第5話は、しつこいようだが「第伍話」である。
(早送り音声でなにやら)
ナレーション「このドラマは、警視庁15階にある、通称『足抜けコール』で活躍する人間たちの、物語である」
四年前
野口隆「本当に、ありがとうございました」
野口大輝「よかったな、印刷会社なら親父の経験いかせるもんな」
隆「偉そうに、誰のおかげだと思ってるんだ」
大輝「誰って…バクちゃんだろ」
隆「だから、タガミツさんと言いなさい」
少年係時代の麦秋、グレーのスーツ、パンツルック。髪を分けて、もちろん両目も出して、髪は後で止めている。
麦秋「だからタガミツじゃなくてナガミツです」
隆「ああ、す、すいません」
麦秋「いいんですよ、バクちゃんで」
笑う隆と大輝
麦秋「お父さんが頑張って仕事を探し続けた結果です。あとは不良仲間から抜ける決意をした大輝クンのおかげかな」
…
隆「私のせいなんです。リストラのショックで働けなくなった私の…だから、こいつは私を憎んでたびたびそれで警察の厄介なんかに…」
大輝「もういいよ。もういいから」
麦秋「そうね。お父さんを恨むのはもうおしまい」お守りを渡す
大輝「むぎ…」
隆「麦踏(むぎふみ)神社。それぐらいも読めないのか」
麦秋「麦ってね、踏まれて踏まれて強くなるんだって。てことは、大輝クンはあと、強くなるだけだね。ここからまた、大輝クンの人生が始まるんだよ。エイ」と大輝の腕を叩く麦秋
現在
汚部屋に寝転んでいる大輝
(携帯着信)手探りして携帯を取る大輝
大輝「はい。ああ、お世話になってます。あっ、じゃあ、この前と同じ10個。えっ?な、なんでそんな急に高く?そんだと8万以上で売んないと…」
大輝の祖父、清が見ている。
三ヶ島ナレーション「あかん、もうあかん、限界や。こんなヤクザな生活、そろそろやめなあかん」
「麦踏神社」のお守り。
三ヶ島N「やめさせなあかん」
大輝、お守りを手に取り、窓から投げ捨てる。
三ヶ島N「そんな足抜け希望者とその家族をサポートしてるんが、全国の都道府県にある…」
見ている清
足抜けコール
三ヶ島N「『暴力団離脱者相談電話』や」
テーブルに舟盛りが置いてある。
佐野、衝立の向うでなにやらチューチュー鳴く動物と格闘している。「これ、ムルキンチョ!お静かに!ムルキンチョ、静かに、これ!」
外線電話がかかってくる。
三ヶ島、石山、東条「バクちゃーん」
佐野「ムルキンチョ!」
カーテンを開けて資料室から麦秋が出てくる。
三ヶ島N「暴力団離脱者相談電話、通称…」
麦秋「はい、足抜けコール」
三ヶ島N「と呼ばれとる」
東条「バクちゃん、足抜けコール?」
麦秋、スピーカーに切り替え
清の声「どこに相談したらよいか、迷っておりました」
三ヶ島「なんや、おじいやんか」
佐野、衝立の向うから包丁を持って顔を出し「また組長様なんぞの足抜けでございましょうか?逃げた!」ネズミのような「生き物、ムルキンチョ(仮)」、逃げ出す。
麦秋「足抜けするのは、お孫さん、でよろしいですね」
清の声「はい、お願いいたします」
麦秋「足抜けする本人はまだ、未成年だそうです」
佐野「味なんていらねえよ、夏」
【タイトルバック】
三ヶ島「19歳、ギリ未成年やな」
清「孫のダイキといいます」自席でタブレットをいじっている麦秋。ノートPCで入力している東条。
東条「怠惰の怠に息でダイキ?」
石山「これじゃタイイキでしょ」
清「大きく輝くで大輝です」
顔を上げる麦秋。その様子に気づく佐野。
…
清「大輝がそうなりましたのも大輝の父親つまり私の息子のせいなんです」
清「去年まで印刷会社に勤めていた隆は数年前から業会のゴルフコンペに参加しておりました。でも昨年、その中に暴力団系の業者(コンペの参加者に黒い目線が入る)がいたことが分かったんです。そのため、隆がいた会社は利益供与したということで警察に公表されました」タブレットで情報を調べる麦秋
東京都広報(第壱話の時スタイルは同じ)
平成26年5月21日水曜日 号外
公安委員会告示
◯暴力団排除条例に基づく勧告に従わなかったものの公表…1
公安委員会告示
東京都公安委員会告示第128号
暴力団排除条例(平成23年東京都条例35条)第24条並びに第25条の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わなかったので、同条例第29条第1項第2号の規定により、次のとおり公示する。
平成26年5月21日
東京都公安委員会
委員長 日田 陸雄
1 勧告に従わなかった法人の名称
ふすま商事 株式会社(ふすまってなんだよ!)
