生理的に受け付けねえ。だから勘で分かるんだよ。生かしておいちゃこの世の中のためにならねえってな」
地居「警察が勘で人を裁くのか。犯罪者と一緒だな」
瀬文「一緒じゃねえ。やっていいことと悪いことはな、おのずと決まってんだ。デカ魂なめんじゃねえぞこの頭でっかちやろう」
地居「ふん」
何者かに吹き飛ばされる美鈴と瀬文
当麻「瀬文さん」
瀬文「折れたじゃねえかよ。これもお前の力か」
拳銃を地居に向けるが、はねとばされる瀬文
地居「俺の力じゃないよ。この教会の周りには俺を守るためにSPEC HOLDERが何人も潜んでる。お前らは俺をおびき寄せたつもりかもしれねえが取り囲まれたのはお前らなんだよ。バーカ」
SPEC HOLDERに殴られる瀬文。血を吐いて倒れる。
地居の右手にマシンガン(TEC-DC9)が現れる。
地居「便利だなー。こうやって武器を渡してくれるSPECの持ち主もいる。ラクー」
地居「紗綾。僕のものになってくれ。そうすればそこにいる二人の命も助けるよ」
当麻「撃つなら撃て」
美鈴「撃つならこっちへ撃ちなよストーカー野郎。死んでも当麻さんを渡さない」
地居「聞いてたのか。ストーカー野郎じゃない。僕の名前は津田助広です。これからもよろしく」
瀬文「上等だ津田。撃つなら俺を撃て。俺が気合いで全部止めてやる」
美鈴「え?SPEC?」
瀬文「馬鹿やろう気合いだ」
地居(字幕では津田になっているが、便宜上地居とする)「手え折れてんだろ」
立ち上がり地居の正面にかに歩きする瀬文。
瀬文「ゴットハンド大山倍達(ますたつ)。うりゃー」←もう勘弁して。こんなとこでギャグを入れないで
美鈴「やっぱりピンチ」
地居「ピンチじゃないよ。ゲームオーバーだ」
瀬文の眼に、ぼんやりと地居の姿が映る。
瀬文「見えた」
抜いた歯を吹き飛ばす。歯が地居の額に刺さる。マンガじゃないんだから
当麻「やるじゃん瀬文」
倒れる地居
地居「ああーっ」
当麻、起き上がって瀬文のところに向かう。
当麻「私が死ぬまで勝負は終わらねえよ。命ある限り、全てを変えられる。希望は絶対消えない。テメエ一人で、千年の孤独に沈んでろ」
包帯から左手を抜き、瀬文の口元に左手をやる当麻
当麻「噛め」
左手のギプスを瀬文に抜かせる当麻。左手に拳銃が握られている。
【霊安室】
にのまえに手を合わせる野々村。
何かに驚く野々村
【教会】
瀬文の頭を台座にして、地居に拳銃を向ける当麻
地居「グダグダうっせえんだよこのミジンコどもが。死ね」
当麻と瀬文に銃を向ける地居
当麻「にぎ、にぎ、にぎ…左手動け!」
お互いに打ち合う当麻と地居
時間が止まる。
何者かが地居の前を横切る。
地居は自分の撃った弾で撃たれる
地居「バカな…」
美鈴「何がおこったの?」
瀬文「にのまえが、生きていたのか…」
地居「にのまえ…チクショー!」
瀬文と当麻の左側の(瀬文がSPEC HOLDERと戦っていたあたり)に星形の血痕(読者の方に指摘していただきました。感謝。)
地居「出てこい…。…にのまえじゃない?じゃ、誰だ?誰の仕業だ?」
瀬文「にのまえじゃない?」
美鈴「何?何の話?」
地居「まさか…」
倒れて死ぬ地居。その脇には当麻の写真。
瀬文の後ろに立っていた当麻が、瀬文から離れた位置に立っている。
当麻の立ち姿が不気味でさえある。
SPEC 承ノ回 へ 祈ル捲土重来 のテロップ
エンドロール
【教会の外】
CBCが屋台を開いている
餃子親父がロボットになっている
津田(フリーメーソンの老人を撃った時と同じ姿)が餃子を食べている。電話がかかってくる。
津田「はい、公安部公安零課、津田です。予定通り状況終了です。帰還します」
ぱっと消える津田。
餃子で「終」の時が書かれている。
瀬文と当麻がレンガ造りの建物(教会?)の前に立っている。
当麻「映画化とかぜってーしねえから」当麻の右足は靴が脱げている。
瀬文「当麻!」

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SPEC 第10話【癸の回】エンドロールから分かること

SPEC 第10話のエンドロールで、当麻が次々と紙をめくっていくが、そこに名前がかかれている。
赤字の人物は、死亡した人物、黒字の人物は、生きている人物と言うことだろう。

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SPEC 第10話【癸の回】First Impression

ついに終わってしまった…SPEC。
面白かったというか、終わってしまった虚脱感が大きい。これから、何を楽しみに生きていけばいいんだろうってくらい。
にのまえ=当麻陽太とか、このブログではほぼ断定的に書いてきたし、地居が記憶を操作するSPECの持ち主で、にのまえや当麻の記憶を書き換えていたというのも予想通りだった。
ケイゾクの最終回で、真実論争が出て来たが、それが繰り返され、さらに発展した形で繰り返される。ケイゾクでは、「曖昧な記憶の集合体で、その記憶の持ち主を消せば、真実なんて消えてしまう」と「真実は、かならず、ひとつなんです」という対立だったが、「真実は、人に記憶された瞬間から変質していく。記憶は年老いて薄れる。死んで消え去る」と「人間の記憶ってのは、頭だけにあるわけじゃない。全部からだが覚えてる」という対立好事になっていた。これも、SPECがケイゾクを受け継ぎ、発展させようとしたドラマだったと言うことだろう。
しかし、最後の地居との対決(「津田助広」と名乗っていたがとりあえず地居)で、最後に謎を残して終わるってところも、SPECらしいっていえばらしい。そして、「SPEC 承ノ回 へ 捲土重来」という文字まで。おそらくそれはジョークだろうが。
それにしても、忘年会でリアルタイムで見られなかったのが、つくづく残念でならなかった。

SPEC 残された謎

いよいよ今週最終回のSPEC。
まだまだ謎が多く残っている。その中には、明かされないで終わるものもありそうだが、箇条書きしておく。
・当麻の両親は死んでいるようだが、当麻家においては当麻陽太=一十一も死んだことにされているのか?
