あまりにも細かいことではあるのだが、『SPEC 零』の時、『ケイゾク』の柴田純の役職が何だったのかを、考察していた。
これは、映像を見てもはっきりとはせず、各種解説本によっても分かれているので難儀ではあった。
いろいろと考察していたところだが、植田プロデューサーから公安部長であるという回答が示されたので、この件はクローズした。
まず、どう言う説があるかと言うと、警視庁公安部長説、そしてもう一つが、警視庁公安部参事官(あるいは参事官兼公安第五課長)説であった。
現実に、それぞれどういう役職なのかというと、公安警察を担当する警視庁公安部のトップが警視庁公安部長であり、階級は警視監。参事官は、いわば「副部長」の役割であり、階級は警視長か警視正である。
物の本によると、キャリア警察官が警視監になれるのは、49歳〜50歳なので、『SPEC 零』当時34歳の柴田純は、異例の高出世。警視長が、40〜41歳なので、これまた高出世。警視正は33〜34歳なので、普通、といったところ。
さて、『SPEC 零』は、1年後を描いたTVシリーズが先行したいわば後付けのドラマなので、設定本から順番に追っていく。
・一番最初に『SPEC 零』(にあたる時期)における柴田の役職が示されたのが、書籍『SPEC公式解体新書』(2011.3.23初版)。P.15に警視庁参事官、階級は警視正の「S氏」の記載がある。もちろん「Sは柴田とは限らないよ」というツッコミもあろう。
・また、ゲーム『SPEC〜干〜』(2013.10.3発売)でも、柴田を思わせる「警視正」なる人物が登場するらしい。
・公式サイトのSPEC観察メモ(2013年10月23日ごろ更新)には、「柴田公安部長」という説明がある。
・書籍『SPEC 全記録集』(2013.12.20初版)では、P.234に公安部特務事項担当S氏(役職は参事官、階級は警視正)が公安第五課の課長を兼任している。この公安第五課云々の記載は、私の妄想によって付け加えられたものであるため、あまりあてにはならない。
・書籍『ケイゾク、SPEC、カイドク』(2014.7.30初版)P.132に「公安部長である柴田の部屋に」という記述がある。「公安部長室」は柴田の部屋だったのか?この後詳しく読み取っていきたい。
・もちろん、ここまでで書いてきた「S氏」が柴田純のことであるという確証はないが。
さて、ここで箸休めに、『SPEC 壬の回』における「公安部長」と思われる人物の発言を紹介しておく。
野々村「上の、上の、そのまた上からの命令だ。『にのまえを逮捕せよ。生死は問わん。この件に関しては、超法規的措置をとる』という」
上(秋元課長代理、『SPEC公式事件ファイル』の「秋元才三」の項に、野々村が「上」と呼んでいる人物と思われる、とある。)の、上(課長)の、そのまた「上」(公安部長)からの命令ということ。野々村が、「大変ご無沙汰申し上げております」と言っているが、柴田と野々村はこの前の回、『SPEC 辛の回』において野々村が、
野々村「昔弐係でいっしょに働いた東大出身の女刑事がいてね、いまや結構えらくなっちゃってんだけど、この前こそっと、資料くれたんだ」
と言っているので、大変ご無沙汰、ということはないだろう。
公安部長とは、未詳の係長になった時に出会った時以来、となるとまぁご無沙汰ではある。
果たして、ニノマエを殺せと命じた「偉い人」は、誰になるのだろう。
「上の、上の、そのまた上」が「上(課長)の、上(部長)の、そのまた上(警視総監)」と解することもできるのかもしれない。
さて、この考察はあまり意味がなかったようだ。
気を取り直して、『SPEC 零』で公安部長でどのようなやりとりが交わされたのかを想起してみよう。
野々村が出てくる「おほっ、おう」
近藤「野々村元係長待遇」
野々村「ああ」
近藤「今日は?」
野々村「ええ、お偉いさんに突然呼ばれてさ、やれやれだよ」
近藤「未詳ですね。野々村元係長待遇にしか勤まらない仕事だと、僕も思います。柴田くんも考え抜いての人選ですよ」
野々村は、「お偉いさん」と呼んでいるが、近藤は「柴田くん」と呼んでいる。「お偉いさん」と「柴田くん」が同一人物である必然性はないし、野々村は柴田のことを別の場面では「柴田くん」と呼んでいるので、近藤に対して柴田のことを「お偉いさん」と呼ぶ必要はないと考える。
去っていく野々村に敬礼する近藤
近藤「こんどうこそ入ります」扉を開けると、何やら見たことのある襟に飾りのついた茶色のマフラーと、長いマフラー。
近藤「あ、また床に寝ておられ」
その後、このような場面があるので、公安部長である柴田が公安部長室で寝ている、と考えるのが自然な考えである。
しかし、『ケイゾク』を見ている方ならよくご存知と思うが、柴田は変人なので、どんなところで寝るか分かったものではない。公安部参事官といった地位でありながら、公安部長室で寝ると言った常軌を逸する行為をしないとは言い切れないのではないか(回りくどい表現で申し訳ない)。