2 代表者の氏名
伏馬 亘
3主たる事務所の所在地
東京都文京区白山3丁目7番51号
4 公表の原因となる事実
ふすま商事 株式会社は、その業務に関する紛争の解決又は鎮圧の対象として、指定暴力団九瀬組の暴力団員に対し、現金60万円の財産上の利益を供与したことにより、暴力団排除条例第24条の規定による勧告を受けた者であるが、当該勧告に従わず、平成25年4月10日頃から平成26年5月7日頃までの間、指定暴力団九瀬組の暴力団員に対し、現金120万円の財産上の利益を供与したもの
1 勧告に従わなかった法人の名称
マダラメ印刷 株式会社
2 代表者の氏名
斑目 重友(堤監督作品のファンならお馴染みの名前)
3主たる事務所の所在地
東京都中央区新富1丁目16番68号
4 公表の原因となる事実
マダラメ印刷 株式会社は、平成25年7月17日、その業務に関する紛争の解決又は鎮圧の対象として、指定暴力団神室會の暴力団員に対し、接待及び現金70万円の財産上の利益を供与したことにより、暴力団排除条例第24条の規定による勧告を受けた者であるが、当該勧告に従わず、平成25年7月31日頃から平成26年5月14日頃までの間、指定暴力団神室會の暴力団員に対し、現金240万円の財産上の利益を供与したもの
清「それからすぐです。隆がいた印刷会社が潰れたんです」
佐野「お客様からのご信用を失った上、銀行様からのご融資も引き上げられてしまったのでございましょうね」
三ヶ島が石山と東条を見ると…
三ヶ島「なにフリーズしとんねん」
佐野「あっ」
三ヶ島「なんや?どないした?」
麦秋「続けてください」
清「隆の会社が倒産して、私も息子の隆も体を壊して働けなくなりました」
…
清「とうとう女房にも逃げられて」
三ヶ島の回想
三ヶ島の妻・由香が歩いていると、暴力団風の男に声をかけられる「お子様元気にしてらっしゃいますか」
慌てて逃げる由香
三ヶ島「なに描いてんの」
波留「ハート」
由香が駆け込んでくる。
三ヶ島「どないしたんや」
恨めしげな目で三ヶ島を見つめる由香
由香「翔、あなたの世界に娘を巻き込まないで」
三ヶ島「…大輝くんは」
清「大輝は通っていた大学を中退せざるをえなくなり、親子の関係はもう…」
佐野「ちなみにどちら様の暴力団に所属されてらっしゃるのかご存じでいらっしゃいますか」
清「わかりません」
東条「じゃあ何で暴力団にいるってわかるんです?」
大輝「8万以上で売んないと無理です無理です」
佐野「それなりに推定ご可能な出来事がおありになったということでございましょうね」
清「お願いします。孫を、大輝を助けてください。暴力団から抜けさせてやってください」
石山「う〜〜〜〜〜ん」窓際に近づく。
資料室のカーテンの後ろで何かが動く。佐野「あっ、いた」
石山「複雑な事情を言葉にできないまま祖父の清さんは孫の更生を一身に祈るのでありました」
三ヶ島「なんでそこでナレーションやねん?近場でええやん」
…
石山「これは、少年係に任せたほうがいいかな」
三ヶ島「戻るんかい」
東条「そうですね、大賛成」
清「ダメだ!(立ち上がって)少年係はダメだ!ダーッ!」
東条「びっくりした」
清「大輝は昔、補導されたことがあるんだ。そのときの少年係を今でも恨んでるんだ」
立ち上がる麦秋「少年係がダメなら、我々が出張るしかないのでは」
石山「バクちゃん、君がそれを言う?」石山は、麦秋と大輝の過去を知っているようにも思える。逆に言うと、清は、麦秋が大輝を補導した少年係だとは知らないということか
清「お願いします」
東条「ああ、だったらむしろ、組対四課の刑事さんたちにお任せしたほうがいいんじゃないでしょうか」
麦秋「わかりました。四課の刑事にも協力してもらいます」
石山「協力ってウチが主導することになっちゃってる?」
麦秋「まずは、野口大輝くんのいる暴力団を調べてもらいます」
石山「バクちゃん!(三ヶ島に)追って!嫌な予感しかしない」これ、もう石山室長の決まり文句だね」
三ヶ島「OKや、待てい」
警視庁廊下
喫煙所に貼り紙が貼ってある「故障中 喫煙所は地下21.5階にあります(元未詳)」
三ヶ島「おおぅ、ちょいちょいちょい、ちょい、ちょい」麦秋を追いかける三ヶ島
三ヶ島「ちょっと、ちょいお前、変や思わへんかったか?」
麦秋「その髪型なら、あなたに初めて会ったときからずっと変だと思ってました」
三ヶ島「おう、ちゃうわお前。あのじいさんの話聞いてるときの室長と剣と佐野やわ」
麦秋「室長たちの反応は、ごくまっとうでした」
BGM「NAMInoYUKUSAKI」が一瞬流れ、三ヶ島と麦秋の背後を丸坊主の黒スーツ姿、手に袋を持った男が通り過ぎる
三ヶ島「あれがか?」
麦秋「私も、いささか驚きましたから。去年、野口大輝の父親の会社を公表したのは、私です」
三ヶ島「えーっ」
麦秋「さらに、これは室長たちも知らない話ですが、4年前、野口大輝を補導したのは私です」麦秋は室長が知らないと思っているようだが、石山室長は知っているのではないか?