・にのまえは二三が実の母親ではないことを意識し、「家族ごっこ」を意識的に行なっていたが、自分が当麻の実の弟であることを知っているのか(記憶を操作されていないのか)?
・第一話でにのまえが脇に言った、「せっかく俺たちに近づいてきたヤツラが現れたのに、何勝手なことすんだよ」と言うのは瀬文と当麻を指していると思われるが、その真意は?
・極秘に行なわれた桂死刑囚の処刑現場に、どうやってにのまえは現れたのか?
・記憶を操作するSPECの正体は地居で間違いないのか?
・当麻の回想シーン、プロポーズと、左手切断の記憶は現実にあったことなのか?
 病院に通っていることから、少なくとも左手を負傷しているのは間違いないと思われるのだが。
・半年前の当麻とにのまえとの対決が現実だとして、その対決はどんなもので、当麻は何の罪で逮捕しようとしたのか?また、当麻が弟の顔を見分けられなかったのはなぜか?
・SPEC HOLDERが所属する組織は、にのまえの所属する組織以外に存在するのか?海野、サトリも組織に所属していたが、にのまえと同じ組織なのか?
・にのまえはなぜ里中の住所を知ろうとしたのか?
・里中を脅し冷泉を零課から奪おうとした組織は何者なのか?
・海野の最後の言葉「ぼくはただでは殺されないぞ。きみたちを、もっとも苦しい病の中に取り込んでやる」とは何を指していたのか?
・サトリのボスは冷泉俊明の身柄を誰から買ったのか?
・サトリは未詳につれて帰ったあとどうなったのか?
・第8話でにのまえが当麻のことをにのまえの家族を皆殺しにした爆弾魔と言った意味は?
・当麻はにのまえのハブラシからDNA鑑定をしようとしていたが、何の目的で?
・第8話でにのまえが瀬文に語った、志村を操った、にのまえに逆らおうとした奴らとは何者か?
・零課でダルマに×印が書かれていたSPEC HOLDERは本当に殺されたのか?逆に、冷泉俊明はなぜずっと生かされていたのか?そして、サトリから解放されてすぐに殺されたのか?