三ヶ島「ふーはーふー」
三ヶ島「お前、確かお前、足抜けコールくる前はお前人事課におったんちゃうんかい?」
麦秋「それは1年だけでその前は所轄の少年係でした」
三ヶ島「お前が?少年係?」
(三ヶ島の携帯着信)
麦秋、着信相手を見て「あなたからの依頼も動き出したようですね」
去っていく麦秋。三ヶ島、室長に麦秋を追うように言われてたんじゃないの?
三ヶ島「チェッカーズや」
三ヶ島、電話をとって「ああ、どうした、俺や。あん?」
足抜けコールでは佐野が「生き物、ムルキンチョ(仮)」を捕まえようと這いずり回っている。
三ヶ島「携帯が摘発された?」
藤田「ヤクの客がついてる携帯だよ。買ったばっかりだったよ」
三ヶ島「お前まだそんなことやってたんか」
藤田「とぼけんな!お前の差し金だろ」
(回想 麦秋と水原・葉月のやり取りを立ち聞きする三ヶ島)
藤田「おかげで今月のノルマは絶望的だい」
三ヶ島「ノルマって、組に渡す上納金か」
藤田「それどころか、女房子供の生活費も全くねえ。ミルクも買えねえ」
三ヶ島「なあ、藤田。もう潮時やろ。ヤクザやめろや。足抜けしてカタギの仕事につけ。俺が…」
話している様子を遠くから撮影する男
石山「えっ?暴力団に所属してなかった?」
麦秋「はい。野口大輝は一応カタギでした」
東条「じゃあ、あのおじいちゃんの勘違いってこと?」
…
石山に写真を渡す麦秋
石山「誰?」
麦秋「佐々木和也。多分、彼が今のリーダーです。薬物、闇金、振り込め詐欺などの犯罪を繰り返す、数人から十数人の集団。いわゆるハングレってやつです」
東条「じゃあ、大輝クンは」
麦秋「そのメンバーを出たり入ったりしています。組織がないってことは、これ(離脱承諾書)がいらない。つまり、本人の意思次第で足抜けできるってことです。」
麦秋「というわけで、行ってきます」
石山「バクちゃん」
佐野、資料室の方にいる「生き物、ムルキンチョ(仮)」に向かって肩たたき棒?を投げる
佐野「いけない〜、子だねぇ〜。」頭の〜、悪い〜、女だねえ〜、みたいなアクセントで?教えていただきましたありがとうございました。
佐野、資料室に入っていって「えっ?えっ?色、変わるの?」
大輝、家から出てくると、麦秋が立っている。
麦秋「お久しぶりです。お元気そうですね」
大輝「裏切り者」
麦秋「去年あなたの父親の会社を摘発したことを言っているのですか。あの会社は暴力団のフロント企業に利益供与していました。だから公表したまでです」いや、神室會の暴力団員に利益供与していたって広報に出てたぞ。
大輝「親父は…親父は一緒にゴルフしてる仲間がヤクザなんて知らなかったんだぞ」
麦秋「知らなかったら罪はないのですか」
佐野「では野口様は全くご存知なかったのでございますか」
隆「ええ。社長には同業者の印刷屋としか聞かされてませんでした。彼らはいつもプレー態度は真面目で、子分を連れてたわけじゃないし、とてもヤクザには見えなかった。そんな人たちと何度かゴルフをしただけで」見えなさそうで見える目線(笑)
隆「警察はウチの会社名を公表してつぶしました」
石山「しかし、野口さんは知らなくても社長さんはヤクザだと知ってたんですよね」
隆「でしょうね。自殺しましたから」
一斉に顔を上げる石山、佐野、東条
隆「会社が潰れてすぐに…」
三人「…」
隆「人生って積み上げるのには一生かかりますが、壊れるのは一瞬です。私も最就職活動中に心身共に壊し、大輝も、大学を辞めてしまい…」
大輝「だからとにかくあんときは金が必要だった。そんな俺を助けてくれたのがヤクザだったんだよ」
麦秋「助けてくれた?シノギの仕方でも教えられましたか?」
大輝「ああ。俺にとってはあんたら警察が悪魔で、ヤクザが神なんだよ」
麦秋「神…」
藤田と大輝が会う。
大輝「探しましたよ。藤田さんのいた九瀬組が摘発されたって聞いてから、それっきり藤田さんいなくなっちゃうし」
藤田「逃げたんだよ。それで今は貴船組で世話になってる」
大輝「てことは、まだ現役っすよね。また俺にシャブ降ろしてくれません?いまある組から直で買ってるんすけどそこ、このまえ警察にシャブごっそりもってかれたみたいで、いますっごい高くて」
藤田「悪いが、貴船組はシャブ御法度だ。だから俺はいま扱えねえのよ」
大輝「そんな…でもまだルートは持ってますよね」
藤田「ないわけじゃねえがな」
大輝「ならヤクザやめて俺みたいにフリーになりません?」
藤田「そう簡単に言うなよ。貴船の親父に杯もらっちまったよ!」
大輝「じゃあ、神室會に話つけてもらいましょうか?」
藤田「神室會?でっかい組じゃねえかよ。なんでお前そんなとこ知ってんだよ」
大輝「俺、いまそこの三次団体にシャブ都合してもらってんすよ。藤田さんならルート持ってるし、その組ならきっと藤田さん欲しいと思うんですよね。神室會が貴船組と貴船組の間取り持ってくれると思うんですよね」
立ち聞きしている麦秋
水千組本部
水田「喜一郎、お前自分がなにを言ってるのかわかってるのか」
藤田「頭にも、橘の親父にも、大変お世話になってます。わかってるつもりです」
水田「やっぱりわかってねえ。橘の親父は親に捨てられたもんを、親を捨てたもんを、どこにも行くあてのねえもんを、自分の子にしてそいつの人生までしょってんだ。杯をもらうというのはそういうことだ。 それをお前、大変世話になった?ふざけるな!」
藤田「すいませんでした」
藤田に写真を投げる水田。三ヶ島と藤田が写っている。
水田「こいつか?このデカに足抜けをそそのかされたか?どんな関係だ?ただのヤクザとデカじゃねえだろ」
藤田「友人です。高校からの友人です」
三ヶ島「その頃柔道部におった藤田の影響で俺も柔道部に入ったんや」
ズロースが5枚干してある。1枚は赤い(笑)
歯磨きをしている麦秋、うがいをしてバケツに水を捨てる
三ヶ島「お前ここで歯磨いとんのかい」
麦秋「それが何か」
三ヶ島「女やろ」
麦秋「私は女を代表しておりません」このセリフも何度か出てくるな。
三ヶ島「おまえは…とにかくおまえ藤田は柔道メッチャ強うてやな、主将にまでなった猛者や」
麦秋「一方あなたは試合にすら出られなかった弱者」
三ヶ島「弱者…」
麦秋「それだけ柔道やってていまに活かされていないということは高校3年と大学4年の計7年、無駄に生きたという結論でよろしいですね?」足抜けコールの部屋の方を「生き物、ムルキンチョ(仮)」が走っている。
三ヶ島「無駄に生きたってなんやねん。俺な要領良かったんや。せやから在学中に二段まで取れたお前な(干していたズロースを赤いズロースだけ残して外していく麦秋)赤いのはいいんかい、赤いのは?」
麦秋「全世界のあらゆる二段に謝罪すべきだと思います」
三ヶ島「お前な」
麦秋「しかし、これでわかりました。あなたが藤田喜一郎の足抜けにこだわった理由が」
三ヶ島「お前に頼んだことちょっと後悔してきたわ」
麦秋「後悔しても遅いです。藤田は野口大輝と一緒に足抜けさせます」
三ヶ島「ちょいちょいちょいちょい、お前大輝くんは関係ないやろ」
藤田と野口が会っている写真を三ヶ島に見せる麦秋「藤田喜一郎と野口大輝、二人はつながっていました」
三ヶ島「何やて!」
水田が橘に報告している。
水田「喜一郎が…マル暴のデカとつながってました。どうもまた、足抜けを勧められてるようです」
三ヶ島と藤田が会っている写真を見る橘
フラッシュ 麦秋の顔
麦秋、寝る準備をしている
三ヶ島「藤田とつながってた、ちゅうことはもしかして大輝くんシャブやってんちゃうやろな」
麦秋「使用してるというよりは、売買してる感じです」
三ヶ島「売買!おいそれやめさせな。絶対やめさせなあかんわ」
麦秋「そのつもりです。ただし、死ぬほど反省させてから」逆さまじゃね?麦秋(笑)
三ヶ島「死ぬほど反省っておま…」
麦秋「電話番お願いします。おやすみなさい」だから、逆さまじゃね?(笑)
三ヶ島「ちょ、待て、待て、お前、昔はこんな風に笑えてんの」大輝と並んで笑う麦秋の写真を見せる三ヶ島。それを払いのける麦秋
三ヶ島「昼間お前が少年係やってた所轄に行ってきた。あー、あの明るく元気なバクチャンは元気ですか、みーんなそうやって言っとったわ。写真もいっぱいもうたで。いろいろ更生させたんやの」すだれのように更生させた少年少女とのツーショット写真が現れる。「それがいまのお前のネットワークかい」写真を払いのける麦秋。寝床から這い出してくる。
三ヶ島「で3年前、お前は人事に異動になった。そこで1年過ごしたあとここに来たお前は」麩菓子を取り出して食べ始める麦秋
三ヶ島「大輝くんの父親の会社を公表して親子をを地獄に落としたんや」
麦秋「相手が誰であれ、暴力団に利益供与するカタギは、絶対許しません。それが私です」
三ヶ島「なんでそんな風になったんや。3年前なにがあったんや、お前の親父が死んだ3年前や」
三ヶ島に背を向け、奥へ躙るようにして進んでいく麦秋
大輝「わかりました。すぐにその組に連絡して藤田さんのこと言っときます。ただ、紹介する条件っていっちゃ何なんですけど、藤田さんが今手に入るシャブ安い値段で譲ってもらえません」
藤田「わかった。今俺が持ってるの全部、お前の言い値で売ってやる」
大輝「マジすか」
大輝の家で待ち伏せしてる三ヶ島
藤田と三ヶ島が会っている写真を取り出して「いつも藤田とはここでおうてんのかい?藤田とはいつからや?」