SPEC 第9話【壬の回】 小ネタ&突っ込み(ネタバレあり)

【会議場】
にのまえ「約束と違うじゃん。どういうこと」
男A「子どもが大人の決定に口を出すなっていうことだよ」
にのまえ「カッチーン」
指を鳴らすにのまえ
男A「何のつもりだ」
にのまえ「お前らに警告する。つうかもうあんたしかいないけどね」
会議室にいた各国の代表が、全員だるまになっている。
男A「こ、殺したのか?」
にのまえ「顔見て?」
男Aの顔に赤いキリトリセンが描かれているのを鏡で見せるにのまえ
男A「何の真似だ?」
にのまえ「お前の顔のキリトリセン、次はその線に沿って、頭部を真っ二つ。にどとぼくにさからうなと全レベルにつたえろ。ハッハッハッハッ」
ぴょんぴょん飛び跳ねるにのまえ
【未詳】
野々村「全部止められちゃった」
当麻「係長何やってんすか手伝ってくださいよ。エレベーターホールふさがれちゃったんで一旦桜田門に出て国交省側の通気口から入るんすよ」
巨大なライトを持って来た当麻
野々村「すごいの持って来たね」
当麻「上の奴らが電気水道エアコンと徹底的に止めやがったから仕方ないすよ。実力行使です」
野々村「未詳がお取り潰しになっちゃったからってひどいことだ」
当麻「んだんだ」
野々村「そのライトどっから持って来たの?」
当麻「桜田通りで撮影をやってて落ちてました。ラッキーっすよね」
野々村「えっ当麻君?」
当麻「何すか?なんか問題ですか。てか犯罪ですか何罪ですか?道に落ちてた撮影照明借りパク罪ですか?」
野々村「窃盗罪」
当麻「(固まる)」
野々村「まさかまさかまさかいまさあきはスパイダーズ気づかなかったの?」
当麻「(固まった顔のまま)大丈夫です。想定内です。てか寒いっすねストーブつけますか」
野々村「おおお、ストーブ。電源は?」
電源延長コードを持って捜査一課から引いてくる当麻
【捜査一課】
猪俣「これ当麻の野郎がうちの科捜研にもちこんだハブラシのDNA鑑定結果を横流しさせたんですが、この暗号ソフトをインストールして…」
【未詳】
当麻「捜査一課のあたりから電源を引いて来たんですよ。あいつらばかだから、気づきませんよ」
野々村「電気も窃盗罪だけど、まいっか、署内だし」
当麻「ストーブいいなあ。あったかいなあ」
幸せそうな顔の当麻。
野々村「あったかいねー。ペチカみたいだ」
当麻「あ、鍋しますか。はやりのたこ焼き鍋しますか」
電源が落ちる。
猪俣「やーん」
当麻「あ、やべ!ひろし」
捜査一課の三人が入ってくる
猪俣「あんたら、何したんか分かっとるん?」
野々村「はあ、申し訳ございませんでした」
猪俣「わしの大事なパソコンがクラッシュしてしもうたじゃん」
当麻「今時電源切れてクラッシュするパソコンの方が珍しいわ」
猪俣「なにカバチたれとんや…」
馬場「まあまあ、野々村元係長、なぜまだこの地底に。給料も、止まっているはずだが」
野々村「実は…瀬文君を待っておりまして」
馬場「瀬文?」
当麻「そういや辞表ありましたね。どうしたんすか」
野々村「いや、知らん。わしは知らん」
と言いながら餃子フィギュア?で瀬文の辞表をテーブルの上から引き出しの中に飛ばす野々村
鹿浜「すっとぼけるなら公用文書毀棄罪で逮捕すっぞー」
野々村「逮捕?なんで?」
鹿浜「もうあんた一般市民だから」
当麻「それもそだ」
馬場「即刻明け渡してもらいたい。警察手帳は、人事へ。拳銃などは、私が預かろう」
野々村「はい。うーん、可及的速やかに」
馬場「NOW。JUST NOW」
野々村「銀座NOW!は、ハンダース」
鹿浜「何ごまかしてんだ!まさか拳銃なくしたんじゃないだろうな」
野々村「いやー、なくしたというわけではなくてですね」
当麻「瀬文さんが拳銃持ってったままずっと休んでるんで、返せないんですよ」
野々村「あっ言っちゃった」
捜査一課「げ!」
馬場「辞表出した人間が拳銃返してないって、それはプロブレムじゃないの」
野々村「どうしましょう。逆に一般市民としてリークしちゃおうかな。神戸の漫喫から動画上げちゃおうかな。一般市民としてツブヤイターでチクっちゃおうかな。チクリッターなんてスパーン」おいおい!
携帯を出す野々村。
馬場「待ったなう(泣き顔で)元係長!」
野々村「管理官!」
馬場「元係長!」
【志村の家】
線香を上げる瀬文
美鈴「ありがとうございます。兄も喜んでいると思います」
瀬文「そんなわけがありません。申し訳ありません」
美鈴「私、今、実は、とてもすっきりしてるんです。私、兄のああいう笑顔見たのはじめてだったんですよ。早くに両親を亡くして、兄は高1の頃からずっと働いてて、私にはガミガミ親のように、えらそうに叱るし、ずっと喧嘩ばかりの兄妹だったんです」
瀬文「…」
美鈴「でも兄の看護をしていて、私、兄の優しさにはじめて気づいたんです。あの事故がなければ兄のことを誤解して憎んだままだったと思います」
瀬文「…」
美鈴「言い訳じゃないですよ。私の変な能力も、消えてしまいました。もう何も感じません。兄と会話したくて芽生えた力だったんでしょうけど、もう必要なくなったので、消えたんです。ほっとしました」
瀬文「…」
美鈴「あー、辛気くさい。ビールでも飲みますか」
冷蔵庫にはビールが一杯「SHIRETOKO」ブランド。
美鈴「兄がね、ビールだけは贅沢してたんですよ。発泡酒は飲むなってね。下戸のくせに。瀬文さんの教えだって言ってました」
ビールをつぐ美鈴。
瀬文「そんなことを…」
美鈴「何でしたっけ…命…」
瀬文「捨てます」
美鈴「ああそうそう。命捨てますって言いながら飲んでましたよ。へたれのくせに」
ビールを飲む美鈴