大輝、無視して歩いていこうとする。
三ヶ島「シャブ」立ち止まる大輝
三ヶ島「もう藤田から手に入れたんかい」
大輝「なんの話だよ」
三ヶ島、大輝の体を探る「防犯のための身体検査や。ご協力を…」
と、大輝の肩がはだける。
三ヶ島「おう、お前何や、お前刺青いれてんのかい。うぉぉぉ!スカルとヘビや」
大輝「だったらなんだよ!これは、腹くくった証だよ。去年警察に親父の会社がつぶされたときに藤田さんに助けてもらって、俺はヤクザとして生きていくって腹くくったんだよ!」
三ヶ島「笑わすな。なにが腹くくったや」
大輝「あん!」
三ヶ島「自分の不甲斐なさ親父のせいにして、カタギでおることやめてせやからいうてヤクザにもなれんと、中途半端なハングレのくせに何が腹くくったや!おう!」
陰で見ている麦秋
清「で、孫の大輝の方はなんとかなりそうでしょうか」
麦秋「私を呼びつけて虫のいいお願い事ですか」
清「呼びつけてって、息子は体調が悪くて、すいません」
隆「何ですかその顔は、私の体調だって、大輝だって、もともと全部あんたのせいじゃないか。室長さんに全部聞いたよ」
麦秋「そうやって自分の人生を他人頼りにし、他人のせいにして生きていく、親子揃って救いようのない馬鹿ですね」
清「待って、お待ちください」土下座する清「私達もなんでもします。大輝を救ってください」
隆「父さん」
清「お前も頼め、自分の息子のことだろ」
土下座する隆「なんでもします、どんなことでも。大輝を助けてください。お願いします」
麦秋「まずは金ですかね。それもたくさん」
(佐々木和也の携帯に着信)
和也「おう、大輝、金?」
大輝「はい。破格の値段でシャブが手に入るんです」
和也「いくら必要なんだ」
大輝「できれば300万」
和也「300万?きのううち給料日だったの知ってんだろ。いままとまった金ねえよ」
女「和也さん、電話詐欺のテレアポの連中からです。300万の受け渡し成立したとか」
和也「おっ。ナイスタイミング。大輝、掛け直す」
女の電話を取って「俺だ。相手は?じじいだな。孫の名前は?ともゆきだな?」
バス停
男「あの〜、ともゆき君の友人の者です。書類持ってきてもらえましたか?」
清「書類?ああ」封筒を男に渡す清
清「あの〜、これで孫は助かるんですよね」
男「はい、これがあれば向こうも手を引くと言ってくれています。ですからおじいさんもこのことは誰にも言わず信じて待っていてください」遠くから見ている麦秋と隆
封筒から金を取り出す和也
和也「300万」
大輝「倍にして返します」
金を藤田に渡す大輝
藤田「よーし、じゃもってけ」
「北海道特産 クリオネカレー」の箱を渡す藤田
大輝「カレーって」箱を開けると、中身はシャブ
藤田「まあ安く売っても1000万にはなる。で、あっちの方は?」
大輝「藤田さんのこと話したらいつでも来て欲しいって言ってました」
金を持って神鳥會系『荏原組』組長、神鳥尊晴に会いに行く藤田
藤田「それで、こちらを」300万円を渡す藤田
神鳥「何や、この金は?」
藤田「貴船組に話をつけてもらうためには、この程度は必要かと」
神鳥「なるほど、貴船組からウチへ移るための、まあ、手間賃って奴かのう」
藤田「神鳥組長、よろしくお願いします」
神鳥「うん」
そこに麦秋と三ヶ島が来る
藤田「翔」
「おいコラ」と突っかかってくる組員を払いのける麦秋
麦秋「驚きました。まさかこのお金をここに持ってくるとは」
組員「何なんだおめえら」
三ヶ島「せやから、これや」警察手帳を出す三ヶ島
麦秋「というわけで、一枚拝借いたします」
麦秋、タブレット端末を取り出し、「こちらをごらんください」というも、タブレットが動かず、コンセントを拝借して充電
三ヶ島「充電かよ」
タブレット端末の画面に映った紙幣の画像を見せる麦秋「同じ番号、つまり同じ紙幣ということです」
神鳥「ど、どういうことや?」
麦秋「この300万円の札束は、すべて番号が記録してあるということ」流れ作業で札束の写真をとる石山東条佐野
三ヶ島「シャブの取引に使われた金やからな」
麦秋「『母さん助けた詐欺』に使われたお金でもあります」
三ヶ島「今回は『じいちゃん助けて詐欺』やったけどな」
神鳥「あららら」
藤田「まさか、おとり捜査なのか」
麦秋「私が協力者の大輝くんに流してもらいました」
藤田「大輝って…協力者?」
昔の麦秋と大輝の写真を見せる麦秋「私と大輝クン、ずっと前から大の仲良しなんですよ。そんなことも知らなかったんですか?」バクちゃん、大ボラ吹き。
藤田「あのガキ!」
麦秋「というわけで、この300万円は覚せい剤の売買と詐欺に使われた証拠品です。それを彼(藤田)から受け取ったってことは組長さん、あなたも二つの犯罪に関わってるんですね」