美鈴「兄のためにも私は、私の人生をきちんと歩もうと思います。ちゃんとした画家になって。一回くらい兄にほめてもらえるように。だから瀬文さんも兄のことにこだわらず自分の人生をきちんと生きてください。兄もそれを望んでると思います」
土下座する瀬文
美鈴「……」
出て行こうとする瀬文
美鈴「瀬文さん、真実なんてどうでもいい。兄の敵とか、つまらないこと考えないで、生きてください。そして時折、兄に会いに来てやってください。お願いします」
ビールを一気飲みする瀬文。
SITの歌を歌う瀬文
「命捨てます 恐くない
街の平和を エスアイティー エスアイティー
オー シット!」
瀬文が去った後、泣いている美鈴
【街中】
涙を流し、天を仰ぐ瀬文。
飛んで来た紅ショウガをつかむ瀬文。
当麻「泣きほうけてるかとおもったらさすがっすね」
すき家の牛丼弁当を渡す当麻。
当麻「美鈴ちゃんちにくると踏んで、待ってたんですよ。牛丼食いなっせ。たーんと食いなっせ。暗いなおみゃあは。ただでさえしっけた絵筆みたいなにおいしてんのによ。みんな心配してますアンド迷惑してます。早く帰ってきなんせ」
瀬文「俺はもう刑事をやる資格なんてない」
当麻「そうやって男はすぐ逃げ口上にするけど、単に卑怯なだけですよ」
瀬文「俺は逃げん。卑怯者でもない。志村の敵はかならず撃つ」
当麻「私情は禁物です。何遍も言っとるがや」
瀬文の牛丼を奪おうとする当麻。それを奪い返して食う瀬文
当麻「法に則って刑事として真実を追うから私たちは刑事なんです。私情にかられてしまったらそれはただの暴力です」
瀬文「SPEC HOLDERを今の法の中でどう取り締まるんだ。志村を殺した奴らを法で裁けるのか?法なんてくそくらえだ」
当麻「それを考えるのはこの私の頭脳です。私が追いつめてみせる。だから私は未詳にいて、てめえの帰りを待ってるんだろうがよ」
瀬文「…」
当麻「…」
立ち上がる瀬文
当麻「瀬文さん」
黙って去っていく瀬文…もどって紙袋をつかんで去っていく
当麻「だからバカは嫌いなんだよ」
(提供コールの間)
【捜査一課】
(指名手配犯のポスター、提供コールにかからないようにぼかしがかかっている)
猪俣「で、さっきの続きなんですが」
馬場「ん」
猪俣「データが消されてます」
鹿浜「なんだそら、役に立たなねえな」
猪俣の携帯着信
猪俣「もしもし雅ちゃん、どうしたの?ご両親に挨拶?今週」
馬場「いや、これで分かったことがある。警視庁に取ってばれたらヤバい人物と、」
猪俣「サプライズで?あの、」
馬場「にのまえのDNAが重なったんだ」
猪俣「木の前のピザ屋で集まって、」
馬場「つまり、にのまえの仲間がこの警視庁内部にいる」
猪俣「とどのつまり、木の前のお窯で焼いてもらってさ、ああ。うん、ねえ!」
鹿浜「まさか」
馬場「猪俣うっせえ」
鹿浜「まさか」
馬場「お前もだよ」
【公園】
シャボンを吹いている子どもとその親。
太極拳をしている?三人組(一番左は堤作品でおなじみサバ男)
つながれた犬
ベンチに座っておしゃべりしている3人のOL風の女性
公園の全景が映ると、他にも、図書館で当麻と瀬文を監視していた老夫婦らしきひとなどがいる。
それを見ている瀬文。その横に座る津田。
津田「どうも」
瀬文「よく無事で」
津田「無事なわけねえだろ。殺されたよ津田は」
瀬文「ならお前は誰だ」
津田「俺も津田だ。といっても津田って言うのは、公安部零課の幹部のいうなればパブリックドメインだ」
瀬文「パブリックドメイン?」
津田「誰もが津田助広を狙うだろう。だからあの津田は殺されても代わりにこの津田がいるってシステムだ。だからこそ、公安零課は世界最強の組織たりうる」
瀬文「名を捨て顔を捨て、自分も捨てた死神の集団か。まさにアグレッサーだな」
津田「よくご存知で。ただ俺たちは、死神じゃない。全てを捨てて愛するものたちの住むこの国を守ってる、究極の公務員だよなあ。まぁ割りには合わんがな。フフフ」
瀬文「その死神が俺に何の用だ?」
津田「お前をスカウトに来た。公安零課、アグレスに入ってもらいたい」
瀬文「あいにく俺は公務員失格だ。てか指名手配中だ」
津田「気にすんな。お前にかかる嫌疑は全て封印する。逆に断りゃあ、いろいろでっち上げて死んでもらう」
瀬文、津田の方を見る。
津田「どんな手を使ってもな」
瀬文「…」
津田「瀬文。よく聞け。我々は特殊能力者に対して何十年も研究対策を行なって来た。その結論として、合法的な警察活動では限界があると判断され、公権力のもとで、我々は非合法活動を行っている。この町の平和を守っている。SITの歌にもあるだろう。町ーの平和をオー、シット。お前の力を我々に貸してほしい。てかさ、お前、志村のかたきを取りたくないのか。志村の無念を晴らしたくないのか。うん?」
瀬文、立ち上がって自分の歯を抜く。歯には「7」と描かれている
瀬文「瀬文、公安零課入りを志願します」
津田「お前さ、乳歯の入れ替えじゃないんだから。上の歯か?下の歯か?ま、どっちでもいいや。そうと決まれば話は速い。ギャラとか細かいことを決めねえとな」
瀬文「抜いた歯にかけて、ギャラは要りません。終わったら、全てを辞めます」
津田「へえ〜へえ〜」
瀬文「一つだけお願いがある。未詳の仲間の地位は守っていただきたい。これは条件です」
津田「分かった。手配させよう」
津田、手を挙げて公園の方に合図する。
公園の人々(+犬)が全員敬礼している。
瀬文「あいつらも、公安零課のスタッフですか?」
去っていく公園の人々。
津田「瀬文、全ての真実を疑え」
去っていく津田
抜いた歯を戻す瀬文
【未詳】
真っ暗闇。
野々村「寒いねー。瀬文君帰って来ないまんまだと、凍死か糖尿かで死んじゃうよ」糖尿でそんなすぐ死ぬかよ!
当麻「それは困りますね。先にハチミツでも飲んで死因だけは確定しときますか?」
野々村「当麻君、ちょっと瀬文君に電話してよ」
当麻「やですよ。係長こそ瀬文さんに電話したらどうすか」
野々村「何度もやったよ。でも出ないんだもん」
当麻「ホント、無責任で鈍感なやつですよ。瀬文の野郎は」
突然電気が付く
公安第五課秋元課長代理が来る。
秋元「本日付けで、公安第五課未詳事件特別対策係を再度設置。野々村光太郎を、同係長に嘱託任命する」(息切れしている)
敬礼する野々村、スーツが裏返し。
野々村「また、いいんですか私で」
瀬文の机の上に指名手配ポスターを置く秋元。当麻の方を向いて、
秋元「あー貴様。いや、当麻…くん。きみも一時、人事預かりになっていたが、引き続き、この部署で活躍してくれ」
当麻「何があったんすか」
秋元「方針の変更だ。特に意味はない」
ポスターの上に紙袋から出した拳銃を置く秋元。
ポスター「指名手配 凶悪恐喝犯 緑野 酒冷九(みどりの しゅれいく)」
秋元「これは、瀬文警部補が先ほど辞職したため返納された」
当麻「辞職?」
秋元「以上だ」
当麻「瀬文さんは辞めてどこへ?」
秋元「知らん」
当麻「まさか、アグレッサーに引き抜かれたわけじゃないでしょうな?」
秋元「何だそれ。アグレ?アグレス、チャン?全く、何を言わせんだ貴様ら」
去っていく秋元。何かにつまづく
拳銃の保管ロッカーを無理矢理こじ開けて、拳銃と弾を取り出しキャリーバッグに入れる当麻。
野々村「何か知ってるの」
当麻「知りませんよ。単に勘が当たっただけです。まさか、図星とはね」
野々村「どこへ」
当麻「瀬文さんのところへ」
野々村「場所分かるの」
当麻「いえ。でもアグレッサーを挑発すれば向こうからムキになってやってくるでしょう」
野々村「殺されちゃうよ」
当麻「大丈夫ですよ。私にも係長にも、SPECはあるはずですから」
野々村「え?何のSPEC?」
当麻「さあ。でも私の脳でずっと眠っている残り90パーセントのうちのどっかが私の思いに応じて目覚めてくれるはず。それが、私たちの未来を切り開いてくれると思います」
野々村「なるほど。これは、人間の可能性を信じるものと、閉ざそうとするものの戦いってことだね」
当麻「いいこと言いますね。遺言みたい。じゃ」
去っていく当麻。
野々村「遺言か…死ぬのかわし…」
【捜査一課】
馬場が入ってくる
馬場「瀬文と接触していたフリーライター渡辺麻由人死亡事件の犯人が自首して来た」
鹿浜「てことは瀬文の容疑は晴れ、これで事件は解決ですね」
馬場「いや、最大の問題は瀬文自身が行方不明ってことだ」
猪俣「なんかの事件に巻き込まれたいうことじゃ」
鹿浜「どうします?今までみたいにすっとぼけてやり過ごしますか」
猪俣「それとも、たまにゃあ刑事らしく捜査してみますか」
(馬場の携帯に着信)
馬場「当然捜査だ。誰よりも先に瀬文を確保するんだ。でないと瀬文が闇に葬られるかもしれん」
猪俣・鹿浜「はい」
出て行く二人。
野々村から馬場に電話。
馬場「馬場です」
野々村「野々村です。実は…」
馬場「瀬文の件なら、もう動いています。心臓が息の根を止めるまで真実を求めてひた走れ、それが刑事だ、でしたかな?新人の頃、あなたに叩き込まれた記憶が今更ながらよみがえりました。弐係時代のご恩、お返しします。」馬場サーン、あなた弐係にいたんですか!