神鳥「うー違う、こいつはまだウチの組の人間じゃねえ。
麦秋「では、彼(藤田)はまだ関東貴船組の構成員」
神鳥「そうや、そうや、なあ!」
組員「うっす、うっす」
麦秋「そうですか。よかった」
藤田の手を取り引っ張っていく三ヶ島「証拠がある以上、警察には来てもらうで。覚せい剤取締法違反と、詐欺の容疑や」
麦秋「トウッ!」と藤田の手を取っている三ヶ島の手をチョップする。
藤田、逃げる。
追いかけようとする三ヶ島に、麦秋「あー、キック」と三ヶ島の背中を飛び蹴りする。見えるが、「キラーン⭐️」効果音はない(笑)
麦秋「残念ながら、逃げられてしまいましたね」
三ヶ島「どう見てもお前が逃したんやろが何キックしとんのおれショッカーちゃうぞア…」
麦秋「全ては予定通り」未来は絶対なのです、なんつって。
三ヶ島「藤田…大輝クンや。危ない、あかんわ、うぉーっ、藤田!」追いかける三ヶ島。
営業停止のボウリング場
藤田、麦秋との写真を見せ、大輝をぶちのめす。「このガキ、俺のことを騙しやがったな。この野郎。この野郎」
三ヶ島「藤田!やめろや藤田!」
藤田、大輝に乗りかかって「おれがお前に何したよ。人の恩忘れて、仇で返しやがって」
三ヶ島「やめろやもう」藤田を止めにかかるが、一本背負いを決められる。
麦秋「藤田喜一郎、暴行傷害の現行犯で逮捕いたします」
佐野が走ってくる「さ、さ、こちらに、こちらにランナウェイでございます」
藤田「どけ」と麦秋の頭を叩く。
麦秋「よかったです。先に手を出していただけて。公務執行妨害も加わりました」
藤田「ざけんな」麦秋を一本背負いするも、麦秋見事に着地
麦秋が藤田を振り払うと、藤田が拳銃を取り出す。回し蹴りで拳銃の向きを変える麦秋。今度は「キラーン⭐️」(笑)
隠れていた三ヶ島の近くに弾着
三ヶ島「危ない、ピストルや」
藤田発砲、麦秋側転からのバック転で逃げる。見応えあるなあ。
隠れている(つもり)三ヶ島のリーゼントに弾着
藤田の弾なくなり、「あーチクショー」
麦秋、藤田を投げ倒す。「キラーン⭐️」(笑)
ボウリングのレーンを走って逃げる藤田
別のレーンを走る麦秋がスライディングすると、そこに立っていた板が倒れて、藤田を直撃する。
麦秋、手錠を差し出し「三ヶ島刑事、あなたが逮捕するんです。あなたがこの男に手錠をかけるんです。この男の足抜けは、あなたからの依頼です」
三ヶ島「それがお前のやり口か。お前を信じて更生した少年だけやのうて、俺の友達まで…俺さえもお前は、駒の一つとして動かしとったんかい」
麦秋「ええ、思い通りに動いてくれるいい駒でした。あなたが手錠をかけないなら、私が」
三ヶ島「待てや」麦秋の言葉を聞いて慌てて藤田に手錠をかける
水原「はい、佐々木和也さんは誰かな」
葉月「てわけで、これ逮捕状(被疑事実のところ『別途逮捕状請求書のとおり」って書いてあるじゃねえかよ)。覚醒剤取締法違反と詐欺の容疑ね」
佐々木「はあ?」
水原「はあ?じゃねえよ。二つの犯罪に使われた金にてめえの指紋がついてたんだよ。一巻の終わりだよ」
葉月、手錠を手にして「二巻の始まりは、警察署からになります」
水原「キャー。二巻。山田クン、座布団!」
貴船組
テレビ電話でその様子を見ている麦秋
水原(電話)「おう、俺だ。今佐々木和也を逮捕した」
麦秋「そうですか。では、これは貸しにいたします」
水原「ふざけんなよお前、俺が取ってやった『おフダ』で、貸し借りはチャラだろう」
麦秋「仕方ないですね。わかりました」
麦秋、紙を橘や水田に見せ、「これがその『おフダ』逮捕状です」
藤田喜一郎の逮捕状。被疑事実はやっぱり「別紙逮捕状請求所のとおり」じゃねえかよ。裁判官、里中次郎、って、SPECのSITの里中の親族だったりして(笑)
水田、麦秋から逮捕状を奪って、一枚めくって(芸が細かい)「傷害、詐欺に、覚醒剤取締法違反、銃刀法違反、公務執行妨害」
逮捕状請求書(甲)
平成27年6月4日
東京地方裁判所 里中次郎 裁判官 殿
警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第4課 警部 清水圭介
下記被疑者に対し、 傷害、詐欺、覚せい剤取締法違反、銃刀法違反及び公務執行妨害 被疑事件につき、逮捕状の発付を請求する。
記
1 被疑者
氏名 藤田 喜一郎
年齢 昭和46年11月11日生(43歳)
職業 無職(関東貴船組 構成員)
住居 東京都江東区東陽4丁目11番48号コーポファザーズ103号室
2 7日を超える有効期間を必要とするときは、その期間及び事由
(以下略)
麦秋「ヤクザのシノギのオンパレードです」