坂道を上っていく猪俣と鹿浜
テロップ 全力 デカ
ナレーション「レッツゴー。円通寺坂。またこれも、バカデカに味わい深いさ…」
【街中】
瀬文から当麻に電話
瀬文「これが最後の電話だ。よく聞いてくれ」
当麻「何すか。その古い月9くさいセリフ回し」
瀬文「俺はこれから姿を消す。志村を殺した奴ら、そして、お前の腕を奪ったにのまえと決着を付ける」
当麻「勝手に一人でカッコ付けないでください」
瀬文「お前には死なれたくない。俺は許されざる人間だ。陽の当たる場所で生きてくつもりはない」
当麻「瀬文さんは軍人のくせに嘘つきですな。私たち約束しましたよね。『何かあったら連絡しろ。すぐ駆けつける』私、あなたのこと信じてたのに」
瀬文「お前の知ってる瀬文という男はもう存在しない。お前は…お前はたった一つの光だ。何があっても生きろ」
当麻「…」
瀬文「以上だ」
【庭園】
瀬文、携帯電話のSIMカードを捨てて、別のSIMカードに差し替える。
津田から電話。
津田「私用電話は禁止だよー」
津田が現れる。
瀬文「はっ」
津田「にのまえの隠れ家が分かった。急襲する」
【バスの中】
アグレスの一人の東野幸治郎、ヘッドセットを見て「どっちが前だ?」
瀬文「にのまえの隠れ家が、よく発見できましたね」
津田「向こうからのリークだよ」
瀬文「向こう?にのまえの味方からですか?」
津田「権力闘争なのかよく分からんが、突出した能力が邪魔になったんだろうな。お気の毒」
津田「にのまえの寝込みを襲う。にのまえに関しては生死は問わない。てか、生きてては捕まらんだろう。その辺はためらうな。母の二三も一緒にいるはずだ」
東野「ははのふみ。ははのふみ。はっぱふみふみ」
津田「集中。母の二三に罪はないが、この際やむなしと判断する」
アグレス達「はっ」
瀬文「民間人を殺すということですか?」
津田「命令は以上。質問は受け付けない」
【にのまえのいるマンション】
クッションに座って眠っているにのまえ
手榴弾を置くアグレス達
にのまえが目を覚ます。
東野幸治郎が奇妙な息を吐きかけると、にのまえの動きが止まる。
にのまえを押し倒すアグレス
瀬文「SPEC」
台所の方から二三がやってくる。
二三「どうしたの」
にのまえ「母さん」
瀬文「ひっこんでろ」二三を押し戻す
アグレス「撤収!」
にのまえのマンションが爆発する。
【バスの中】
津田「ご苦労だった。無事なのは二人だけか」
瀬文と、アグレスの一人(SPEC使いではない)だけが生き残っている
アグレス「はっ」
津田「仕方ない。必要な犠牲だ」
アグレス「作戦は、成功したのでしょうか」
津田「今回の作戦は見ての通り、SPECを持った奴らとの合同の作戦だった。これで倒せてなければ、お手上げだ」
にのまえ「僕は生きてるよ」バスに乗っていたにのまえ。
だるまがふたつ、津田の乗っていた場所と、アグレスの乗っていた場所においてある。
瀬文「殺したのか?」
にのまえ「ああ、僕を怒らせてしまったからね。アグレッサー達は全員殺した。金太郎飴みたいな津田たちも一人残らず殺したよ。あんたは母さんを助けようとしてくれたから今回だけは見逃してやる」
にのまえ「ただし、次おんなじことをしたらこうだ」
瀬文の顔に十字にキリトリセンが書いてある。
にのまえ「その顔のキリトリセンに沿って頭部を切る。スイカみたいにね」
【会議室】
中国人「逃した?」(中国語)
男A「厄介なことになったな」
中国人「赤い線が!(中国語)」
男Aの左隣の会議メンバーは植田博樹P
にのまえ「警告したろ?」
男の後ろからにのまえが現れる
会議メンバーを男Aを残して殺すにのまえ
にのまえ「教えといてやるよ。僕の名は、」
モニターに血で一十一と書くにのまえ。
にのまえ「この世界の、キングだ」
【管幹事長室】
管「何がキングだ。そんな馬鹿げた話、日本国民が信じるか。わしは、テロには屈しないぞ」
上野秘書「顔に、切り取り線が」
管幹事長の前に現れるにのまえ
にのまえ「まいった?」
管「まいりました。ごめんなさい。」
土下座する管幹事長
にのまえ「約束しろ、二度と母さんと僕に逆らうな」
その場にいた全員の顔に切り取り線が書かれている。
「フハハハハ」笑いながらテーブルを揺すって幹事長を押し付けるにのまえ。
【ニュース記事(WAYOO JAPAN!ニュース)】
世界で珍事 奇病か?オパマ大統領やキムジョンマル氏の顔に、
スピーチ中 赤い線が浮かぶ!!
24日アメリカのゲスティーバーグで演説を行なうオパマ大統領の顔に突然赤い線が浮かび上がった。発疹等ではなく、人工的に描かれたかのような線で、日本語のカタカナで「キリトリセン」と書かれているようにも見え、議論を呼んでいる。23日に平壌市で演説を行なっていたキムジョンマル氏にも同様の症状があらわれており、世界の要人におこったこの珍事は一体なんなのか?奇病か、それとも何かのいたずらか?調査が進められている。
左 11月24日ゲスティーバーグにて演説を行なうオパマ大統領
右 11月23日平壌市で演説を行なうキムジョンマル氏
二人とも似ていない(笑)
【未詳】
炭火焼で焼き肉を食べている当麻
野々村に内線電話
野々村「はい未詳。あ、これはこれは、大変ご無沙汰申し上げております。…………御意」
電話を切る野々村。
当麻「ギョイ?」
野々村「上の、上の、そのまた上からの命令だ。『にのまえを逮捕せよ。生死は問わん。この件に関しては、超法規的措置をとる』という」
当麻「要するに、どんな手を使ってもにのまえを殺せと」
野々村「そのようだな」
当麻「ですけど、一応未成年ですよ。法律を超えて警察が堂々と人を殺していいというのはいかがなもんですかね」
野々村「まあまあ、最後まで聞きなさいよ」
野々村「上からの命令は確かに私が受けた。しかし私は君にそんな命令はしない。にのまえは今敵も味方も逆らうやつは片っ端から虐殺している。しかし彼は快楽殺人者ではない。殺人は正当化されるべきではないが、彼なりの理由があるのかもしれない。ただきみがその目で、にのまえがまぎれもなく危険な犯罪者だと判断したその時には刑事としてしかるべき措置をとってもらいたい。頼んだよ」焼けていく肉と、煙越しの、当麻の顔と、野々村の顔が交互に映る。
当麻「しかしどうやってあのにのまえをどうにかしろっていうんですか」
野々村「そこはほら、僕に分かるわけないじゃん。タハハハハッ」
当麻「タハハハハじゃねえ」
【お台場】
自由の女神像の前でポーズを取る野々村
雅がやってくる。「こおっち」
雅「きれいな球体だね。(フジテレビのビルが映る)どしたの?」
野々村「いや…実は弁護士をやっている妻から君を訴える書類を預かっていてね」
雅「えっなんで私が訴えられんの?」
野々村「法律によれば、奥さんは愛人に慰謝料を請求する権利があるらしいんだ。中、見る?」
雅「ふざけないでよ!」野々村をひっぱたく雅
雅「こおっちのばか。別にあんたとなんてつき合ってないんだからね」去っていく雅
野々村「おおー痛ーなんと不幸かな」
にのまえがあらわれる。
にのまえ「雅ちゃんを巻き込みたくないって言うあんたの気持ちはすてきだね」
野々村「君が、にのまえか」
にのまえ「…」
野々村「雅ちゃんには手を出すな。あと、妻の雅と、その子、保谷にいる弟の家、あと、30歳になる姪がシアトルにいて…」
にのまえ「安心しなよ。僕は野々村さんを信じてるよ。割とね」
野々村「にのまえ君。おとなしく罪を償う気はないかね」
にのまえ「罪?僕に逆らうことこそ反逆罪だよ。だって僕はキングなんだもん」
野々村「そうか」
拳銃を向ける野々村
にのまえ「やめときな。勝てっこない」
野々村「勝てるかどうか問題じゃない。負けると分かっていても、心臓が息の根を止めるまでひた走る、それが刑事だ野々村さんかっこよすぎる!