水田「て、喜一郎が被疑者じゃねえか!」
麦秋「ええ、関東貴船組の構成員、藤田の逮捕状です。この組を潤わせるために、それだけの罪を犯しました。(麦秋、机を乗り越え、袖に手をやる。組員達、身を乗り出す)よって、彼の使用者責任で、貴船組組長、橘勲、(手錠を取り出し)あなたも逮捕いたします」
橘「まさかお前に逮捕されるとはな」
麦秋「お前ではありません、永光麦秋です」
水田「ふざけんな!逮捕すんなら親父本人の逮捕状をもってこい」
麦秋「使用者責任で十分逮捕できます。どきなさい水田千一!(いきなりドス声でびっくりした)」
三ヶ島が麦秋の手を取る。
三ヶ島「逮捕はさせません。その代わり、こちらに一筆頂戴いたします」と藤田の離脱承諾書を出す
三ヶ島「こちらに一筆いただき、さらに藤田の絶縁状を回してくれれば無理な逮捕は致しません」
麦秋「そんな勝手許しません」
三ヶ島「勝手?いつものお前のやり口やろ。ヤクザをやめさす道を極めた女。ヤメゴクのやりくちやないかい。おう?」
離脱承諾書に署名、押印する橘。
あぶくま整形外科
ベッドに寝ている大輝を、遥と佐野が見ている。
遥が大輝の頬を、ツンツンとやる。
大輝、目を覚まし「おおっ」
佐野「私のこと見えてらっしゃる見えてますよねちょい驚きましたもんね」
遥「よかった、少し二重(にじゅう)に見えたりしませんか」(首を振る大輝)
佐野「よかった。頭痛くはございませんこと?」
遥「よかった。声は出ますか?」
麦秋が入ってくる。(遥に)「いい加減に早く先生を呼んできなさい」
遥「はーい、待ってて」変な走り方で走っていく遥
佐野「…あっ、私も失礼いたしまーす」
大輝「なんで俺がこんな目に」
藤田「あなたをこんな目にあわせたヤクザも、去年あなたを助けてくれた神も、同一人物です」
大輝「なんで藤田さんは俺をこんな目に」
麦秋、麦秋と大輝の昔の写真を見せて「私とあなたはグルだった、私がそういったからです」
大輝「じゃあ、お前のせいで、またお前のせいで」
麦秋「第7肋骨に響きますよ。また私を恨みハングレのままでいますか。あなたが頼りにしていた藤田はとっくに逮捕されました。どうしますか?もう警察にもヤクザにも頼れない」
大輝「なんでおれにこんなひどいことを」
麦秋「それはあなたがヤクザだからです。一般人にはハングレもヤクザも同じです。しかもあなたは、ヤクザに利益供与していた。
章子、遥、佐野が病室の入り口にやってくる。
麦秋「私はヤクザに利益供与する人間を絶対に許しません」
遥「先生?」
章子「同じね。私の時と全く同じ」
佐野「先生、人はみんな過ちを犯すんです。そのことはどうしようもない。でも、(ここから口調が変わる)その過ちを〜得て、その後、その教訓が、どう、生か〜されるか、生き〜直せるかうん、それが、一番大事なことなんではないでしょうか。(口調が戻る)あっ、私としたことがなまなまいきな口を叩いちゃいまして、どうもすいません」佐野を見つめる遥の瞳がキラキラ。
麦秋「過ちを悔いて、もっともっと苦しんでください。あなたがシャブを売ることで、苦しめてきた人たちの分まで、苦しんで苦しんで、そしてあなたは自分の人生が自分のものであることを証明すべきです」
章子「私も、ここで、この病院で人生をやり直せるかしら」
麦秋、章子の問いには答えず「先生、患者さんお願いいたします」
三ヶ島「お前の一本背負い、相変わらずのキレやったわ」
藤田「まさか、お前に逮捕されるとはな」
三ヶ島「おれはデカやからな。じゃあ、こっからは友達としていう。シャバに戻ったら(離脱承諾書を見せる)お前はおれと同じカタギや。親父さんのお墨付きや。おれがもらってきた」
藤田「一体どうやって」
三ヶ島「答えは簡単やお前。さっきから言うとるやんけ。お前の友達やからや。奥さんと娘さんはたまにおれが見といてやるから」
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水原「ほら立て」
三ヶ島「なんやもう逮捕かい」
水原「藤田が急に自白しはじめましてね」
三ヶ島「ほう。ちょ、ミーくん、ミーくん(水原を下がらせ、大輝に)で、罪償うたらどうするつもりや」なんだその呼び方は
大輝「どうするも何も、一人で生きていくよ。もう誰にも頼らず、おれ一人でな」
三ヶ島、「おうおうおうおう、偉そうなことぬかすなおい、散々家族を頼っていてからに」
大輝「あ?おれが家族を頼っただと?」
三ヶ島「サーくん」だからなんなんだその呼び方は
佐野「はっ?ではどうぞ、お入りください」
清と隆が入ってくる。
三ヶ島「お前のために危険なマネしてくれた人たちや。お前を足抜けさせるために囮捜査みたいな危ない橋渡ってくれた、お前の家族や。あの300万も、必死でお前、都合つけたんやで。誰にも頼るな、たった一人で苦しみながらやり直せ、あの女にそう言われたんかい。頼ったってええ。助けてもろてもかめへん」
佐野「さあさあ、それで罪を償った後の仕事でございますが、我々暴追センターで探し始めるつもりでございます」
章子「あっ、それなら、ごめんね、この刺青消したほうが…。彼の刺青ならレーザーでかなりキレイになると思います」
遥「そうそう、この病院の設備すごいんですよ」
章子「結構大きいタトゥーだから時間はかかると思いますが」
三ヶ島「スカルとヘビやからな」
章子「私にやらせてもらえたら、費用の心配は要りません」
遥「先生そういうボランティアやってるから大丈夫ですよ」
三ヶ島「どうする?ここにおるやつみんな、お前を助けたいいうてるぞ」
水原「とりあえず逮捕かな」
三ヶ島「頼ったらええがな」
水原「とりあえず…」
隆「これ…(大輝に『麦踏神社』のお守りを渡す)家の外に落ちてた。大事なお守りだったろ」
お守りを受け取る大輝
もらい泣きする一同
麦秋、屋上で太陽に手を伸ばし、手を握りしめる。
三ヶ島「野口大輝くんの足抜け、成功したで」
麦秋「わかってます」
三ヶ島「なんや、藤田と大輝クンの足抜け、お前の思い通りになったのに愛想ないやないかい」
麦秋「あなたは私の計画を台無しにしました」
三ヶ島「人はなあ、チェスとか将棋の駒ちゃうんやで。なんでも思い通りなる思うたら大間違いや」
麦秋「私は絶対に、橘勲を逮捕します」
三ヶ島「そんなに憎いんか。橘勲が」
麦秋「ええ、憎いです」
三ヶ島「お前の親父さんの死に関係してるからか。もしかしたらお前の親父さん、三年前に橘…去っていく麦秋」三ヶ島と麦秋の背後に、ぷち電波塔。
堤監督が演出ということもあってか、前回、前々回よりも小ネタが多めだった。
「未詳」や丸坊主の男、佐野の渡部篤郎のモノマネもそうだが、麦秋の「キラーン⭐️」もかなり多めだったし、佐野が料理しようとしていた生き物、ムルキンチョ(仮)(飛び跳ねたり、色が変わったりする)、クリオネカレーとか細かいネタがいろいろだった。
今回のアクションも見応えがあった。大島さんの飛び蹴りや、側転、バク転と、スタントありでも凄いと思うが、スタントなしならさらにすごいと思う。
今回、麦秋の経歴が明らかになった。
ドラマのなかの「現在」が2015年ということから遡っていく。
第壱話にも出てきたように、7年前(2008年)、警視庁に採用。
所轄署の少年係に勤務する。
そして、3年前(2012年)に、麦秋の父が死ぬ。
それと前後して、警務部人事課に異動になる。
人事課に1年間在籍後、2013年、組織犯罪対策部の通称「足抜けコール」に移動になるということである。
麦秋の父の死と麦秋が人事課に異動になったのがどちらが先なのかは、かなり重要な問題だが、それは多分、次回に明らかになる、だろう。
麦秋は野口大輝を逮捕したのが自分だというのを、石山室長は知らないと言っていたが、室長は知っているのではないだろうか。
一つは、大輝の祖父・清が大輝の補導について、そのときの少年係を恨んでいると言ったときの石山の、「バクちゃん、君がそれを言う?」というセリフである。
もう一つは、大輝の父・隆が「何ですかその顔は、私の体調だって、大輝だって、もともと全部あんたのせいじゃないか。室長さんに全部聞いたよ」と言ったことである。「全部」というのは大輝が補導されたことも含むのではないだろうか。
藤田と三ヶ島の関係も、いわくありげであったが、高校時代に同じ柔道部だった仲ということで、あっさり終わってしまった。藤田も逮捕されてしまい、離脱承諾書ももらってしまったが、本当にこれだけでいいのだろうか、という気がしてしまうのは考えすぎだろう。だが、本当にこれだけが、三ヶ島がヤクザを相手にすると尻込みしてしまう理由なのかは考慮の余地がある。三ヶ島だって、麦秋曰く「全世界のあらゆる二段に謝罪すべき」とのことだが柔道二段なのだし。
まぁ、私が深読みしていた、「藤田の妻が、三ヶ島由香」という説は今回で消えた。
さて、不思議だったのが、藤田喜一郎の逮捕状である。「傷害、詐欺、覚せい剤取締法違反、銃刀法違反及び公務執行妨害」なのだが、傷害、銃刀法違反及び公務執行妨害については現行犯で逮捕しているので、逮捕状が発行されないはずなのである。
そもそも、水田が言ったように、なぜ、藤田喜一郎の逮捕状を取ることで、橘勲を逮捕できるのか。
これについては、刑法、覚せい剤取締法、暴力団対策法をよく勉強する必要があると思うのだが、宿題にさせていただきたい。 とか言いつつ、先生に言われないと宿題を出さないかも。