にのまえ「無理しちゃって」
ナイフを取り出すにのまえ。
血を吹いて倒れる野々村。
【未詳】
ハチミツを飲んで考える当麻「わからん」
届け物が来る。
業者「DHSインナハウス ドスコイひっこしシャトルだぜ、ドスコイおとどけものだっぜー」
当麻「中身なんすか」
業者「洋服ダダダダンスーってここにかいてありありありますーイエイ毎度」
届け先の住所は「100-8929 千代田区霞が関2-1-1 警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係」電話番号が03(919)1022と存在しない電話番号になっている。
帰っていく業者
業者「ドスコイドスコイ帰りましょ、ハンコもらってねえ…」
当麻「洋服ダンスって…なんで」
中からうめき声。開けると血だらけの野々村
当麻「係長」
ナイフが落ちる。
野々村「だいじょうブイだ」
当麻「にのまえですか」
うなずく。そして、倒れ込む野々村。
【手術室】
手術を受ける野々村
当麻「係長…行ってきます」
【当麻の家】
仏壇の前で線香に息を吹きかける当麻
葉子「線香吹かない」
仏壇に手を合わせる当麻
葉子「嫁入り前の娘が毎日朝帰りなんてみっともない」
鐘を指で止める当麻
葉子「鐘止めない」
当麻「ごめんねおばあさま」
葉子「どうしたの。今日はやけに素直じゃない?」
当麻「じゃ行ってきます」
葉子「えっまた行くの」
当麻「うん。着替え取りに来ただけだから」
葉子「着替えなんてする子じゃないのに」
【坂道】
上っていく当麻。
猫にえさをやっている子ども。
【回想】
当麻「陽太、ノラ猫にえさあげるとまた母さんにしかられるよ」
陽太「うっせえさかなちゃん」
当麻「ぶっころす」
陽太に近づいていって頭をぐしゃぐしゃにする当麻。
猫に引っかかれる陽太。
当麻「ほーらバチが当たったほっぺた引っかかれてやんの。え、何これ首に変なアザ」
陽太の首に星形のアザ。
当麻「きも!きもきも!やんのかコラ!」
【志村の家】
当麻が訪れる
美鈴「何?」
当麻「これ、野々村係長がにのまえという少年にやられた時のナイフ」
野々村が刺されたナイフを美鈴に見せる。
美鈴「で?」
当麻「あなたのサイコメトリングでにのまえの隠れ家を探してほしい」
美鈴「もうあたしにはその能力はない。兄が死んで、消えてしまった」
当麻「ダメ元でいいから頼む」
美鈴「無理よ」
当麻「ほんとはまだ見えるんでしょ」
美鈴「もう使いたくない」
当麻「にのまえを止めたいの」
美鈴「いい加減にして」
当麻「あなたにしか出来ないことなの」
土下座する当麻。
当麻「お願い」
当麻「私は仲間を救いたい。もうこれ以上犠牲を出したくないのよ。死の連鎖は私が止める」
美鈴「あなたに出来るの」
当麻「私を信じて」
サイコメトリングする美鈴
美鈴「マリンタワーが見えたから、その近くだと思う。横浜」
絵を描く美鈴。
【だるま部屋】
ウチも壊滅したな、と瀬文ににのまえの引っ越し先のメモを渡す零課の生き残り
【にのまえの引っ越し先】
にのまえ「やっぱたこ焼き鍋は最高だね」
二三「そう?何度食べてもこの良さが分からないわ」
にのまえ「僕が息子で良かった?」
二三「…何言ってんの?」
にのまえ「僕、母さんと出会えてよかった」
首を傾げる二三。
後ろからコートの男の影
男に頭を平手で押さえられる二三。目を閉じる
にのまえ「ありがとう。今まで」
男「完全に記憶を消しますか」
にのまえ「完全に消してくれ。僕と出会う前のように。僕のことを少しでも覚えているとこの後も狙われる」
さらに頭を押さえつけられる二三
にのまえ「記憶を消したら顔も変えて、どこかで必ず生き延びさしてくれ」
男「分かりました」
にのまえ「母さん、元気で」
【未詳】
書道「ニノマエ」「爆弾」「銃」「電気ビリビリ」「相対性」「時間」「双子のパラドックス」「速度」「打倒ニノマエ」
にのまえ「いただきました。瀬文さん、野々村係長、お世話になりました」
敬礼する当麻
捜査一課の三人が入ってくる(息切れ)
当麻「何すか」
馬場「野々村係長の件、聞いたよ」
当麻「何か関係あるんすか」
馬場「我々に手伝えることがないだろうかと思って」
鹿浜「新人だった頃に野々村さんによくミスをかばってもらってね」
猪俣「わしらに出来ることはないじゃろうか?」
当麻「非合法なことでよければありますよ。にのまえを倒す唯一の方法」(字幕では「逮捕する」となっているのだが、台詞は「倒す」と聞こえる→DVDでは直っている)
【横浜】
歩いていく瀬文。携帯着信。
にのまえ「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
後ろににのまえ。
瀬文「鬼はどっちだ?」
にのまえ「いいねその眼」
にのまえ「ハッハッハッハッ」飛び跳ねるにのまえ
その現場に向かっていく当麻
にのまえに刺される瀬文
にのまえのいる方に発砲するが、にのまえは消えている
瀬文「チクショー」
銃を奪われる。瀬文に銃を向けるにのまえ
にのまえ「SIT出身って大したことないね。ウケる」
雪が降ってくる。
にのまえ「雪だ」
当麻「もらった」銃を撃つが、外して、「チッ」
「イテテ」当麻のキャリーバッグにつまづいているにのまえ
並んでにのまえに発砲する当麻と瀬文。
時間を止めるにのまえ。
弾を払い落としていく。
にのまえ「結局君も馬鹿だよな。厳密に言うと僕は時間を止めてるんじゃない。君の世界と僕の世界の時間の流れは違うんだよ。いくら隙をつこうとしても、君たちの動きはスローモーションなんだよ。雪が止まってる。きれいだなー」
ナイフを構えるにのまえ
にのまえ「君に見せてやりたいけど…めんどくさいから殺す」ナイフを当麻に向ける。
当麻の口元がにやりとする。飛び退くにのまえ。
にのまえ「動いた。まさか…」

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